やきにく亭
～キャベツを添えて～

ずっとグルグルを周回しつづける壊れたオタクと化して気づいたんだが、グルグル無印１１巻のゲソックの森で、ククリちゃんが「ちょっと内気なメガネっ娘のリッフィー」と化していた点は足を止めてここに自分用メモしておく部分のように思った。

ククリちゃんって天真爛漫で元気いっぱいにはしゃいだり、怒ったり笑ったり泣いたりしてるからわかりにくいんだけど、彼女の根っこって多分内気なんだよね。対魔王用魔法兵器として、家の中に閉じ込められて育てられてたって境遇もあるし。

これは私の妄言じゃなくて、彼女の内気さってのはこのゲソックの森の前の、物語のキモであるアラハビカ編でも語られてる部分なんだよね。アラハビカ編って、責めるわけじゃないがニケが気が利かなくてスエラちゃんにデレデレしてたのもいけないんだけど、一方で妬いてるなら妬いてるで、素直にニケに言えないククリちゃんもククリちゃんなお話だし。オチも天使達に「外に向かうハートがなかった」と言われて終わる話だが、そのククリちゃんの内気物語ってのは多分事件のキッカケから既に始まっていたのだと思う。

一般的な、わかりやすいキャラクターの内気さ（いかにもな、普段の挙動が全部頼りないコミュ障とか）ではないが、ここぞ！という時に積極的に出られない内気さがククリちゃんの内気さなんだと思う。コメディタッチで嫉妬を存分に表す時はあるのだが、真面目なシーンで面と向かって、嫉妬しているとニケに言える度胸はないように思う。ジュジュちゃんも言ってたことだが、プリンセスククリがニケ王子に面と向かって、「大好きです」って言えたのも、アレは理想の女の子の姿が、ミュージカルと化した舞台で独り歩きしていたからで、素のククリちゃんに言える言葉じゃないんだよ。切ないねえ……。

いつものようにダラッダラ言ったが、そんなわけでゲソックの森でククリちゃんが「ちょっと内気なメガネっ娘のリッフィー」という、昔ながらのギャルゲーみたいな、わかりやすい内気な子の皮を被っていたのはなるほどなぁ、と思った。作者そこまで考えてない案件かもしれないんだけど、なんとなくククリちゃんだけは、一見別人っぽいガワが逆にある種の真実を表してるような気がしたのよね。

考えて見ると、ククリちゃんが外に出るのは自力じゃなくて、王子様で勇者様のニケのお迎えがないと無理だったわけだし……。内気な一面は物語を通して成長しても失くすのは難しい、根深い部分なのかもねえ。というか普段楽しそうにしてるのも、ニケがいるから出来るだけなのかも。実際２でもニケいないと割とガタガタだし……。実はそこら辺の依存性の危うさって、無印序盤、シュギ村の修行編で既に触れられてたりするんだよな。「実際の人間を信じる気持ちは強力だけど、一回疑心暗鬼になったらガクッとパワーが落ちる」みたいな感じで。番外「ククリルク」もなのだが、実は結構序盤から、心の魔法の物語という側面は真面目に語られ続けてきた話なのだなと、読み返しているとよくわかる。チンコの修行場とただし魔法は尻から出るの印象が強すぎて、ちゃんと書いてあるのに何周もしないと気づきにくいみたいな状態になってるんだが……。

腹筋崩壊のゲソックの森編でこんな考察(笑)してる変なオタク、私だけかもしれないけど……。でもゲソックの森、確かに秀逸なギャグだと思うけど普通に怖くない？ 途中リタイアも出来ないし、クリア出来ない奴らはクソゲーの森に同化させられるし……やっぱちょっと怖いぞ、最後全員救われていたとはいえ……。実際作中でも「ほとんど地の王の生贄と同じ」って言われてたし。

ところでアラハビカ編大好きでしょうがないんだけど、ネットの感想ググるとここら辺からグルグルってもう賛否両論くさい。まあ私も当時は惹かれてても照れくさい、が勝ってたような気もするしな……大人になって自分の好みを理解した今なら、素直に「グルグル（というか衛藤ワールド）の傑作回の一つ」って言えるんだけど。でもやっぱいいよなぁこの回。キタキタおやじすら結構いい事言ってるし、デリダさん素敵だし、小道具の色鉛筆がまた泣かせてくるし。最後の最後で酷いギャグオチつくけどｗ

