あんまりにも今日読んだ本がつまんなかったから口直し。
「雨の日のアイリス」の作者の作品。つながりはないけどロボットもの、一巻完結ってことで精神的続編っぽいかもしれない。雨の日~もそうだったけど、文章力、構成どちらも安定してる、多分SF分類だけどコールドスリープシェルターの名前が「白雪姫」だったり、比喩表現や歌の描写がファンタジックだったりと序盤の空気はメルヘンっぽさがある感じ。

後半の展開は結構ハードなSFかな。一番泣けたのはギャーピーの想い出のくだり、キャラとしてはアイスバーンが割と好きな感じかな。後半のrobot/humanの演出や、割と容赦ない展開と読み入るところもあったし良い作品だけど、なんというか、前・後編作品の後編から読んだような感じの急展開を感じてもしまって惜しい。二巻くらいあったらなぁ……やっぱりファンタジーとかSFものでラノベ一冊は尺が短すぎると感じる事がある。

重いけど普通に良い話で、手堅く楽しめた。やや下ネタが多いのは賛否あるかも。もっともここら辺は日常限定で、終盤のシリアスでおふざけはないからあまり気にならないと思うけど。

んー、私は「雨の日のアイリス」のが好きかなぁ。多分今作の方が作者は技術上がってるとは思う、SFとしてしっかりしてるのも多分こっち。でもキャラクタードラマとしては前作のが上手かった。何よりとある演出面が、読んで十年以上経った今でも色あせないくらい印象深い。タイトルにかかる「雨の日」という意味も上手かったし。(これが本当、センスあるなって思った)上手になっちゃった結果、私にはやや刺さらなくなった、のかも。雨の日のアイリスは一巻で綺麗にまとまってたけど、氷の国~はせめてもう一巻欲しい感じ。(大筋は良かったけど、もっとキャラの掘り下げが欲しかった感じ)アイスバーンとか最後の最後まで秘密引っ張っちゃったのと尺の問題のせいで、設定並べると一番好みなはずなんだがイマイチ泣けなかったというか……(ヒロインのアマリリス覗くと、ギャーピーが一番丁寧に掘り下げられていた気がする)終盤が特に、怒涛の展開の重さに入り込めず、ここでキャラが離脱してもらわないと困る、って感じの話の都合を感じてしまったというか……。ハッピーエンドに比べるとあんま言われないけど、鬱なご都合主義ってあるよね。

つくづく私って濃縮されたキャラクタードラマ以外刺さらないんだな……。SF要素がしっかりしてるかどうかなんて別にいい、一巻という尺に合う規模でしっかり濃縮されたキャラクタードラマが見たいって味覚が私と近い人なら「雨の日のアイリス」の方をオススメする。

しっかしここまで好みが極端で狭苦しいと自分でも時々ちょっと嫌になるな……。いうて自分に刺さるかどうかなんて自分でもどうしようもないんだけど。
2023/07/29(土) 22:47 作品感想 PERMALINK COM(0)