プレイに時間がかかるし動かないもの買ってもしかたがないので、エロゲだけは作品ページ見た瞬間自分に合うか、動くか見ただけで一発でわかる能力が欲しい(FANZAの500円セールを覗きながら)
プレイに時間がかかりすぎるのはなんとかならんものか……ボイス付きの小説じゃあどうしようもないんだろうが。正直ボイスなくてもいい気がして来たな。イマドキそれも無理だとは思うが。ボイスなくてプレイ時間も短かったTreating2Uは逆にサブキャラ含めてボイスくれってなっちゃった皮肉。ガチャガチャな出来というか、言いたいことがブレてる感じがしたキミへ贈る、ソラの花が心に残った理由の半分は、メインヒロインの茉莉ちゃんの声優の超熱演もあるからやっぱボイスはあった方がいいとも思うのだが。反面このゲーム、妹の声優が下手だったな。聞いてらんないレベルに……。(そういう部分も、出来がガチャガチャ)

エロゲーってやろうと思えばいくらでも分岐入れられるから、いくらでもやりたいエンドとかぶっ込めるけど、安易にそれやると作品の統一感って意味での完成度が落ちるよね。だから意外とビターな結末で終わって、ハッピーエンドが用意されてないゲームのが多いんだと思うけど。ソラの花はグランドエンドがイラネーと思った珍しいゲームだった。アレは茉莉ビターエンドで言いたい事やりたいことが全部終わっとるゲームだと思う。製作者が信じてなさそうな、キャラが望んだ願いを放り捨てて妥協したグランドエンドやハッピーエンドなんぞいらん。茉莉、なんでお前はお前の望んだハッピーエンドを捨てたんや……。プレイして数年経っても私はまだ納得してねぇぞ……。ビターの方がずっと忘れらない&こんなに感情移入できたエロゲヒロイン珍しいなって意味でも。

っていうかこのゲーム、「幽霊との共存」っていうゲームの目的、世界観と、メインヒロイン茉莉の願いが水と油過ぎる。雪花ルートも結局まともな残留エンドねぇし。そもそも攻略ヒロイン五人中二人しか幽霊ヒロインいねぇし。この二人の話は泣ける部分もあるんだが、そのガチャガチャした噛み合わなさのせいで、読後感の良さに繋がらない。これはオチがハッピーかビターかの問題ではなく。

なんか企画だか世界観だか考えた人とシナリオライターが違った気がするから、そこら辺も剥離の理由なのかな……。このテーマありそでないからすげぇ期待したんだけど、この部分が一番イマイチで直球の幽霊ホラーと定番幽霊感動ネタがオリジナリティ溢れてて記憶に残ったという皮肉。やっぱり幽霊ってのはこの世にとどまってはいけないものなんかねぇ、物語の中でも。やっぱり作ってる人が信じてないファンタジーやメルヘン要素は説得力が出ねぇなあと思った。綺麗な草花摘んだら触っただけで毒くらう毒草だった、みたいな作品だったな、ソラの花。

マーガレットスフィアのように、クサくても多少滑っていても、花の美しさを、メルヘンの美しさを信じるような熱血が欲しかった。女性ライター一人が作った作品と男性ライター一人が作った作品、花の物語と言うことで、この二つは対比的な作品だな。マーガレットスフィアは細部に疑問があるが、キャラエンドが各ヒロイン一つだけ、全部ハッピーエンド、恥ずかしいほどの美しい比喩表現、みんなで可能な限り頑張った結果のご褒美的物語と統一性と構成が良い。ソラの花は局所的に上手い。細部だけ拾うと100点取れる。でも統一性がない。最終的に言いたい事に個々の要素が繋がっていない。なんなら上手い部分が最終的な結論や全体の構成の足引っ張っちゃってる。マーガレットスフィアはソラの花と反対というか、花壇や花屋の立派な花かと思ったら、その辺のアスファルトから顔出してるタンポポみたいな、素朴な草花だった感じ。

