やきにく亭
～キャベツを添えて～

とにもかくにもクソみたいな登場人物ばっか！！ エンタメとして笑って楽しめるのは表紙にも抜擢されてる宮を浜辺で蹴っ飛ばすとこまでだな。なんか昔学校の先生に、国会図書館の金色夜叉には「ここ(貫一がヒロインの宮を蹴っ飛ばすシーン)以降は別に読まなくていい」とかいう落書きがあるとか聞いたことあるけど、それは言い過ぎにしても言いたいことはわかる。これ以降も面白いは面白いんだけど、登場人物のクズ度がマシマシ過ぎて気分がわりぃ。読みながら何度しかめっ面して休憩挟んだかわからん。

貫一、宮が元気ないの見て、宮が一番好きなお菓子のウイスキーボンボンあげたり、ホント可愛い男子なんだよな。いきなり出かけてお手紙もくれないの変だなってそわそわしたりさ。

なーにがそんな気分悪いかってさ、もう作中で主人公の貫一が言ってる通り、宮の家って全然金にも困ってないから銀行やってる富山の家に嫁ぐ理由なんて、自分ちより金持ちの家の金に目がくらんだ以上の理由がなーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーんもないのよ。それをさぁ、宮もそうだが両親もうちよりか金のある家と縁が出来たらサイコーじゃんってなって、貫一と宮を結婚させようとか自分から言ってたの蹴って嫁がせるわけよ。そんなん貫一がキレるの当たり前じゃん。貫一って成績優秀で、時代考えたらめっちゃくちゃ高学歴でさ、これからももっと勉強してもっと上の学校行ってさ、貫一本人が言ってる通り、今はお金なくてもいい仕事に就いて、宮もその両親も不自由させないくらい給料もらって来れる人になれたわけよ。それをさ、家族ぐるみで蹴ってるわけよ。お金が全然なくて、首まわんなくて、金持ちのところに行くしかない……みたいな話じゃなくて、両親とヒロインごと金持チンポに屈してるわけよ、自分ちも貫一が上の学校卒業して就職するまで問題ない暗い金のある金持ちなのに。クソ過ぎる。

散々ネタにされてるけどさ、宮カスなんか蹴飛ばされて当然だわ。蹴っ飛ばした後我に返って「ケガをしたのか」なんて訊いてる貫一が可哀想になるレベルだわ。これまた貫一も言ってるが、宮が乗り気ってのが一番クソい。こんなの親が「うちにだって金あるんだからそんな金に目くらんで、恋人裏切るような真似すんな」って叱るべき場面なのに、一緒くたになって金持チンポに屈してるのが生々しくてクソ過ぎる。貫一をここまで育てた恩を盾にするとこがしばしばあるのもクソ。後半の宮と両親で組んで、貫一と縁を戻してこのクソじじいとクソババアの死に水取ってもらいましょうよとか言い出してジジイが来るとことか、下手なホラーよりホラーだろ。自分達が先に裏切った癖に、ジジイが貫一が家出ていったのにキレてるのもクソ。

クソ宮とそのクソ両親がクソ過ぎて、飯屋で好き好きアピールしても「そういうのいいから君も飯食べなよ」だの、見舞いに行っても「まだいたの？こんな何度も来なくていいよ、もう来ないで」言われてもやって来て、貫一の世話になってるジジイに口説かれて困ってる愚痴吐く満枝がまともに見えたレベルだもんな。この女も気持ち悪いんだけどさ、宮のクソ親父を追い返したところでちょっと見直したわ。

まーた貫一の同級生たちもクソなんだよな～。自分達だってそれと知って高利貸しに金借りたくせして、松茸だのビールだの、仲間とはしゃいだうえで、金で融通が利かねぇからって貫一ぶん殴って借金の書類くすねてさ。高利貸し関係の人らのがまだ人間としてマシって終わり過ぎだろこの世界。そらまぁ連帯保証人だからホントに借りたわけでもないし？ もう借りた分は返してるのに利子だけが膨れ上がってて返済が終わらないってのは確かに闇金全開の商売過ぎてクソだよ？ クソだけどお前らはもっとクソ過ぎて、こんなの宮カスに裏切られて闇落ちした貫一じゃなくても勘弁してくれるわけねぇんだわ。松茸ではしゃいでんじゃねえよカス共が。な～にが「うう、好い松茸だ。」じゃ。てめぇらの股間の短小ショボキノコ全部千切り取ったろうか。な～にが「貴様これが人情だぞ。」だ。クズ共の不愉快な仲間達の中でもワースト１にクソの蒲田ごときが、ありもしねぇ人情語ってんじゃねぇぞ。

こんだけゴミカスフルコースなのに、メインディッシュに宮カスまんこが残ってるから気分わりぃ。嫁入り数年後の宮のクソ描写、まず軽いジャブとして

「彼は別れし後の貫一をばさばかり慕いて止まざりしかど、過を改め、操を守り、覚悟してその恋を全うせんとは計らざりけるよ。真に彼の胸に恃める覚悟とてはあらざりき。恋詫びつつも心を貫かんとにはあらず、由なき縁を組まんとしたるよと思いつつも、強いて今更否まんとするにもあらず、彼方の恋しきを思い、此方の富めるを愛み、自ら決する所なく、なす所なくして空き迷に弄ばれつつ、終に移すべからざる三月三日の来るに会えるなり」

