ヤンジャン公式で何巻分も無料だったから読んでみた。必ず毎話入る、読者サービスの多いお色気シーン&ヒロインピンチに、ベテラン作家の古風だが色気も可愛さもある作画のホラー&アクション人間ドラマって感じの話。大人向けと言う事で、勧善懲悪とか毎回スッキリするラストとも言えなくて寂しさややるせなさが漂う内容が多い。9話の河童の話はハッピーエンドなのかな……本人が納得してるからそうなんだろう。12話の口寄せ回の終わり方はやるせないな……。こういうの読むと、浪漫倶楽部の雛子ちゃん再登場回で、雛子ちゃんが「また部長を傷つけるから」と決して会おうとしなかった理由が良くわかる。部長の寝顔をこっそり寂しげに見ていた雛子ちゃんのコマを見るだけでわかることだが、雛子ちゃんだって好きな男にまたちゃんと会いたかったろうになぁ。浪漫倶楽部って基本はごく普通の感動ファンタジー系1話完結ものなんだが、やっぱこういう一味違う台詞と覚悟をキャラクターが言える辺りが、読んで10年以上経っても残るかどうかの違いなんだろうなぁ。まあ二次元のファンタジーならいくらでも奇跡だっておこせるんだけど、二次元でも死んだ人ってのはもう生きてる人に会っちゃいけないのかもしないね。

そういうの割と泣いちゃう方なんだけど、それ前提でも感動系作品ってどうにも人の死とか悲しみをポルノにしすぎて鼻についちゃうときがあって(キャラの強い想いとかを描くために死とかがあるんじゃなくて、殺せば泣けるとかリアルとか言ってるかのように見える時があって)、そういうデリケートな部分をどう配慮するかが名作と安っぽいお涙頂戴の違いなんだろうな。

手堅く読めるけど、結構後味の良くない話も多い、っていう前評判通りだな。12話で最近見た映画のゴーストニューヨークの幻がネタにされていたのがタイムリーだった(当たり前だけどやっぱり同ジャンル作品はいっぱい見て描いてるんだろうなぁ)。ゴーストもアレ、意外と夫婦の絡みって少ないんだけど、手放しのハッピーエンドにはしようのない話だし、最後の最後のご褒美、って構成なのは残されて悲しんでる人間をいたずらに傷つけないって意味で良かったんだろうな。
2023/08/26(土) 14:04 作品感想 PERMALINK COM(0)