記事タイトル通り

記事タイトル通り、私はフラクタル内だとクレインがかなり好きな方。ネッサとどっちかって言われたらだいぶ悩んでしまうけど、まあそもそもネッサとは色んな意味で切っても切れないし二大お気に入りかな。

フラクタル、クレインっていう古い物好きでちょっと変わってるけど基本普通の少年が、旅と恋を通して世界に疑問を抱いたり葛藤したりする流れ自体は評価点なんだよね。正直尺が短すぎてそこも上手く行ってない、成長しきって完熟を楽しむ前に終わっちゃってはいるんだけど。私としても、最終話付近ですら兄貴分やネッサとかの一推しがないと愛する女フリュネに愛してるぜー!(要約)しにいけないのは少し残念ではある。

あるんだけど、やっぱ六話の、たどたどしい言葉で「俺はおじさんが死んじゃったら悲しい」って父親と気づいてるわけもないのに言ってやれた事とか、八話でネッサ(っていうかフリュネ)のクローンの見張りの子のケガに気づいて優しく手当してあげて最後も助けてあげようと頑張ってたの見るとやっぱコイツ好きだな~!って思っちゃうんだよな。あとネッサに対して純粋に兄貴みたいな感じで優しい感じとか。

フリュネが一番好きで、ネッサにも見張りの子にも優しいのは全然矛盾してない。何故なら設定的にネッサ達はフリュネのクローンだから。フリュネの言葉を借りると「一番純粋だった頃の私」だから。クレインはフリュネと他のクローン、ネッサは違うという態度だけど、それでも彼女達は愛する女の一部なわけで、優しいのは全然矛盾しない。

そこを評価してるって私は言ったけど、評判をググるとむしろこのクレインのキャラクターも批判のメイン部分の一角で、「流されるばかり」とか「結論出すのも成長も遅い」とか普通に言われてる部分ではあるし、私もその通りだとは思う。

クレインが成長の余地のある普通の少年ってのは、ハッキリ下地にしてるであろうラピュタやナディアとの差別化を狙ったのかもしれないけど、むしろ模倣すべきはその元ネタの主役男子のメンタルだったんだろうな、とは私も思う。フラクタルはとにかく出来やシナリオの癖とか置いといても尺がなさすぎるので、ラピュタのパズーやナディアのジャンみたいに、最初からメンタル面においては完成されたカッコイイヒーローにならないといけなかった。クレインが元ネタの作品のヒーロー達みたいにヒーローな男だっただけで、この作品の評価は多分全然違ったんじゃないかとは思う。

思う、思うんだけど……その上でやっぱり私はごく普通の少年が、ずっとフリュネ一筋で、たどたどしい言葉で誰かを気づかったり、ネッサにも他のクローンの女にも優しくて、フリュネの過去がどうであろうと君が好きだ、を貫いたのはなんか心に残ったんだよなあ……。というかフラクタルにあってナディアやラピュタない味わいがあるとしたら、ここしかないとすら思ってる。そこの部分も尺がなさ過ぎて上手いとは言い難いけど、ここら辺の素朴な味わい自体は結構好きなんだよなあ、私。

まあ上手いとは言い難いし、なんなら「一途は貫きつつも、魂が同じ女達はみんな大切にする」みたいなそれも他の作品の方が優れてるっていうか、「ケムリクサ」でいいだろ。と言われると全く反論できないが……。

ケムリクサのわかばはもう出て来た瞬間から直感で「あ、コイツ好きだわ」って確信したくらい好きなんだけど、わかばも最初から普通にヤベーカッコイイ男なので、やっぱりクレインみたいな素朴さはないんだよな。

パズーとわかばとジャンのイケメンっぷりは認めるし大好きな一方で、なんでもこいつら基準というのも好きじゃないから、やっぱ例え上手く描く尺がなかったとしても、クレインはクレインのままがいいな。なんて事を思ったというだけの話でした。エンリ(ナディアでいうとグランディスポジションの金髪小娘)からの好意は全然気づいてないのもいいと思う。

ぶっちゃけエンリがクレインに惚れてるっぽかった設定、一番フラクタルでイラネー要素だったと思うけど。前述の通り、とにかく尺がなさ過ぎる作品だし、こんなの一番削るべきだった。スンダがフリュネに惚れてたくさいとかも全然描けてなかったが、この兄妹の横恋慕的な要素はいらなかったと思う。もっと尺があれば良いドラマになったかもしれないが……。やっぱ取捨選択が出来てないんだよな、この作品。まあスンダがフリュネに本当に惚れてたのだとすると、最後のスンダの行動も深みが増すんだけど……それならそれで最後に一言、はっきりフリュネへの好意を口にするシーンくらいあっても良かったよな。船頭三人(原案・メイン脚本・監督)が全然連携取れてないっぽいし揉めてたっぽい作品だから、尺の問題とは別の問題で「深堀り方面でオリジナリティを出す」という方向性すら潰れているっぽいのがまた悲しい作品だな……。
2024/05/29(水) 03:38 作品感想 PERMALINK COM(0)