再読3巻目。



唯(と、唯とリンクしたキャラ設定の遙)のキャラ背景が語られる巻。なんせ十年も前に徹夜で全巻読んだきりだったので、ここら辺は忘れてしまっていたなあ。設定としては王道なくらいなんだと思うが、こんな設定のヒロインに2巻で語られた「唯一の唯、唯ひとつの唯」なんて名前ついてるの、皮肉で美しいわ。つまり唯にとって、拓己と過ごした時間、拓己がくれた唯を想う気持ちだけが唯一本当だったわけなんだよな……。

遙のくれたバラの花の小道具を使った心情演出もまた美しい。設定もシチュもネタは王道かもしれないが、やっぱりこの心情の書き方はリバエン唯一って感じするよ。


読み返してみて感じるんだが、拓己だけでなく、共感や育ちなんかのバッググラウンドとか、そういうものでどのキャラも唯と横の繋がりみたいなもんがあるんだな。上手い、そして美しい構成だ。それがこの小さな箱庭のような学園の空気づくりに一役買ってる。ここらへんのみんなが仲良くなった頃の空気が本当に楽しいもん。夏の匂いとかよくわからないものを共有したり、肝試ししたり。一瞬で壊れるのも含めて美しい。孝弘、本当にかっけえ片恋男だわ……。
2023/09/29(金) 00:20 作品感想 PERMALINK COM(0)