今敏の映画の原作小説。映画のネタバレもあり。

大まかな映画との違いは、

・能勢を始めとする未登場キャラクター達
・バーテンダーの人らに見せ場がある
・小山内と乾の関係とキャラ背景の掘り下げがある
・パプリカ/敦子のモテモテ度UP

辺り?



映画では敦子に全く歯牙にもかけられなかった小山内君には多少救いが追加されている。代わりに直球で生々しくもなってるけど。時田と敦子の仲の良さも映画より分かりやすくなっている。

映画だと刑事さんの物語かつヒロインはパプリカという感じだったのが、原作はあくまでもヒロインは敦子って感じ。彼女を愛した男達が従者の騎士となり恋人となり敦子を助け、敵に立ち向かおうとする様子は、筒井康隆流大人向けのおとぎ話のようでもあり、大人向け少年誌のようでもある。

さわやかな後味だった映画よりも、夢の終わりを感じさせる原作のラストは寂しい気持ちにもなったけど、バーテンダーの二人にも見せ場があり、敦子のお姫様度が増している原作小説もとても面白かった。私はこっちのが好きかも。

敦子がヒロインであり、夢の終わりの寂しさを感じさせる原作小説と、パプリカが主軸となって動くヒロインであり、夢も現実も大事だと結論づける映画版でテーマも物語も分岐しているので、見比べてみると面白いと思う。流石の筒井康隆、官能的な空気も、夢の荒唐無稽でしかし繋がっている感覚も、高い文章力で表現されていて楽しかった。
2024/10/18(金) 19:19 作品感想 PERMALINK COM(0)