タイトルが有名(だと思う)小説。割と素直な流れの時限恋愛もの。




最初は合わないかな、って思ったけど、身体を張りすぎなヒロイン桜良のブラックジョークと皮肉っぽい主人公僕のやり取りが慣れて来るとつい笑っちゃうし楽しい。中盤の元彼の下りになるとちょっと不穏だけど「あーこういう男いそう」みたいな、粘着質で身勝手な男子がリアルで面白かった。個人的に、こういうキャラって女よか男のがリアルに感じる。この中盤から変化を見せる僕の心情は王道に良かった。仲直りのくだりは好き。

一個だけ言うと、伏線があったとはいえ、メタ的なテクニック(悲しみを増幅したり話を巻きにかかったり)やそれだけでない意図もわかるとはいえ、彼女の物語の終わらせ方はやっぱ嫌いな展開だなと思った。こういうのよく見るけどさ、絶対に変えられない悲しい終わりが約束された物語で、これ以上酷い追い打ちって悪い意味でキツイだけで読んでて楽しくなさすぎる。作者すら揺るがせようがない部分以外は優しさでくるんでほしいなって思う。ワガママかもしれんけど。自分が読んだヒット系時限恋愛もので、ここら辺の優しい気づかいを感じる作品は今のところ「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」だけだなぁ。

泣きはしなかったけど、終盤のとても素直に気持ちの変化と悲しみが書かれた主人公の心情は好き。親の反応とか若干クサい部分もあるかもしれないけど、前述の個人的に嫌いな展開を除けば、時限恋愛ものとして満足な感じに綺麗にまとまってた。

主人公の名前、片方は予想が当たっててニヤリと出来た。まあ語りがそのまんまだしね……桜良ちゃんと合わせてお似合いの良い名前チョイスだと思う。タイトルの意味も悪くない。

時限恋愛ラノベ(面白いけど、ノリはラノベだと思う)が好きなら普通に楽しめる作品だと思う。
2023/07/02(日) 13:15 作品感想 PERMALINK COM(0)