ネタバレしかないから折り畳み


何か結構酷評されてるっぽいけど、青臭い青春もの好きな私は楽しめたし好きな系統の作品。タイムリープとかループものって大抵誰かの死だのヤバイ事件だのそういう深刻な事態を回避するためにする感じだけど、この作品って仮にタイムリープしなくてもガチでヤバイ自体にはなんなくって(ぶっちゃけちゃえばなずなちゃんが転校するってだけ)、まあなずなちゃんと典道の超個人的な甘酸っぱい事情だけでループ繰り返すわけですね。そういうコンパクトなところが個人的には気に入りました。

キャラの会話がなんかどっかにありそうなのと、今この時間だけは……って感じでひたすらに最高の今日を追い求めるような流れは青春過ぎて浄化されかけた(笑)確かにキャラにもうちょい感情移入出来ればとか粗いとこ突っ込めば色々出てくるんだろうけど、二人乗りの自転車とか、二人きりの電車とか、手と手を取り合って逃げるシーンとか、場面場面が青臭くて青春してて、そういう雰囲気が気に入り過ぎてあんま辛口評価する気になれない。理屈じゃなくてこの雰囲気をたのしめ! みたいな。典道が終盤の背景が不安定な感じの二人きりの世界でお前がいなくなるくらいならここでずっと一緒にいるとか駄々こねてるとこ好き。

なずなちゃんの次はどんな世界で出会えるんだろうね的な台詞は希望があるようなそうでないような。最後のシーンどう解釈すればいいかわかんないな。私はアレ二人ともおぼれて死んだとかじゃなくて、結局なずなちゃんは転校してて典道は授業さぼってどっかで思い出に浸ってるのかな?って思ったんだけど、一緒に見てた身内は二人とも駆け落ちに成功したんじゃないかと言ってた。私の解釈よりはこっちのが正解に近いような気がする。

書いてから思ったんだけど、あのエピローグで二人が不在なのはループオチというか、まだ二人っきりであの最高の一日を繰り返しているのかもとも思った。そのためのトリガーアイテムはもうぶっ壊れちゃってるわけだけどなんとなく。

意味ありげなタイトルはお話のとっかかりに過ぎないというか、あんまり重要じゃないと個人的には思った。これは他人から見たら結構どうでもいい、本人らだけが重要な話というか、今日だけは最高の一日にしよう!って張り切る男女の単純な話だと思う。不思議要素も転校とうタイムリミットもなしで、単に男女が初デートで張り切る話でも成立するような感じ。(転校とか不思議要素いらないじゃんってことではないよ)

そういう意味での感覚が私みたいなオタクよりもうちょっと一般の人向けな作品な気がするんだけど、あんま普段漫画とかアニメ見ない一般の人だと投げっぱなしの考察任せなラストとファンタジー要素が足引っ張っちゃいそうだし、じゃあオタ向けとしてはどうかっていうとやっぱ感覚が一般向けっぽいのとストーリーがコンパクトなのとであんま好きじゃないって人も多そう。一般人寄りな感覚とオタ向け要素の食い合わせの悪さが酷評の理由かなあ。キャラが不快ではないけど地味なのも手伝っちゃってそうだけど。デートで張り切る男女の話でも通用するようなとりとめのない話って私大好きなんですけど、やっぱそういう作品ってキャラがめっちゃ魅力ハジけてないと客観的に見た時印象が地味になっちゃうというか。細かい事考えずキャラか青春の雰囲気に感情移入出来るなら良作だと思う。私は楽しかった。

この作品元々アニメじゃないっていうか、元になった実写ドラマや映画があるっていうのを聞いて感覚が一般向けっぽいって印象が腑に落ちた。シャフトの独特な演出ってあんま実写ドラマでやるような直球青春ものには合わない気がする。いや玉がはじける最後の演出とか個人的にはすごく良かったんだけど。
2018/06/20(水) 21:03 UNARRANGEMENT PERMALINK COM(0)