バラン戦終わりまで。

純粋にこの二話は動画の動きがものすごい。竜の騎士の親子、怒りの対決がこの上なくアニメ的に表現されていて、正直原作程演出に惚れないなぁ……とここまで思う事が多かった私も、ここら辺は原作越えの演出だなぁと思う。動画に気合い入れすぎて東映の偉い人にアニメスタッフが怒られた、っていうのもうなずける。普通に劇場版レベルだろコレ。

あの世からダイとの思い出を回想しながらダイを助けようと奮闘するポップ、記憶を取り戻してくれたポップとの思い出を浮かべながらバランと戦うダイ、現世とあの世で隔たれていても思いあう熱く美しい友情が泣かせて来る。バトル演出だけじゃなく、泣かせるドラマ演出もかなり良いね。

今こうして見ると、今更生き方を変えられない、ダイをまた倒しに来る、なんて言って息子に討たれようとする不器用すぎる父ちゃんのバランの姿が切ない。

そしてそんなバランすら、その生き様、友を想う美しさで攻略してしまうポップ、本当に人たらしな男だなと思う。

っていうか変な意味とか置いといても、ポップって女子以上に男子にモテるよな。わかるけど。男子モテするタイプの奴だと思うけど。この後ハドラーまで生き様で攻略しちゃうからな、コイツ。最終的に、他の男とも言いムード作ってた本命女とまでいい線行っちゃうんだから普通にすごいな。まあ私もお前の事ダイ大で一番好きだけど……。

息子への罪滅ぼし、って意味合いもあるかもしれないが、それ以上にポップがこのまま死ぬには惜しい奴だって思えるような奴じゃなかったら、バランもポップの事生き返らせるなんてしなかったよな。すごくポップの心意気に感心してたし。

今見返すと、バラン戦はポップの勇気が奮い立つ、ポップ大活躍なバトルなんだけど……ダイのためって何度も命捨てるような真似して、メガンテまで使っちゃって、それでもあの世のゴメちゃんとの会話で「おれはもうダメだ、今まで生き残れたのが不思議なくらいなのさ、おれの力なんて、しょせんここどまりだったんだよ……」なんて発言が出ちゃうの、なんとも悲しいくらいの彼のコンプレックスを感じるなぁ……。うーんアバンのしるしが光らない問題、あんなに勇気を出して頑張って来て!?って思ってたけど、ここでゴメちゃんに「弱虫!!」って言われるくらいには、心の底がまだ弱虫なんだろうなぁ……。いやもうこの時点で弱くはない、バランだって認めてたわけだし……。やっぱり自分で自分を認められていない、ってのを強く感じるのが切ない。アバンのしるしがひからない、ってイベントもうなずけるような描写が、結構ずっと続いてたんだなぁ……。

うーん、ポップって勇気がない、実力がない、じゃなくて自信がない、のかな……。お調子者キャラなんだけど、その実仲間の中で一番自信がない。今後仲良くケンカする仲になるチウの絶対へこたれない勇気を認める描写があるのも、自分にないもんを持ってるものへの尊敬の気持ちなんやろなぁ。

この前の勇者の武器は勇気、ってくだりで「勇気、そりゃあおれにはねぇもんだなあ」って言ってるの、展開の目くらましだけじゃなくて、ポップの自身の認識でもあるよなぁ……。頑張れ、頑張れポップn回目。
2023/09/19(火) 20:02 作品感想 PERMALINK COM(0)