当時の監督の評判の悪さはもちろん、コミカライズ作者すらボロカス言ってたし作品自体の世間の評判も良くないが、具体的に何が悪いかイマイチわかんねぇし普通に興味もあったので見てみた。DMMTVにあったし。
とりあえず大きなネタバレ抜きで簡単にまとめると「尺足りねぇ、ちょっと設定が趣味悪いディストピアSFボーイミーツガール」って感じ。世間でボコボコにされてるほど悪くはない。でもこのシナリオを11話は流石にムリゲーだと思う。そこそこ綺麗にまとまってるけど、20話以上が無理でもせめて12話は欲しいところ。11話ってお前。毎回OP前にストーリーがあって、次回予告すらねぇのは多分尺の問題の苦肉の策か?(テレビ放映やDVDであるとかだったらごめんなさい)
ただ、第一話の時点でナディアやラピュタなどの有名名作冒険ボーイミーツガールがデジャヴる(ここら辺はハッキリ意識してると思うが)し、そこら辺を越える何かがあるかっつーと……。ちょい変わり者の等身大少年視点固定で、彼が旅を通して悩みながらも好きな女への一途さを貫き、少しずつ成長していく様子は、最初からイケメンで行動派のパズーにもジャンにもない味わい深さもある。が、そこら辺クソ地味だし、そのクソ地味を味わい深く楽しむには常人には地雷過ぎるであろう要素もあるし、尺も足りねぇから成長過程で終わっちまった感じもあるし。個人的にも怪作評価かなぁ。
表情豊かで好奇心旺盛なネッサの可愛さだけはガチ。これはほぼ唯一の強みといえるかもしれない。あとOPとED曲と、作中で重要な要素を持つ作中歌の「昼の月」は良曲。でもOPムービーはダメだと思う。初見でも多分伏線だろうという推測は出来るが、そこまで推測して受け入れてくれる視聴者なんてあんまいないと思う。
嫌いか好きかで言うと私は嫌いじゃないんだけど……。大ざっぱな魅力的な要素はナディアとラピュタとサマウォ見りゃあいいんじゃね?だし、肝のブラックな要素だったら狂四郎2030のがいいと思うし……そしてこれら魅力的な作品がフラクタルが出来る前にとっくに発表されてるという残酷さ。ぶっちゃけ、公開当時でも古い!古いなら古いで、懐かしさを楽しめる地味な佳作なら全然それで問題ないのに、怪作要素があるせいで「ボーイミーツガール好きだけど↑の作品もその他名作群も見尽くしちゃった、怪作でもいいから何かない?」みたいな飢えた変態オタクにしか勧められないという。逆に↑の作品群を知らん人なら……?いや、それでもラピュタとサマウォでいいよな……。(二作合わせてもフラクタルより早く見終わるし)
なんかありゃあ良かったんだけどな。実写キャシャーンみたいな謎の凄みとか、ONE輝く季節へに対するONE2永遠の約束みたいな、クッソ地味でもコレはオリジナルにない味わいがあると言い切れる味わい深さ(と、それを最後まで裏切らない堅実さ)とか。何か、私だけでも「この作品は名作だよ、↑のジャンルが近い作品群にはない良さがあるよ」って言える部分が。地味な懐かしい佳作路線も最後でへし折ってるからなぁ……。
追記で超ネタバレ感想(※作品の設定上不快な表現があるので注意)
中年親父と同好の友情を結ぶ6話は、実は主人公の親父でしたというちょっとした仕掛け(1話から伏線が張ってある)もあって素直にいい話だと思う。説明不足といえばそうだけど。こういう話をもっと綴る尺があれば味わい深い良作になった気がする。
7話はこういうディストピアの王道で、ここでしか生きられない、管だらけの男とか出て来て結構面白いんだが、やっぱ尺がね……。
8話のネッサ(てかフリュネ?)のクローンを気づかうクレインと、それが伝わって恩返ししてくれるクローンのくだりは素直に泣けた。9話も駆け足だけど、ここまで来るとネッサとフリュネとクレインの三人組にも愛着持ってるから素直に泣けた。(6話が生きたイベントがあるのも良い)
9話で兄貴分のスンダが主人公のクレインに「お前らは俺達の友達ではあるが仲間じゃない」って言うんだが、コレそのまんま尺の少なさ問題が出てるよね。多分そこを逆手に取った距離感なんだと思うけど。もうちょっと展開を圧縮するか、尺があったらここの台詞も変わったのかなと思うと色々考えてしまうね。ただここら辺の二人の距離感と程よい友情は素直にいいと思う。
11話、まあここまでやたら丁寧に伏線張ってたけど、ヒロインがオリジナルも含めて父親にレ〇プされてたはちょっと気持ち悪いよ。それによってフリュネが他の抜け殻と違う人格を持った、って流れだから一応意味はある設定だけど、シンプルにキモイよ。私は割と悪趣味だからまあアリかな、とも思えたが同じ人は少数派だと思うよ。
なんか純潔じゃねえとダメみたいな話も出てたから、フリュネも最終ラインは突破されてねえのか?とも考えたが、五話でなんかギシギシ言ってる船の音に怯えてるシーンあるんだよな、フリュネ。多分コレもギシアンの暗喩じゃねえかな?七話にもっとわかりやすいシーンあったけど、多分ここも伏線だと思う。ただの私の疑心暗鬼だったらゴメンギシアンだけに。親父に腹……っていうかぶっちゃけ子宮?撫でられてるシーンもあるし。多分最後までヤられてるんじゃねえかな、フリュネの反応も鑑みると。
でもフラクタルシステムを再起動する鍵がオリジナル少女と同じ状態(性的虐待によるショック)にするためなんだっけ? えっじゃあ純潔じゃないとダメみたいな事言って分娩台乗せてま〇こ見ようとしたシーンって何だったんだ? ここら辺は情報共有不足による矛盾か? それとも父親が他の悪い虫がついてないかどうかの嫌がらせなのか???
11話、最後の彼女はネッサをベースにフリュネの記憶、或いは想いも持ったオリジナルに近い女の子って事でOK?まあ一応フラクタルシステムもダメになって、人々も自分で考えて行動するようになったっぽいし、そこそこ円満って感じだと思うけど、クレインの「三人で暮らそう」って願いは正攻法ではかなわなかったんだと思うとやっぱり切ないねえ。(そこら辺は三人で納得ずくの答えではあるんだけどさ、あのままだとネッサ完全消滅だったし)
色々言ったけどクレインもネッサもフリュネも普通に好きだよ。挙動がへんてこで飽きないし、それなりに心情も丁寧だったと思うし。特にクレインの、ネッサもフリュネもそれぞれ別枠に大切って感じはイヤミのない優しさを感じて良かった。設定考えたらそりゃ両方大事にするよなって納得だし。↑の酷い展開に脳破壊されかけながら(ホントにそういうシーンがある)、一途に好きな子への気持ち貫いて良く頑張ったよ、クレイン。お疲れさん。
なんか解釈間違ってる可能性も高いが、脚本家と原案と監督の間で揉めたみたいな話も聞くし、実際脚本もちぐはぐな感じもするし、そもそも説明も尺も不足し過ぎてるし、私もよーわからん。フリュネの悪趣味設定は誰の仕業なのかは若干気になるところだが。