スケスケネグリジェを手に入れた!

 そんな一文が頭に浮かんだ気がした。そのくらいマジにスケスケだった。何も着ない方がまだマシなレベルなんじゃないかってくらいスケスケだった。ダンジョンの宝物庫に何故こんなものが? アオイの頭中は? でいっぱいになったが、応える人がいるわけもなく。

「おーい、そっちはどうだ? アオイ」
「にゃっ!? い、いいえー、ロクなもの入ってなかったッス、あはは」

 ウソでもない返答をしながら、アオイは反射的にスケスケネグリジェを自分の荷物の中にぶち込んでしまった。



「うわ、これこの前のやつだ」

 荷物の整理をしながら、アオイは頰を赤くした。スケスケネグリジェを手に取って、マジマジと眺めてしまう。桃色の布の向こう側を透かして見れてしまった。こいつはヤベェ。ヤベェのに着て見てしまった。目に見える範囲でも肌が透けて見えてヤベェ。

「ひー、エッチ過ぎるッスー……」

 顔を赤くしながら、そうだこれであにきの帰りを出迎えようと思いついた。ニャンコロ一匹が変な服を着てサービスになるかはわからないが。拠点の家を買って浮かれていたせいもあると思う。貯めていた金が貯まったからと、冬でもあまり寒くない土地に、小さいけれどしっかりとした作りのこの家を買ったのだった。

 ガチャガチャと戸のカギが開く音がする。銀色の長い髪が外からの風でふわっと揺れた。

「おかえりなさーい、あにきー」

 出迎えた弟分の姿を青年の金色の瞳が捉えた瞬間。子ネコを喜ばすために買って来たらしい、おやつの入った袋が床に落ちた。



「あ、にゃ、いや……ひゃっ」

 外へ行くドアの前、背の高い男と扇情的な格好の少年が絡み合っていた。軽く慣らされただけですぐぶち込まれたそこからグチャグチャと音がする。犯してくださいと尻を突き出す四つんばいの格好で後ろから入れられていると、無理矢理襲われているみたいだった。

「こんなふしだらな格好で……四つんばいで、犯されて……オレの、弟分は、いつ淫乱娼婦ネコになったのだ……?」
「あ、にゃ、う……」

 押し込んで支配している凶器を意識させるよう、尻たぶを揉み、奥まで押し込んで腰を動かして来る。みっちり詰まったペニスがアオイの中を蹂躙して、ズキズキ痛む錯覚が起きるほど子猫の性器を反応させる。

「ここも、硬い、な……」
「は、にゃ、にゃああん!」

  性器をひと撫でされただけで、ビュルビュルと小柄な性器に見合わない精が噴出した。精 に濡れた指が性器に再び絡んで、止まない嬌声をあげさせる。

「もう、出した、のか? ならこっちの、番だな……」
「ふにゃ、あ……」

 ズルズルと押し込まれていた性器が引き抜かれて行くと、胸の奥がうずくような喪失感が湧いて来て、足の間もムズムズした。はあ、っと切なげな息が漏れたところで、また反り返った剛直が少年の肉洞を犯して行く。少年に教え込むよう、ズタズタに刻み込むよう、繰り返し、繰り返し。

「ヒッ………! うぐ、んん、あっ、あっ、あにき激しい、よう……」
「誰のせいで、こんな、激しくされてると思ってる! 淫乱ネコには! 仕置きが必要、だ!」

 デレデレに愛情を注いでいる弟分のスケスケネグリジェは相当効いたらしい。スジの浮いたペニスが往復するたび、子ネコの腹の中に抉られるような衝撃が走り、身体を支える腕が震え、尻と尻尾が誘うように揺れた。犯す青年の手が、その尻を掴みしっぽをなでる。

 やがて限界が来たのか、青年が一つ低い呻きをあげる。ねじ込まれたギチギチのペニスがさらに膨れ上がって、子ネコの息が詰まった。

  ビュル、ビュクク、ドプッ!

「んんっ……ふにゃ〜、ああ、ん、ひゃ〜! あ、ぐ……」

 欲情が煮えたぎったネトネトの熱い性の迸りを、アオイは平らなお腹いっぱいに受ける。充足感で触れられてもいない子ネコちんちんまでもが射精した。精液まみれの青年のペニスが昼間の日差しを受けてテラテラと光り、子ネコの太ももに性行の残滓が伝った。とうとう力が抜けて突っ伏すアオイの身体をそっと抱き上げて、アルジェンはその唇を奪った。

「淫乱ネコに惑わされたせいで……キスをするヒマもなかったからな」
「 ……あにき、もっと……」
「 まだオレを誘うのか? 困った弟分だ……」

 しっぽをゆらゆらさせながら甘いキスを酌み交わしていると、視界の端にアルジェンの買って来たらしい買い物袋が落ちているのが見えた。散乱したキャンディー、チョコレート、ビスケット。きっと食べたら甘いだろう。

「それにしても……何度見てもいやらしい服だな」
「んんっ!」

 透ける衣装越しに胸の先端を弄られて、淫らな声が出た。アオイのお腹に硬直したアルジェンの男性器が当たる。子ネコの柔らかい唇を貪っているうちに、情欲が戻って来てしまったのだ。金色の、ハチミツみたいな瞳が性欲に濡れた視線をこちらにぶつける様は、きっとどんなおやつよりも甘くて。今はお菓子よりもアルジェンが欲しい、と思った。

「エッチな格好であにきを誘ったお仕置きして……」
「……っ」

 ひょこっと子ネコらしく抱え上げられたと思った瞬間、キツイ大人のお仕置きが入り込んで来た。ほとんど抵抗もなくギンギンになったソレが根元まで入って、アオイの中をかき回すと、とても怒られているとは思えぬ声が出てしまう。

