武器よさらば、没案だという「天国の丘」というタイトルが美しすぎて、個人的にこっちが内容にもピッタリだと思いすぎて、こんな有名なタイトルが忘却されかかってた。
悲しい要素だけじゃなく、主人公が恋人と過ごす穏やかな日々とか、まさしくアレって主人公にとって天国の丘にも登る気持ちだったんじゃない?みたいな。
武器さらばのが、ちらつく戦争とか不吉さの演出と締め方が見事に皮肉効いてて上手いし、翻訳含めて(原題も A Farewell to Arms、武器と別れるみたいな感じでそのまんま)このタイトルだからウケたんだろうなあ。とは思うけど。舞台も別に丘じゃないし、前述のような、概念的な天国の丘の解釈にたどり着ける人があんまりいなさそうだし。戦争文学として「武器よさらば」より良いタイトルなんかないだろとも思うし。
でも私、多分「天国の丘」の方がこの作品を早く手に取ったような気がする。空気感としてはやっぱこっちのがしっくり来る。そしてその感性は、理解者がいてもキャッチーさというのがないし、なんか私の真面目な好みは、どうも全てがそんな感じで、よっぽど似た感覚の人じゃないと頷いてもらえないような感覚がある。
まあなんだ、発表後長い長い時間が経ってからインターネットの片隅のオタク一人にだけ妙にヒットしてる辺りも含め、ボツ案タイトルとして妥当だなとは思う。