はーあ、
ニケきゅんはどうして言葉でククリ好きだ!愛してる!って言わねえのかな……。
【出典 スクウェア・エニックス/衛藤ヒロユキ/魔法陣グルグル2 9巻 58章 秘境ズックニィ③】いや、特殊な方法で2で言ってるは言ってるんだが、そうじゃなくてさ……。これ、
ククリの夢で流されてるけど、多分なんらかの方法(魔物状態限定で使える魔力とか)でニケの気持ちがククリの夢の中に出る形で現れたニケの本心なんだろう(夢に誰かが出てきたら、自分じゃなくてその人が想ってくれてるという話もあるしね)とは思うんだけど、そうじゃなくてさ……。
いやガウリイ=ガウリエフなんかも愛してるだの好きだのは言わないんだけど、アイツはちゃんと「お前と一緒に旅をするのに理由はいらない」とか、そもそもキッカケもただ親切で、自分の意志でリナについて来たってそういうアレがあるわけだけど、ニケってその辺も人に示されるなりゆきだからさ。そこに対する答えが、ニケが自分の意志でククリを迎えにいくアラハビカなんだと思うが、行動と挙動でしか示さないからさ……。
2017版アニメ最終回のエピローグの、「また一緒に行かないか?」「あたしもうグルグル使えないし」「そんなのいいよ。勇者ニケにとってはククリが一番のグルグルなんだ」というやり取りが完璧であればあるほど、原作2の「勇者じゃないのに何故旅立ったのか」「グルグル使いじゃないと勇者様と旅に出られない」という二人の心理が悲し過ぎてしょうがないんだ……。アニメスタッフは2のここの心理まで理解した上で、2をアニメ化する企画がなかったから、ああやって描いてあげたんだと思うけど……。「完璧」なメディアミックス仕事がこんなに残酷に響く事ってあるんだな……。
思えば
ネコジタ谷のククリの為に魔王倒したいもニケの心の中だけの決意だし、そりゃアラハビカでデビルククリ化して、「ニケくん!心の中に何を隠しているの!」も言いますがな。
【出典 スクウェア・エニックス/衛藤ヒロユキ/魔法陣グルグル 9巻 81章 アラハビカの秘密】これも
子どもの時読んだ時はバカみてーなギャグだなとしか思わなかったが、デビルククリが描いた漫画だと思うと、ニケの呼び方含めて本心が隠れている感じがするんだよな、やっぱ。この直後の展開はデタラメだけど、
ここの引用したコマはそのまんまククリの本心だと思う。
1がククリが自分のハートに向き合う話なら、多分2はニケの心に向き合うって側面があると思うんだが……
ズックニィの夢の中の話も、デビルククリ再来も、師匠のスライとの再会も、見事全部龍化状態での曖昧な表現でかく乱されていてまったくわからんというな……。
無印よりニケの心の中セリフが描写される機会も増えたと思うんだけど、
2がニケの心のに向き合う話でもあると仮定すると、上記のような重要イベントが全部曖昧に濁されているから、直接の答えじゃなくても、なにかしらの形で本心を教えてもらえた感じがイマイチしないというか……。
ミステリーで言うと解答編までミステリー形式で、鍵のかかった宝箱状態なんだよね、ニケの気持ちの解答部分が。ズックニィの夢もデビルククリもスライとの再会も、確かにサラッと読む分にはなんとなくで面白いんだけど
(推測でしかないが、おそらく)実際の意図(龍ニケの挙動にニケの本心が出ている)に気づくとなんでこんな変な描き方するんだろう?ってなる。
【出典 スクウェア・エニックス/衛藤ヒロユキ/魔法陣グルグル2 15巻 カバー作者近影】まあご本人がおっしゃる通り、本当に魔法の店の主人になっちゃったんだって事なんだろうけど……。
ここで衛藤先生が言ってるウェルズの魔法の店(マジック・ショップ)の主人ってのは、色々と変な品物を出しては、お客さんである父と息子、親子を驚かせてくるんだよね。魔法とか、不思議に耐性のない父親はわけのわからない店主が繰り広げる不思議にポカーンとしてるんだけど、まだ子どもでそういうワクワクをありのまま楽しむ能力である息子は特に気にせず楽しそうにしてるって、そういう感じの話。
この魔法の店のキャラ構図が、
店主=変な表現や不思議要素で読者をポカーンとさせ、ククリを楽しませる作者、或いは心を見せず、ククリをドキドキわくわくさせるニケ
息子=ありのままの不思議を楽しめる力があるククリ
父親=ポカーンとしている読者
って感じにグルグル2にも当てはまる気がするんだよな。まあ
ここまで来ると作者そこまで考えてないよ案件だけど、魔法の店の店員のように、読者をかく乱させて読者がわからないのを楽しんでいそうだなとは思う。そこが楽しくもあれば、いいからもう明確な回答をくれ!という自分もいる。私は魔法の店で例えると、不思議を楽しめる息子でもあり、困惑する父親でもある。
グルグル2、面白いけどやっぱ読者を振り落とし過ぎてる気がする。1は裏の意図とかわからなくても何も問題ないけど、2は表テーマ的なスッキリする解決(1であったような、各土地ごとの防衛戦の成功からの区切り)もイマイチないから、ギャグも面白いしニケとククリは相変わらず魅力的だけど、ストーリーがよくわからない、ってなって、サラサラ―ッと楽しむ人もなんか引っかかってしまってそこで嫌になってしまう人も出ちゃってる気がする。
某所で作者スレが、最終的に住民のレスもなんかぐったりしちゃってて、次スレ立てず去年で終わってるの、全盛期に比べればすっかり寂れた、元々人口の限られた掲示板の話とはいえ、一つの解答って言うか……。
グルグルをギャグマンガ、恋愛漫画、伏線回収がすごい長編ファンタジーとして楽しむ人はいても、解答のないミステリー、考察系漫画として楽しむ人って流石にそんなにいないと思うんだよね。実際はそういう、判然としないミステリー要素が2は大量に入ってんだけど。
いや私は楽しんでるんだけど、興味深い考察や、鋭い読み込みしてる人は探せば断片的に見つかるんだけど。無印だとこういう要素は裏だったのが、表に出て来ちゃってるよな、明らかに。1の要素を継承した進化と言えばそうなのかな?ポケモンで例えると特殊条件下で起こる進化とか、変異変種のような気もするけど。ヒトカゲ→最終的にリザードンみたいな正統派進化じゃなくて、リージョンフォームとか、おうじゃのしるし持たせて通信交換してやっと手に入るニョロトノとかそんな感じ。え、そうなるの?みたいな。
まあ
「データ化できないもの、よくわからないもの、僕はそういうものを描きたい」って無印10巻(ちょうどそういう方向性の衛藤センスが一番炸裂してるアラハビカ編終了巻)でも言ってたしね……。