「ずいぶん良さそうだな……仕置きに、なっていないのだ……もっと、激しく行くぞ」
「にゃ、にゃああ〜ハッ、や、奥……激し……」

 根元まで貫かれた状態で突き上げられながら、下半身を掴まれた状態でグリグリかき回されると、頭の中まで混ぜられたようにクラクラする。目の前にお星様が散って、見上げる青に年の綺麗なお顔もグラついた。よだれを垂らし、物欲しそうな発情期の動物顔で頭に血がのぼったのか、アルジェンにぶつけるようなキスをされた。

「腰としっぽが気持ち良さそうに動いているぞ……?」
「にゃ〜、だってえ……」

 いつもアオイにはあんなに優しい青年の動きは、お尻もお腹の奥もどうにかなりそうなほど激しい。正直弟分相手に張る見かけだけの虚勢ほど余裕などあるわけもないアルジェンがつい激しくしてしまうことは結構あるのだが、それにしても今日のそれは一方的に欲をぶつけられているように感じる。その扱いが満更でもなく、むしろもっとして欲しくて、ねじ込まれたガチガチギンギンの剛直に下半身を更に押し付けるようにして、子ネコの身体は勝手に動いてしまうのだった。

「……はーっ、ふーっ、また出すぞ、出るぞ、望みどおりに二回目出して……腹の中汚してやるからなっ」
「あ、いい、いいの……あにきのこれっ、から、ボクに、いっぱい、出してぇ……っ」

互いに下半身を押し付け密着させながら、少年と青年は共に絶頂を味わった。ネコの耳にかかる、余裕のない青年の息遣いがハッキリと聞こえて、とってもエッチだった。自然にしっぽが動いてしまったが、いやらしい衣装に目が釘付けのアルジェンは、そんな無意識の仕草さえ見逃さなかった。

「これだけ犯されてまだ足りないのか......本当に淫乱娼婦ネコだな……」
「わあっ……!」

 軽々と持ち上げられたかと思うと、ベッドの上にやや乱暴に投げ出されてしまった。あにきがよく眠れるようにと綺麗に整えられたそこに、下半身を二人ぶんの体液で汚したアオイが乗って、未だに息が整わないアルジェンが覆いかぶさって来る。すぐさま子ネコの脚を開いたところを見ると、休むという意味で寝る気は全くないようだ。

「しっかり性処理をしてやらないと……外で誰を誘うか、わかったものではないな……」

 そう言う青年こそ止まらない興奮ですっかりのぼせているように思うが、彼には組み敷いた子ネコ以外は何も見えていない。独占欲と性欲に満ちたギラギラした金色の瞳で透ける子ネコの衣装を見下ろすと、収まる気配のない凝り固まった肉棒を押し進めた。

「あ、にゃ〜〜〜、んん、や、気持ち、いい……」

 三回も余裕のない大人の欲望を受け入れた子ネコは、もう苦しさもなく身体を擦り合わせる純粋な快楽だけを感じていた。ちっとも柔らかくならない硬くて大きくて熱いものが、お腹の奥を虐めて来て、グチャグチャ恥ずかしい音でネコの耳まで犯して来る。大好きなあにきにトロトロに犯されてすっかり良くなってしまい、ゴロゴロ甘えて抱きついて来る仕草が、ますます青年の理性を吹き飛ばすのだった。

「オレ専用の淫乱娼婦ネコになると誓え! 誓うまで犯し続けてやる……!」
「ひっ、ぼ、ボク、は、あにき専用の、い、インラン娼婦ネコ、です……い、言ったから、許してえ……」

 許して、などと言いながら、アオイは許してもらうことなんて望んでいなかった。むしろ言わない方が気絶するまで虐めてもらえたのかな、なんてイケナイ事を考えている。

「フウッ……よし、許してやろう……褒美にオレの気がすむまでここを……虐めてやるから、なっ!」
「ふにゃっ!? 約束と違っ……あ、でも、いい、あにきっ、あにき……」

 ドビュ、ビュルル、ビュクク!
 呼びかけに答えるように熱い迸りが中に噴き出され、なおもジュクジュクと体内をかき回す。衰えないそれに、子ネコはこの激しいまぐわいがまだまだ終わらない事を思い知らされるのだった。



「……あの服は捨てろ」
「にゃっ!?」

 夕日が差す部屋の中、アルジェンの気が済んでアオイが遠慮なくベッドの中でゴロゴロと甘えていると、聞き捨てならぬ命令がネコの耳に届いた。何故。最終的にこの衣装がオレを惑わす呪われた装備だ! などとベトベトにぶっかけられるほどあにきが興奮しまくって最高だった、もといあにきのお気に召したと思ったのに。

「あ、あまり兄貴分を挑発するような真似は関心出来ぬのだ ! ......勢いに任せてへ、変な事を言わせてしまったし」

 要は「あの衣装着たお前がエロ過ぎて時間も考えず襲いかかってしまうからやめろ」という事で説得力も何もあったものではないのだが、それ以上に独占欲と親父丸出しの誓いを立てさせてしまった事も引きずっているらしい。

「にゃー、でもボクあにきのインラン娼婦ネコですし、あれがにゃいとお勤め果たせモゴッ」
「わー、お前は大事な大事な弟分だ! 忘れろ!」

 言ってる途中で口を塞がれてしまったが。あにきの命令でも忘れられる気はしなかった。あんなに興奮した顔で、あんなに独占欲に満ちた目で見られてしまったら。

 捨てたフリをしてこっそり洗濯してしまっておこう。と、子ネコは心の中であにきに反旗を翻すような計画を立てるのだった。