本読みながらハーメルンのバイオリン弾き魔曲全集(アニメ版のサントラ)聴いてる。コレ実は全部で3種類あるらしいね、知らなかった。(DVDボックスに付いてるのはDISC2まで)
原作のイメージ曲もそうだけど、大半は元ネタのあるクラシック、でも全体的にやっぱり曲は最高なアニメだな。いやまあ……内容も出来は悪くないんだが……やっぱりあまり褒めたくないな、ここまで原作の人間讃歌をあざ笑う内容だとね。

原作者の渡辺先生は原作に忠実なアニメ化も望んでいるっぽいが、続編でハーメルとフルートが幼なじみだの、ライエルが敵対するだののアニメ要素取り入れてる辺り、少なくともアニメを嫌ってるわけじゃないと思うが、ブレインだったアシの人がブチ切れたのは当然だと思うし、それはただシリアス一辺倒なせいではないと思う。

原作に忠実なシリアス化だったら、「人の想いは恐ろしい」じゃなくて「人の想いは美しい」っていう熱い人間讃歌になるはずだからな。

しっかしオチはアレで良いとしても、もう少しキャラクターの魂の救済くらいしてやれなかったものか……。三十年近く前のアニメ今更掘り返してブツブツ言ってる自分のがクソとはわかってるが、メイン四人、誰一人心救われないラストを思うとね……。アニメのライエルとフルートは悲惨過ぎる。どう解釈しても報われないラストも悲しすぎる。

見た後のやるせない読後感は花散峪山神考にも似ているが、こっちも大きな運命に翻弄される物語ではありながら、あくまで破滅は主人公が選んだもの(EDの歌詞にもハッキリそう歌われているレベル)なのに大して、ハーメルンのアニメは運命にキャラが振り回されるばかりの話だからね……。序盤のくるみ割り人形になぞらえた話くらいならまだハーメルンしてたかもしれないけど、終盤はひたすら悲惨な運命に振り回されるキャラクターの物語だったな……。

未だに「死ね」と「鬱ファンタジーとしての上手さへの絶賛」が同率の数値で評価不能なんだよな……。

でもやっぱキャラが運命、言ってしまえば作り手のストーリーに振り回されてばっかの話って出来が良くても気分良くないなぁ……。

何か一つでいい。キャラの自己満足でも良い。作り手に、物語に、キャラクターが一矢報いてくれないとあまりにも後味が悪い。冗談抜きでアニメハーメルンにはそれが一個もないからな。(唯一それがありそうに見えたフルートすら、不吉な予言的に暗い重い女の自己の救済があったとは言えないと思う)そういうのなくてほら暗いだろ重いだろ言われても、「はあ、そらお前がそう作ったんだからそうだろ」としか思えん。絶賛部分がありながら、こうしてマジで顔をしかめながら文章打ってるのは、アニメハーメルンに対してどこかそういう白けた気持ちがあるんだと思う。まあアニメハーメルンは運命に翻弄されるばかりの人々ってのも明確に狙ってる話だと思うから、こんな悪口言ったところで……なんだが。

いやあでも嫌だなぁ、あの口下手の不器用のへそ曲がりのハーメルが、妹相手には一生懸命誤解解くためまくし立てて最悪の兄妹対決は避けたのに、アニメでは地獄の愛憎劇やっちゃったとことか、ダークな業の深い女になったフルートやパンドラ母さんほど開き直った変身も出来なければ、原作の恋愛相手のサイザーともフラグ折れてて、愛の勇者という彼の一番のアイデンティティも、友達の火の鳥君も消えちゃってるライエルとか、ほんま地雷踏みまくりのアニメだなぁ……ブツブツ。原作者が愛しているっぽい以上、一介のファンもコレを肯定すべきと思いつつ、続ハーメルンでコレの要素が入るの自体は良いとは思いつつ、やっぱり嫌だなぁ……全肯定は死んでもやりたくないなぁ今のところは。
2023/07/17(月) 13:19 作品感想 PERMALINK COM(0)