夢を見た。大切な弟分をこの手で葬る夢。大好きだと言ってくれた唇も、愛しさを示すように見つめる青空のように真っ青な瞳も、もう動かない。

 瞳と同じ色の髪の毛だけが、生前のようにサラサラと風に揺れている。空の生き写しだったそれも、今は色あせたペンキのように精彩を欠いている。

 思い出と共に劣化していく遺体を見ていたくなくて、焼きつくしてしまおうと思った。

 馴染んだ得物に乗った火を小さな体に差すと、業火が遺体の全てを包み込む。そこに自分も飛び込んだ。

 痛いはずなのに、すさまじい臭いもするはずなのに、ただ温かく、熱く、幸福で。二人一つのわけのわからない塊になるのが嬉しい。そんな、幸福で恐ろしい夢を見た。




 Twitter300字企画第二十八回お題より……「火・炎」(本文295文字)