とか書いてあんの。コレさぁ、小難しい文章で書いてあるけど、要するにさ、「結婚後別れた貫一を慕ってるけど、貞操守って覚悟して敗れた恋を全うするまでは出来ね～。そこまでの覚悟ねえわ～。悪いことしたなぁ、ダメな結婚したなぁって思うけど、貫一さんを結婚後も思いつつも富山の家の金サイコー！で気持ち未だにフラッフラですぅ♡」って事だろ。マジ宮カスって感じ。結婚しても貫一の事忘れないわ～とか有名な浜辺のシーンでほざいてたけど、ホントコイツただ忘れないってだけなんだな、草も生えんわ。

この後、富山のクソボンボンはボンボンなりに宮を可愛いなって思ってる描写が入るのもまた宮カスのカスたる要素を百万倍にしてる。コイツ出てきた時は「みんなが悪い遊びしてる時にボンボン全開でダイヤの指輪なんかしてきて、こんなやつ私だって肘で小突くわ」とか思ってたけど、コイツも被害者だなと思うくらいには宮カスが嫌いだわ。少なくとも唯継は、宮を愛して結婚したわけでさ。ま、コイツもコイツで宮を散歩に誘った時、宮の母親がついてきそうになった時はめっちゃすごい勢いでお母さんはいらん(要約)言ってるしチンポで動いてんな～って感じはするんだけどさ。でも富山のボンボン旦那は宮と貫一のことなんか何も知らないわけだよね？ だから普通に被害者だよなって思う。

その上で

「もとより宮は唯継を愛せざりしかど、決してこれを憎むと荷はあらざりき。されど今はしも正にその念は起これるなり。自ら謂えらく、吾夫こそ当時恋と富との値を知らざりし己を欺き、空く輝ける富を示して、うるべくもあらざりし恋を奪行けるよ、と悔の余はかかる恨をも他に被せて、彼は己を過りしをば、全く夫の罪となせり。」

とか書いてあんの。あのさぁ……もう書き写してて不愉快だったレベルなんだけどさぁ、お前が富山んち嫁いだのは貫一の言ってた通りお前の意志だろうがよ。なーに金で富山のボンボンが私を誘惑した！とか小難しい物言いでほざいてんの？ もうこいつ死ねよ本当に。

コイツのカスまだ留まるとこ知らなくてさ、金持ちの家嫁いでおいて、一回子ども産んだけどすぐ肺炎で死んじゃって、その件で母親にまだ次出来ねえのか言われても「出来るわけありませんわ」とかドヤ顔してんのよ。クソ、マジでクソ。あのさぁ、めっちゃ金持ちの家嫁いだならさぁ、お世継ぎ産むのが一番の仕事だろうよ。今だとこういう発言は差別だろうけどよ、時代考えたらそうだろ。そんなこともわかんないで、もうコイツの子供産まない！とか勝手に決意(かなり大爆笑)してドヤ顔してんのクソ過ぎ。つーかコイツ、憎ったらしい旦那との子にしたってさぁ、お腹痛めて産んだ、すぐに死んじゃった子どもに対してなんかないの？ もう溜息も出ないよ……。

っていうかさあ、姑とも親とも同居してないで、使用人以外は旦那と２人暮らしで悠々自適なのに自分に酔ってて、話的に浮気はしょうがないにしても、自分に彼なりに良くしてくれる旦那とその実家に愛や世継ぎを作る使命で恩を返そうとしない、苦労も一切ないこの宮カスまんこが浮気もの作品とか置いといても無理過ぎる。アンナカレーニナだって可能な限りの離婚状態の別居まで持ち込んで、産んだ息子は連れていけないのに苦悩してたし、ロミジュリのジュリエットだってオチの悲劇まで彼女なりに頑張ってたわ。(そもそもジュリエットは宮カスと違って金持ちの縁談最初から乗り気じゃねぇし、イケメンだろうが金持ちのぐう聖だろうが嫌ってスタンス)。コイツほんっとうにそういう苦労ねぇからな……一発蹴られるだけじゃ生ぬるいっつーかあのまんま海まで蹴飛ばされて沈んだらよかったんじゃねぇの？ってレベル(キレ過ぎ)。優柔不断過ぎて多くを求めすぎてどうなの？って読みながら思ったアンナカレーニナだって、親ほど歳離れた旦那に嫁いでも、ヴロンスキーとかいう恋人が出来るまでは良い母で良い妻をしてたのに、この宮カスと来たらさぁ……。ほとんどまともに愛された期間がないっぽいの(まあ嫌いじゃないって期間があった程度？)、富山のボンボンに同情しちまうわ……。はー宮カスクオリティ。

