再読。冒頭のヒロの母と織田の、お互い丁寧なのに何も噛み合わない会話を見て理解したよな。
ああ、魔王と勇者ってホント相容れないんだなって。今回の話と2巻の話と合わせても、魔王にも同情するほど優しい勇者のヒロ、優しすぎて魔王として劣等生のリュウナがどれだけ異端で、運命的に噛み合った出会いなのかがよくわかる。
夏緑先生は基本コメディ作家でコレもコメディだから、あまりに重く踏み込んだりとかはしないんだが、
周りが敵だらけの中、応援できる異端であるヒロとリュウナの恋がどれだけ美しいのかを今巻ので思い知らされた。作者公認のバカらしい話でそんな感想抱く私もバカなのかもしれないが……。やっぱ読んでて結構コメディながら怖い部分がある。
そしてやっぱりこの、コメディに惑わされずよく見ると結構切なさ切実さのある美しい異種族(異民族?)恋愛だなぁと感じる恋と勇者物語はグルグルに近いものがある。流石同期というか。両者ともそこを敢えて深く切り込まないで、ギャグと少年少女の微笑ましさに留めるから、ホントそこわかりにくいんだよな。あと、
1巻再読時ドン引きしたペルチェの心の成長が愛おしい。
初見時も自分の寂しさを埋めるため、無限回復魔王であるリュウナを永久にいたぶり続けようとしたルルドにはドン引きしたが、読み返してもこの女普通に怖い。お互いを好きと素直に言えるヒロとリュウナがどれだけ幼くも美しいか。ルルドにもそういう心があればよかったんだよな、好きと言って相手を想える心がさ。2巻のヤンデレ女と同じく、そんな心があるわけないんだけど……。ルルドは流石に、ちょっとお咎めの描写は欲しいかなと思ったが……。
2巻と6巻のラスボス、好き、はあっても相手を気づかう心がない。だから2巻も6巻も最初から破綻した恋(のようなもの)というか。それはおそらく魔王と勇者だから、みたいな文脈なんだろうけど、どちらかというと人として当たり前の(と、いいつ実はとても難しい)、相手を気づかう気持ちがあるかどうか、みたいな話なのかもしれない。
いやマジで6巻まぁまぁ怖いんだけど……。だからこそまさに姫を助ける勇者であるヒロが泣かせるわけだが。こんなアホなアッサリ味付け話でこんな「愛とはなにか?」「勇者とは?魔王とは?」みたいな大真面目な感想抱くの、多分この世でほぼほぼ私だけだと思うけど。それでも私は夏緑先生を愛の伝道師と崇めたい。
4~6巻が特に見習い勇者と魔王の姫の恋として美しいと思う。特に5巻が好きだけど。今回も冒頭のイチャイチャ電話が可愛すぎた。ちゃんと伏線になってるし。