呪われた美味そうな謎飯、クリーム飯。
「「幸男」と「幸女」の話」は千一夜物語にしてはエログロもあんまなくて普通に良い話。「ほくろ」の物語は冒頭でほくろの両親が「お前が側室を許さないのに孕まないから俺には子どももいない、お前の干上がった股に突っ込むなら岩にでも突っ込んだ方がマシだ!」とか父親がキレたたら「テメーの種がうっすいからじゃボケ!」ってクッソ生々しい夫婦喧嘩してたのが草だった。そんでもって解決方法が精力剤と食生活の見直しだから妙にリアルなんだよな……。この回は美少年のほくろくんがホモの「両刀使い」とかいうあだ名の男にケツを狙われたりする(未遂)。未遂で正直チッてなったが(おい)、最後ちゃんとこの少年好きのホモが回収されるのには驚いたかも。

この巻は珍しく王様のウケが良くない話も載ってる。歩く美少女事典みたいな女奴隷が偉い学者の謎かけや難しい問いかけ、スケベな問いかけすら論破する「博学のタワッドド」、詩人男が散々な目に遭うギャグ話の「詩人アブー・ヌワースの事件」はあんま王様のウケがよくなかった(シャハラザ-ドの妹はバカウケしてたが)。タワッドドの話は面白かったけど、詩人の話は私も千一夜物語にしてはあんま面白くない話と感じたかも。

有名な「船乗りシンドバード(シンドバッド)の物語」も今回載ってる。シンドバードという男が、色んなところを大冒険しては危機一髪な目に遭う話。普通に面白いし、珍しくエロ描写もほぼないし(黒い肌の巨人に人間が焼き肉にされたりするグロはあるが)、コレが有名な作品なのはわかる。わかりやすい冒険ものだしね。毎度毎度、懲りずに大冒険行っちゃうシンドバードが笑えた(シンドバード本人もなんで懲りずに出かけた!ってネタにしてるレベルだった)。流石に最後の方だと懲りてたのも笑えた。(最後の航海は行きたくなかったけど王様の命令でどうしようもなかったという流れ)。個人的に、そういう風習の国で死んだ妻と一緒に共同墓地にわずかな食料と共に生き埋めになったけど、同じような人が来るたびコロして食料奪って生き延びた回が良い意味で生きぎたなくて好き。しかしアレだな、化け物が黒い肌ってのは昔の差別意識みたいなのも入ってるんだろうな。案外そこまで魔法描写多くないっていうか、医学とか色々当時のリアル事情が反映されてそうなのが面白い作品だな。

美しきズームルッドと「栄光」の息子アリシャールの物語は、ヒロインのズームルッドが色んな男に狙われてはエロい目に遭いそうになる話で、コレエロゲに出来そうだし見たいなぁ……と思った。盗賊にさらわれて美文っぽい台詞回しで「お前を四十人でまわしてやるからなぁグヘヘ」とか言われるシーンはエロ過ぎた。勇ましいヒロインだからそう簡単にやられないんだが、是非バッドエンド分岐が欲しいレベル。紆余曲折あって王様になって、恨みのある男がなんか美味そうな謎のクリーム飯とやらを下品食いしに来るたびめっちゃグロイ処刑してく流れが痛快。最終的に飯が呪われてる!みたく民衆に言われるレベルなのが草。このクリーム飯とやらが美味そうで詳細が気になるなぁ。なんか肉とご飯を甘いクリームと混ぜて味付けしたものっぽい?けどよくわからん。ググったら牛乳粥じゃないか、って言ってるサイトは出て来たけど……。

今回は有名な話も出て来たし、王様の反応もちょっと違ったしで面白かった。
2023/07/25(火) 22:15 作品感想 PERMALINK COM(0)