アンナとジュリエットは昔の女の扱いや宗教的背景、家と家の不仲のしがらみとかの被害者的側面あるから多少同情は出来るんだけど、宮カスってそういうの本っ当にないからな？ 自分で結婚相手を選べる立場にいる上でコレって流石に無理オブ無理過ぎる。

こんなゴミ一家が現状なんの報いも受けず、貫一に良くしてくれた高利貸し夫婦は焼死すんの、確かに人を食い物にしてた闇金融のカスらしい末路とはいえ、息子の「もうこんな危険な商売やめてくれ！」という真摯な願いを夫婦ともども突っぱねた自業自得とはいえ、やっぱり悲しいわ。貫一と実の息子への愛は本当だったからさ……。宮カス両親なんか金持ちと縁が出来てウッキウキしてる上、貫一に対して逆ギレかまして、あわよくば老後の面倒見てもらおうとしてたもんな。やっぱ宮のクソ一家が真っ先に焼死すべきだった。腹立つ。いくら貫一を育て上げたって言っても、それを盾に「一人娘はやらんけど家はやるし今後も卒業まで面倒見るから老後のシモの世話までしろ（要約）」は普通にクソやろ。それさぁ、まあ人間だから立場弱くなったら切り札のカードに言っちゃうだろうなって意味ではわかるんだけどさ、言った時点でもう畜生でしかないだろ。

なんかさあ、こういう事さあ、言っちゃいけないってわかってんだけどさ、わかってる上でさあ、宮ってホント煽り抜きでマジでま～ん（笑）とかまんこって感じ。この言い方嫌いなんだけど宮には思うわ、女の自分から見ても。女キャラこんなに嫌いになるの珍しいな、男キャラとかならわかるんだけど。女キャラにここまでの表現使ったの、覚えてる限りでは生まれて初めてだと思う。エロ作品の直球ビッチ女でもこんな感想出ないもん。まぁ作中でも貫一に「姦婦」「銅臭の肉蒲団」とか言われてるしな。淫乱浮気女、臭い肉便器ってことやろコレ？ 公式の悪口が最大手過ぎる。私の量産型ネット用語悪口なんか足元にも及ばんわ。

浮気テーマの作品で人間として１００点の行動取れなんて言わねえよ、言わねえけど他の浮気女作品と比べても、浮気作品って枠組みで見てもクソ過ぎんだもんよ……。こいつサイコかなんかか？？？って煽り抜きで思っちゃうレベルだもん。金に目がくらんで人生後悔してる、浅はかな若い女ってののが正しいんだとは思うし、こういう女いそうな気もするけどさぁ。性悪ブスとかぶりっ子ちゃんとか、ギャルゲで大不評な攻略ヒロインとかクソビッチとか非処女とかでも割と好きな方なんだけどな。宮はいくら美少女でも無理（ｎ回目）。時代背景考えても、ずいぶんフリーダム（笑）に生きられて楽しそうですね、って感じでどこまでも目線が冷たくなってしまう。

ボロッカスに言ったけど、今読んでも不自然さを感じないくらい登場人物の感覚がリアルで、上手い作品だとは思う。シナリオそのまんまで、人気俳優連れて来て令和にテレビドラマ放映しても十分通じるんじゃないかなってくらい。でも、もっと鬱な作品読んだ時より圧倒的に疲れた……。具体的に言うと、花散とか犬神家の人々みたいな地獄を摂取した時より疲れた。花散と犬神家は、キャラの根っこがクズってわけじゃない(人の愛情が狂ったり掛け違えてしまった結果の悲劇の連なり)、あんな話なのに案外読んでて空気が悪くない部分があったんだが、金色夜叉はな……。

いくら文学がとにかく暗くしないと死んじゃう病ジャンルって言ったって、コレは暗いんじゃなくてちょっと雰囲気悪過ぎる気がするよ……。人間性の治安が終わり過ぎだよ……。上手いし面白かったけどさ。堀辰雄の風立ちぬや森茉莉さんのエッセイみたいな、慈しみたいもんを穏やかに描く作家のがＳＳＲレアであろうジャンルとはいえさあ……。ホント空気が悪い、胸くそが悪いのと鬱、暗いって別ジャンルだな。ここんとこ作品読んでは何度も何度も思いがちな事なんだが。

【怒りですっぽ抜けちゃった、数少ない癒しポイントまとめ】
・満枝さんが一生懸命しゅきしゅきアピールしてるのに、思わず吹き出すレベルにそっけない(大体宮カスのトラウマのせい)貫一の掛け合い。コントのようだった
・実の弟が死ぬより、貫一がいなくなった方が寂しいよとか強烈ブロマンス発言する兄貴分兼親友の荒尾
・悪人になりきれない貫一の可愛さ（主役が彼じゃなかったらきつ過ぎて投げてたわ……）
・「父ちゃんが愛した君に父ちゃんの財産あげるよ、だから真人間になってくれ」って言った、貫一が世話になった高利貸しのぐう聖息子
・貫一がつけた富山のボンボンのあだ名がシンプルにダイアモンドだった事（直球の悪口って感じで好き過ぎる）