戦争の作戦の為に橋爆発させるよーみたいな話。上巻は主人公ジョーダンと、彼に協力してくれるゲリラ隊のほのぼの日常みたいな感じ。そこそこ不穏になったり、各キャラの過去話が暗かったりはするが。
ピラール自体はとても好きな女性キャラだだが、ぶっちゃけ過去の虐殺話はくどくてテンポ悪く感じた。戦争文学として大事なシーンだと思うし、そのねちっこさがキモで、語ったピラール本人もねちっこくて嫌なものだと言ってるんだけど。
ぶっちゃけジョーダンもやってる事は現地妻、下手したらそれ以下で、他のキャラの事も小説のネタに見ていて冷酷な部分もあり、酷いものだと思うんだが。紳士ではあるはずの大いなる眠りのフィリップ・マーロウよりジョーダンのが好き。ヘミングウェイの、書いてる事は暗いのに澄んだ感性が好き過ぎて、呑まれてしまってるんだなあ。
若干特殊な三人称で、後半は章などで区切る事なく、ひょいひょいっと違うキャラの視点に移る。そして深く心理に潜っていく。並の作家だったら混乱するんだろうけど、翻訳者も原文も上手いから気にならないで読めた。
ちなみに上巻だと文章みっちり文庫本400p以上使ってまだ橋が爆破されない。それでも面白いけど。