やきにく亭
~キャベツを添えて~
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ボーボボってあまりにも感覚的過ぎる漫画だったような気がするって話
他の知ってるギャグ漫画に比べても、ボーボボって本当に「絶対に滑らない、お調子者小学生男子のギャグ集」「そして、その感覚だけ」みたいな感じだよなあ。
衛藤先生のグルグル、曽山せんせーのでんぢゃらすじーさんにもそういう、小学生男子の意味不明さ、脈絡のなさを上手く描き起こした面白さで「感覚がヒットした」部分はあると個人的には思っているけれど、あの人らは元々ボーボボほど感覚に依存しすぎた感じはない。
でんぢゃらすじーさんもグルグルも、ギャグらしく脈絡がない時もあるかもしれないが。よく読むと割と笑いまでの道筋、文脈があって、見せ場の笑いに繋がる。という、後にストーリーものの文脈で唸る構成力の型が、割と初期作からあると思う。
衛藤先生の伝説のドラクエ四コマ、ふんどし!は、ドラクエの戦闘中の混乱の流れをギャグ風アレンジした文脈があった上で、ふんどし!になる。曽山先生が努力賞を取ったおやさい戦士ともゆきという漫画も、ダサい野菜の着ぐるみ変身が見せ場としてあるが、アレは野菜を大事にするのが正しい世界観からのヒーロー変身で、前置き、流れというものがある。
そんな感じで、普段何も考えずに笑っているギャグにも実は結構脈絡(らしきもの)はあるのだが、ボーボボってホントにそういうのがないよな。
ボーボボは本当になんか急に、主人公がキャベツになって、ナスになる。多少前置きもあった気がするが、衛藤先生や曽山先生と同じお野菜ギャグでも、前述二者に比べても、あまりにまともな文脈がなさすぎて、ついていけない。2メガネ!とか領収書ギャグもそう。割り箸を植えたりとかも。
衛藤先生の無印グルグル、曽山先生のわざぼーは、ギャグ調ながらどうやって強敵に打ち勝ったかって文脈にわかりやすく納得出来る構成になってるが、ボーボボはよーわからん。読んだのが昔すぎるのもあるが、覚えてない。ハジケリスト達がなんとかしてくれたとしか記憶にない。(っていうか今更だが、ハジケリストって何?いや多少作中で解説あったかもしれないが、何?)本当にほとんど「感覚的面白さ」に依存してる面白さ。
それでヒットしてしまったのはもちろんすごい事なのだが、とても持続し続けられるものじゃない感覚頼りになりすぎて、その後を作者本人が一番悩んでそうな感じがある。その後の作品をいくつかちょっと読んだこともあるが、なんかぎこちない。
衛藤先生のがじぇっと、曽山先生のわざぼーなんかは、世間的な売り上げや評価はさておき、ヒット作家の積み重ねた技術とか、知らない作風にすっごいワクワクしたけど、8周撃沈をリアタイで見送ったチャゲチャとか、ちょっと読んだふわりどんぱっちとか、読み切り2作とか、さっぱり内容が思い出せない。ここまで来ても、失われた感覚的にやっちゃってるような印象が正直ある。
多分、澤井先生はウケるウケないじゃなく、ボーボボが終わった時点で、チャゲチャではなくもっと全然違うもの、ボーボボの面影が一切ないものに一度は挑戦すべきだったのではなかろうか?
衛藤先生のがじぇっととか曽山先生のわざぼー・わざぐぅみたいな、ヒット作の面影を求める人達にはウケが悪くとも、作者やコアなファンは胸張って好き!面白い!って言えるような何かに。売れる売れないじゃない別の財産的なものに。続編とかスピンオフは、その後でも遅くなかったんじゃないかな?って。
ボーボボの芸風って、ギャグ漫画の中でも特に刹那的なもので、今から直接の続編とか(ふわりどんぱっちとかじゃなくてね、)も難しい産物なんだろうね。
今でも香水になったり舞台化したりグラブルコラボしたりすごい作品なんだとは思うけど、なんだろう。作者が一生の芸にするには多分厳しいやつなんだろうなって思った。良い悪いとかじゃなくてね。
実際、今となってはボーボボの最終話(仕切り直した真説の方)って、比較した2作の無印と比べても、ずいぶん寂しい別れになってる気がする。
グルグル無印もでんぢゃらすじーさんも、最終話は別れをテーマにした寂しさが存在しているが、本当にキッパリと昔からの仲間が別れちゃったのってボーボボ最終話だけだよね?
グルグルとでんじーは大切な相棒との別れではなかったし、後に続編もやってるけど、ボーボボの関連作は直接の続編ではないし、あの時の懐かしさよもう一度、的な感じじゃない。
最終話のビュティのセリフが当時寂しく響いたのは、結構な作者の本音がいい感じに出てたのかなあ。って、今になって思う。あの時既にもう作者がボーボボについていけるテンションじゃなくなってた。
ビュティとボーボボはグルグルのような恋や、でんじーのような仲の良い血縁家族でもない。だからあのラストは、ここではギャグ漫画ではなくバトル冒険漫画の終わりとして必然だったのかもしれないが……。今思うとグルグルやでんじーより寂しいラストかも。
2024/10/29(火)
08:19
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