ちまちまと小説創作している。なんか似たようなキャラばっか作ってる気がするが、もう開き直ってポンコツ気味の俺様男とかナルシ―キザ男が報われる創作だけを擦り続けようかしら。ここら辺大体当て馬か当たりがキッツイのがデフォなので、それ目当てで他人の創作読みたかない。

グルグルは本来俺様キザ野郎のレイド様最推しになってもおかしかないんだけど、ニケが抜群に大好き過ぎて一番にならなかった。ああいう絶妙な子供っぽい男の子好きなんやねえ私。面倒見良くて彼氏やん、ってなるけど完璧超人過ぎなくて挙動が子どもっぽいのがカワイイ。ただアレをド三流の女の創作者(私)がパクるのは、なかなか難しい。男の天然の感覚過ぎるというか。モンゴメリくらい絶妙に上手ければ話は別だが、私はモンゴメリじゃないので……。

よく歌で歌われるのも、物語で語られるのも、女の子の難しさ、わからなさばかりだけど、男子のが挙動が意味不明で色んな意味で目を離せないような気がするんだよな。女の子の難しさ、わからなさみたいなものは内面を掘り下げていけばなんとなくわかるような難しさだけど、男子の難しさって多分本人らもわからん意味不明というか……。

例えると、目を離した隙にアホな事やってガラスに突っ込んで大怪我してるようなわからなさが男子だと思う。ここまで極端な個体はそんなにいないかもしれないが……。

ククリちゃんの難しさは上手く掘り下げられているので、普通に読んでいればよくわかるんだが、ニケがボケを噛ます時のわけわかんない挙動とか、結構素で恥ずかしい事言うくせに、妙なところで発動する照れ隠しは、読んでいてもわけがわからない。わからないのだが非常に男子のリアルと言う感じがする。彼の半分がわからない、とはグルグル２の名言だけど、感覚としてはニケの３分の２くらいわからない感じがある。

名探偵コナンでもコナンっていうか新一が、全部わかってるくせに、かなりキザな台詞が多い漫画のくせに、蘭姉ちゃんが作ったハートのチョコレートを「桃型のチョコおいしかった」って言うのがすごく男の子の感覚って感じがするんだよな。多分文脈的に本当に桃型と思ってるわけじゃなくて、照れ隠しで言ってるんだと思うんだけど、変なところで照れるのが意味不明かつリアル、って感じがする。

なんか女の子って↑みたいな照れ方あんましないと思うんだよな。次元を問わず男子特有の何か、って感じがする。そしてもしニケに「なんでほっぺにチューする時あんな変なボケしたの？」とか新一に「なんで桃型のチョコなんて変なボケ入れたの？」って聞いたとしても、多分本人らも「わからない」って言うような気がする。わからないが、猫がニャァと鳴くように、そういう習性、挙動が存在する生き物としか言いようがない気がする。

実際夫婦エッセイとか読んでても、妻→夫の視点で仲睦まじいやつって、理想の夫みたいなそれじゃなくて、「うちの可愛い珍獣観察」みたいな空気の奴が多いような気がする。この辺の真偽はさておき、私が萌えてリアリティを感じるラインがここら辺なんだと思うな。

この一ヶ月マジでグルグル漬け。またアラハビカ編完結回だけ見返していた。プリンセスククリとニケ王子、このド直球過ぎてもはや少女漫画でも激レアなセンスいいよなぁ。ここに男の子の戦争ごっこみたいな事してるニケ＆トマ、敵側レイド、童話ミュージカルにギャグとごちゃごちゃにまじりあったセンスがグルグルセンスであり、少女向けと少年向けのいいとこどりみたいな昔のガンガンらしい名作というか……。

ククリちゃんって態度がデレデレだから忘れがちだけど、割と彼女も引っ込み思案なところがあるから、積極的に好き好き言えるプリンセスククリちゃんは理想の女の子、ってのがまたいじらしい話だよね。そのいじらしさがククリちゃんの可愛いところだが、やっぱりもう少し自信があって押せ押せな女の子だったなら、とっくにニケとククリちゃんは結ばれていたのだろうな……。冒険始めた時からずっと仲は良くて噛み合っている二人だが、同時にウブ×ウブの組み合わせでもあるから、一体彼らがくっつくのはいつになる事やら……。親戚のおばちゃん目線からおばあちゃん目線になる前には見届けたいところなんだけど……。

しかしニケ役の声優さんがまたすごいよな。ギャグのターンとかで叫んでる時とか、喉潰れそうな熱演。