面白かったんだけど、ちょっと終盤は残念かな……。
まあバレでくっつかないとかフラれるとか聞いた覚えがあったが、一応曖昧エンド……なのかぁ?でもコレ、明らかに雨宮さん寄りな感じは……。どう見ても彼女の家に行った後一線越え……とまでは行かなくても自分からキスくらいしたよな、稔二。
でもどっちつかず、雨宮エンド寄り(っぽい)、ってのは読んでてまあ……納得だったかな。稔二君ってフラグ一級建築士で優しいけど、どうも自分が一番大人になれなくて(ある程度自覚症状があるけど)、優しいだけというか……。どことなく似た空気のあるグルグルとかまほらばと比較しても、ニケや白鳥君みたいな、ヒロインに対する王子様ではないよねぇ、明らかに……。
っていうか捻二のななか(と七華)に対する感情って、脅迫概念に近いっつーか……俺のせいでこうなった、的な。対する七華も、激しい思い込みと刷り込み的に、捻二に恋をしたというか……。
っていうか捻二、やってることが童話で例えると、お姫様を助ける王子様というよりは、呪いをかける悪い魔法使いやねん。お母さんが亡くなってしまって泣いていた七華に、彼女の好きだった魔法少女もののステッキで、早く大人になあれと呪いをかけちゃった悪い魔法使いやねん。いや、小さい男の子が、泣いてる女の子を一生懸命なぐさめたのをそんな風に言ったらいけないだろうけど、そうやねん。
いや本当、地獄みてぇなコンビだな、七華(ななか)と捻二……。
読んでても全然恋愛的な空気には見えなかったし、二人がくっつかなかったのは全然良い。っていうか曖昧エンドでも、雨宮さんエンドでもいいから、七華と捻二の間にある呪縛みたいなものの、ハッキリした昇華が欲しかったかな。捻二に理想を押し付けて脅迫概念的に恋をしている七華と、七華に大人になれと呪いをかけてしまった捻二。そこら辺の問題の昇華。
七華は確かに問題のある女の子だが、彼女に呪いのような魔法をかけてしまった捻二にも問題がある。っていうか捻二にほとんど成長が見られなかったのは、子どもから大人へってのがテーマな作品なのを鑑みるとちょっと残念かな……七華は結構成長もあっただけにね。そこはすっぱりどちらかを選んでほしかった。七華がフラれても全然かまわないので。
面白いくだりも多かったんだけどね。9巻の、目立たないクラスメイトの話は、演出がとても綺麗でお気に入りの回。最後の方はテーマを投げちゃった感じがしたかな……。多分作者の八神先生もここら辺で悩んだんだろうけど、七華と捻二の関係や、お互い相手を傷つけるような事を押し付けていた事には、ハッキリとした解答が欲しかったかな……。