図書館行ってまとめて読んだ。



「だれでも一人ぽっちさ」「旅は一人がいい、探し物がみつかるからね」……三冊どれにでも一人ぼっちに関する台詞が出て来る辺り、魔女の宅急便はやっぱり「一人で悩んで考える」ってそういう話なんだろうな(コレは本編でも繰り返されていた描写である)一巻目のおソノさんがソノちゃんだった頃のお話は、切ない初恋が丁寧に描かれててちょっと泣けてしまったな。二冊目はジジとキキの子供のころのお話、三冊目は本編三巻に出て来たお騒がせ女子のケケが書いたお話という設定。私も一人旅に出て、食べると寂しい気持ちになる木の実を食べてみたい。

魔女の宅急便はわかりやすいお話でもないし、わかりやすい起伏のあるお話ではない。不思議は不思議のまま、よくわからない事もある。私も全部理解出来てるとは言えないけど、人は誰でも孤独みたいな感じを優しく、優しく書いているところが好きなんだよなぁ。一人で静かに読むのにこれほど向いてる本もないと思う。

まあわかりやすいエンタメって意味ではジブリ版の方が色々上手いんだとは思うけど、原作の空気に浸っちゃうとなんかアレが好かなくなってしまうんだよな。映画としてはああやってアレンジ加えたのは正解だと思うけど。角野栄子さんのやわらかくて美しい文体で書くからこの不思議なまったりした話が映えるのであって、コレを映画にしても面白くはない。

個人的にはこの作品ってすごいぼっち向けだと思うんだよね。わかりやすいロマンスがないわけじゃないけど、そのロマンスの書き方も一人で考えて悩んで……って話だし。我こそぼっち! って人にまったり読んでもらいたい作品。

しかし角野栄子さんって文章綺麗だなぁ……他の作品も読みたくなった。
2023/06/15(木) 20:22 作品感想 PERMALINK COM(0)