やきにく亭
~キャベツを添えて~
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くっつき魔法
「くっつき魔法とか作者も扱いづらいと思ってるわ」とか作中でネタにされてしまった、舞勇伝キタキタのヒロイン・ルゥが使うくっつき魔法について思いを馳せていた。
くっつき魔法はその名の通り、相手に別のものをくっつける魔法なんだけど……なんつーかコレさぁ、能力バトルとか得意な作者さんなら色々屁理屈とか理詰めとかで面白い事出来そうなんだが、あまりに限定的過ぎて衛藤先生の作風に合う気がしないよな、そもそも……。
グルグルのバトルってギャグとメルヘンの合わせ技の荒唐無稽、奇想天外、次何が起こるかな?みたいな「出し物」でがっつりバトルって感じじゃないと思うしな、そもそも。グルグルの魔法陣も何が召喚されるかわからないけど、ジュジュのルナーの奇跡、トマの魔道具なんかもその系譜(どんな魔法が飛び出すのかな?)って感じだし。そういうのかなり苦手そうな作者さんだよね……。
というかバトルありの冒険ものだけど、そんなに少年誌らしいバトルは得意そうな感じがしないというか……。平和的な作風だから、切った貼ったみたいな流れにそもそもあんまならないしな。ある種の頭脳戦みたいなバトルはなくもないんだが。(VSケベスベスとか、レフ島のデマとか)
色々やってネタが尽きた上での冒頭のメタセリフならまあわからんでもないんだが、そもそも使ってる場面が全然なくて、活躍したのもほんの数回だったのを思うと、本当に持て余してしまった設定なんだな……と感じてしまって笑いづらかったな……。ニケが「地の剣リーチが短すぎて使えね~!」とか言ってるのは笑えたんだが……何が違うんだろう。地の剣は最初からそういうネタで、くっつき魔法は本当に持て余してたのがひしひしと伝わって来すぎだったのがマズかったのか……。
っていうか一番地味に解せなかったのが「キタキタおやじ、いくらなんぼでもこんな可愛げないクソじじいだったっけ?」という点。多分グルグル本編だと、ウザい挙動の代償にほどよく周囲からいじられたりとっちめられていたのがちょうどいいバランスになっていたのが、主役補正でアイツの力が強くなってしまうとあのウザさ迷惑さがとっちめられず通ってしまうというか……。
でなくても、もうちょっと優しいおじさんな一面はちゃんとあったと思うんだけどな、本編だと……。なんでキタキタだと本当にウザいだけのキチ〇イおじさんになっちゃったんだろう??? ドラクエ四コマ時代のギャグ特化に作風を戻そうとした痕跡が見えるので、得意のいい話+幻想を投げ捨ててしまったっぽいのもあるんだろうか? 世界観もグルグルと同じ世界とは思えないくらい、ホントにただテンプレRPGな感じだったし……。でもその試みも、私の好みとか置いといても多分作者的にもイマイチ上手くいってなかったっぽいんだよね、「ドラクエ4コマ時代なら出来たけど今は無理」って作中でメタ発言でちゃう程度には。
主人公だからと贔屓しない、妙な持ち上げをしないのが衛藤作品のいいところではあるけど、キタキタはなんか……その辺も悪い方向に働いたような気がするな。おっさんドリームせんでもいいけど、もう少し連れの子ども達目線で「なんだかんだと面倒見のいい優しいおじさん」くらいの貫禄はあっても良かったのにな……。衛藤先生がおじさん主人公にイマイチ向いていないのかもしれないが。やっぱり衛藤先生は少年or少女主人公の方が色々と上手い。そして描きたい変なおじさん達もいい味が出せる。アラハビカ編のデリダが、顔の濃さに惑わされずよく読むと、全編良い事しか言ってない、やってない素敵なおじさんだったみたいに。
舞勇伝キタキタはなんというか、皆が求めるギャグ作家である自分と、根っこのメルヘン作家との狭間で、衛藤先生が葛藤しているのがボロボロ零れるメタセリフや後書きから伝わって来る。キタキタおやじも悪い意味で制御出来てないというか……。キタキタおやじ主役企画自体は本人もやりたかった事なんだと思うが、やってみると案外うまくいかなかった感じがする。グルグル2はよくあんなにいい続編になったな。
コメディ特化だったグルグル初期でも、ニケとククリの成長や幼い恋模様、癖強いけどなんだかんだいい人達な脇役など、いい話文脈がちゃんと生きた上でのギャグだったと私は思っているので、色々あったのはわかるんだが、思いっきりそこを投げ捨ててしまったキタキタは、やっぱりちょっと違うような気がする。アッチ村の村長さんとか、気持ち悪い銅像しか記憶に残らないしほとんど誰も話題にしないかもしれんが、巻き添えを恐れてニケとククリを追い出したけど、後で思い直して村人総出で助けに来てくれるくだりとかいい話じゃん、ああいう縁の下の良い話がギャグを安心して楽しめる要素になってたと思うんだ。変な人達だけど嫌な人達じゃないな、みたいな感じで。
みんなの褒め言葉として抽出される時って、どうしても一番褒めるとこ以外は省略されてしまうから、実はそのサブ要素が読み手も作者も重要な部分って事を認識しにくいよね。
2024/06/24(月)
20:22
作品感想
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男の子はみんなイイデモード
何かしらわからなさに理由がある女の子と違って、男の子のわからなさのが絶対意味不明なのに、なんで歌も物語もそこに突っ込んだ作品が少ないのか??? って思ったが、例えイケメンでも娯楽的商品価値がないと3秒で悟って悲しくなった。あと解明しようとしても、本当に文脈のない衝動的な行動が多いから解明しようがないのかもしれない。
男の子はみんなイイデモード。(グルグルに出て来る、研究者が匙投げたりおかしくなっちゃうほど意味不明な植物)イイデモードの意味不明な生態、まじで男の子って感じするんだよな……。あんなもんと一緒にするな言われるだろうけど。
ダメかなあ、ニケみたいなイミフアホ恥ずかしカッコいい男と同レベルのカップルになってイチャイチャするような乙女ゲーム。私はああいう男の石積み遊びに真剣に付き合ってみたいし、犬のウンコで満面の笑顔なのを見てカワイイ〜!ってなりたいし、王道に優しいイチメンやカッコいい一面に王道にときめいてみたいし、変なところで照れるのを見て、男の子ってわからないし可愛いなあ、って思いたいが。衛藤絵の可愛いデフォルメ男子ならともかく、乙女ゲーのキラキラ男がやってたらそもそも挙動としてキツイか……。私はそんな男と、そいつにノリノリになれる乙女ゲームヒロインがいたらベストカップルだな……と拍手するが……。キラキラ乙女ゲーム絵とのギャップで逆に好きになってしまいそう、私だけだろうけど。
それこそグルグル読んでりゃいいじゃん、だけどこういう文脈が世の王道にならないものか……という己のオタ活ライフの楽園を夢見ずにはいられないのだ……。現状、好みの乙女センス男性作家掘り出すしか供給が見込みにくいのがなー。
2024/06/24(月)
11:53
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