だいぶ拗らせてる感じの少年の青春小説。読んだ本だとデミアンじゃなくてデーミアン表記。外国の小説探して読む時、割と翻訳者によってタイトル表記揺れがあるの、仕方ないんだがややこしい。


この前読んだweb小説に出て来たので気になって読んだ。他の読んだことあるヘッセ作品に比べると主人公が拗らせて気味で、現代で言うと厨二チックな部分がある。車輪の下とか短編とかは主人公が基本素直だから読んでて可哀想でいたたまれない部分もあったけど、この作品の主人公エーミール君は「父ちゃんに隠れて悪い事してんだぜゲッヘッヘ」みたいな斜に構えたとこがあるから何だコイツwみたいにどこかちょっと突き放して笑いながら読める感じで、ある種読みやすい。(同時に拗らせ具合が読みにくい感じもする)。冒頭のいじめからの救済のくだりはドラマティックだけど、案外一緒にいる期間は前体を見ると少ない感じ。離れていても心のどこかにデーミアンがいたってのは感じるが。

途中で年上の友人が出来たり、デーミアンの母に恋して星に恋した少年のお話を聞いたりするくだりが好き。

ラストで床に二人で横たわりながら、「口と口がくっつきそうだった」とかなんやコレBLくせえって思ったらホントにキスしたのは驚いた。まあ車輪の下でもあったけど、男同士でキス。外国と日本じゃ感覚が違うのはわかってるんだが、腐った目で見なくてもやっぱりびっくりするなぁ。なんかヘッセって男の友達に拗らせた感情抱えて最終的に破滅するような話多いな。翻訳者の言う通り本人はBLのつもりはなかったんだろうけど、BL感覚でも読めてしまう部分はあるよな。

ヘッセらしい少し寂しいラストだけれども、同時に挫けそうな時には心の中に友達を思い浮かべて前向きに生きる的なラストで、読後感が爽やかで良かったです。

この拗らせた主人公の話を、40代の時に20代の若者になりきって発表したというのがスゴイ。
2023/05/23(火) 11:50 作品感想 PERMALINK COM(0)