こうして感想書いてるのは日付変わってからだが、月曜日中になんとかクリアした。最初に言っとくと、物語もキャラ達も賛否真っ二つだが、四人の王国自体は私は名作だと思う。クーフィアも別に嫌いではない。(まあ、私も公式人気投票1位のリカのが好きだけど)その上で、なんでメインヒロインのクーフィアが好き嫌い真っ二つか、個人的にメモ。
嫌いにしろ好きにしろ、とにかーーーーーーーーーーーーーーくクリア後なんか言いたくなる作品だよね……。読んだ人の心に引っかかるものを残すのが上手い。もっと万人受けする、そつのない作品じゃあこういうエネルギー出すのって難しいと思う。普段感想書かないような人に感想書かせてるし、レビューや感想自体が多いのもわかる。唯一無二さがある。良い意味でフリゲって感じ。
もっと読者やプレイヤーの欲求を満たしてくれて気持ちのいい物語ってならいっぱいあるんだけど、人に手放しで勧めにくいんだけど、欠点やキャラの掘り下げが惜しい部分もあるとは思うんだけど、それでも私はこの作品が好きだな。
あ、追記はネタバレしかねえぞ。
このブログ全記事そうだけど。
クーフィアが大嫌いか大好きか真っ二つに分かれちゃうの、公式も言ってる「メンヘラ女」「夢見る夢子ちゃん」が問題なわけじゃないと思う。
まあ結論から先に言っちゃうと、クーフィアって「恋に恋してる」状態で、「主人公」そのものを見てない。「王子に恋するお姫様」というシチュエーションそのものに恋をしている。
ここら辺は別に珍しくないというか……魔法陣グルグルの方のクーちゃんの方だって、勇者物語に憧れて「勇者様」に恋をしていて、それで主人公・ニケへの好感度が最初から高いわけだよね。ただ、彼女はニケそのものを見て本人を好きになるのが結構早い。リコの花を貰った序盤で「ニケそのもの」の「優しさ」に惚れていて、少なくともネコジタ谷(全16巻の単行本6巻辺り)では勇者じゃなくても愛していると表現されている。
まあここら辺は物語の長さの問題もあるけど、クーフィアの方はかなり最後の方……それもトゥルーエンドまでいかないと、主人公の肩書き、王子候補に恋をしている失礼な自分を悔い改めない。終盤まで、いわゆる無口主人公で、王子候補である主人公に、己の都合のいい幻影を見ている。
トゥルーまで付き合えば、クーフィアもそういう自分の失礼な態度を踏まえた上で好きと言ってくれるが、ここで問題となるのが人気サブヒロインのリカの方である。
無口主人公に、自分が都合がいいから好きみたいな感じの部分があるのはリカも一緒だが、彼女は作中でなかなかの苦労人であり、彼女は王子様と知らなくても、彼が王子様じゃなかろうと主人公の事を好きである。
トゥルーエンドも、リカがいないとトゥルー行けなかったよね、アレ。クーフィアは無力。リカ絡みのエンドを回収していくとわかる事だが、リカは自分が好かれるとは思ってない部分がある。
無口主人公に対して、無口だから、わからないから都合の良い幻影を見続けるクーフィアと、無口だから、わからないから自分を好きかわからない、自分の事は好きじゃないと思うリカとなら、まあ後者に人気が傾いちゃうのもそらそうよ、って感じ。
クーフィアも夢見る夢子ちゃんなりにちゃんと身体張ってはいるんだが、やっぱ前提条件が悪いよね。主人公の事を見てないわけだから。
本当にその人自身を見ているゆえの心からの愛って、物語の最大の免罪符なんだよ。メンヘラなのは問題じゃない。本当にその人自身を見ている上で狂うなら、女の子は大体許される。
リアルに考えたらダメだが、別に物語中の恋する乙女ならメンヘラなんて珍しい事じゃない。好きだから殺しちゃうし、一緒に死んでほしいと思うし、闇落ちする。そんな事は問題じゃない。それだけ相手の事を愛しているという表現法の一つでしかない。でもクーフィアは最初に言った通り、自分の夢の為に主人公に恋をしている。自分の夢に酔って、メンヘラになっている。そこを含めて彼女を愛せるか?って感じで、プレイヤー側の方が試練を課されるんだよね……。
クーフィアの過去がサラッとしてるのも問題かな。養子に行った家で酷い目に遭っていたのはわかるけど、あまりにフワーっとしてるんだよな。そこで夢見る乙女、メンヘラ女になったのはわかるが、「実践」含め描写されたリカほど手に取れるような感覚じゃない。
まあだから、クーフィアがガチで嫌いって意見も、嫌いなキャラ投票ワースト2位(好きなキャラでも2位だけど)ってのも正直わかるんだよな。これがホントの守られヒロインだったら、私も嫌いに偏っちゃったかもしんない。でも実際仲間の手助けがなけりゃなーんも出来ん無力は主人公の方で、ゲームシステムと上手く絡めた形で、クーフィアの方が守ってくれる騎士だからな。
努力の方向性こそおかしいが、ただ救われるのを待つ白馬の王子様症候群ではない点がクーフィアの美点だと思う。ここに関して、この作品は上手い。彼女の理想のお姫様は、例え弱かろうと、ボコボコで容姿が見られたもんじゃなくなっても、後天的障がい者になろうとも身体を張って王子様を守り、その結果愛だけは勝ち取れる、そういうお姫様だから。その為なら強く「ならない」努力も、身体張って王子様を守ってボコり散らされるのも覚悟の上。エンドによっては、元ネタのお姫様を超えて、愛されていなくても王子様の為に死ぬ努力だって見せてくる。
軽率さも含めた、上記のクーフィアのイカレた努力を「そこまで頑固貫くならアンタ立派だよ……」と思えるか、「いや、おかしいわ、怖いわ」って思うかもクーフィアを好きか嫌いか分かれるポイントの一つかな……。
私は国とかお城とか財産とか身分なんかなーんもなくても、そこに恋する男女がいりゃあ王子様でお姫様だと思ってるので(私が言うと寒いかもしれないが、いくらでも世にはびこっている物語が言ってることではあるね)、そこにクーフィアが気づくのが遅いかな。とは思うが、まあそういうキャラだし、構成的にもオチに持って来るのはしゃーねえと思う。
色々書いたが、クーフィアは色んな意味で記憶に残るキャラクターではあった。思うところはあれど、決して嫌いではない。リカがメインヒロインだったら、リカもクーフィアもあんま記憶には残らなかったと思う。ヒロインも、メインストーリーのモヤモヤも含めた名作だと思うね、これは。年単位で気になってたのに何故かずっと積んでたが、プレイ出来て良かった。