マーガレットスフィアもなんか惜しいゲームだったけど、どっちを尊敬するかというとマーガレットスフィアかな。やっぱ読んでて作者に迷いがなさそうな作品のが好き。あと素朴なシーンで泣けたのが好印象。下手くそなクッキー作って来るヒロインとか、自分を描いた下手くそな絵見て嬉しいって泣くヒロインとか。多分狙って泣かせようとしたとこよりそんなつもりはなさそうなとこで涙腺が緩むゲームだった。声優の熱演もあるんだろうが、テキストの素朴な部分がとにかく素晴らしかった。自分が作るもんの美点にライターが気づいてなさそうなのが美点でもあり、欠点でもある。

主人公が大地で、ヒロインたち全員が花の名前というセンスも好き。主人公が「君の心にマーガレットの花を咲かせてみせる」とマーガレットの名を冠するヒロインに言っちゃうセンスも好き。ここまで恥ずかしい事を迷いなく言ってくれる男は、エロゲ主人公でもなかなかおらんだろう。ソラの花もヒロインが全員花の名前なのに、こういう良い意味でクサい台詞ってないし。

「やっぱりメルヘンって男子が書く方が向いてるよな」という自論を強化する感じの、一見どっちもメルヘンなソラの花とマーガレットスフィアというエロゲの空気の差は面白い。女の人のメルヘンも美しいけれど、なんというか……やっぱり現実を見てる感じだよね、少女漫画のくるみと七人のこびとたちの結末もそうだったけど。(そしてこの作品はその上で、メルヘンを肯定しているわけなんだが)。ソラの花も一番輝いていたのは、幽霊と人間の共存なんて楽園を捨てた、夢の終わりみたいなエンドの方だし。やっぱそっちの、夢の終わりの果てに咲いたソラの花のがずっと綺麗だったよ。今も忘れられないくらいに。こっちの花は茉莉の本当の願いの果てに咲いた花だからな、そりゃ当然よ。めんどくさいオタククソ女の心に美しい呪いとして咲いて枯れてくれん。グランドエンドの方でのソラの花の意味とか、どうでも良すぎて、茶番過ぎて多分ライター本人も大して信じてなくて、全く思い出せんもん。

言っておくが理想論、綺麗事だから嫌いって話じゃない。ファンタジーなんぞ所詮幻想なのだから、書いてる人が信じてなさそうなもんはオタクの中でも輝かんって話。茉莉ビターエンド見たとこで敢えてやめた、って感想見たがすげぇうらやましい。私もそこでやめとくべきだったな。茉莉ビターエンドだけもっかい読み返してぇ。エロゲは消したあともっかいセッティングし直すのがめんどい。ビターエンドの茉莉、本当に残酷で美しい花だと思う。もし彼女のルートにこのエンドしか存在せず、私や他のエロゲニキをぶん殴って何もフォローがなかったら、面倒くさいクソ女私はお前を殿堂入りエロゲヒロインに認定したし、私と感性が違うエロゲニキ達は怒った事だろう。本当このエンドの威力瞬間風速はすごいんだ、声優の熱演とライターの脂乗った文章と、キャラっていうか一人の女の念願が叶う合わせ技でさ。なのに舞台設定と構成考えると、こんなにキレイな花なのに、むしろ邪魔な雑草として取り除くべき部分だった感じなのが悲しい。

EDのハナノオトも、どう考えても茉莉ビターエンドを歌ってんだよなぁ。「空を見上げる。僕だけの花が咲き誇っている」「落ちた涙は空に還る。君の心の花を育てる」って感じの歌詞のくだりとかさ。(意図的に歌詞の一部は変えてある)一応グランドの意味もあるんだろうけど、前述の通りどうでも良すぎて忘れた。作中に花の美しい比喩はさっぱりないのだが、このシナリオライター作詞のEDには独自の美しい感性の花の比喩が入ってんのもガチャガチャな作りかつ面白いな。やっぱこのライターの根っこの感性そのものはすげぇ刺さるんだろうな……それがもどかしさにも純粋な感動の感情にも伝わってると言うか……。このライター、ある種の醜さとか辛さ描いた方が一般的に綺麗とされてるものを描いた時のマジで何億倍も綺麗なんだよな。「悲しみと苦しみで流した涙が、心の花を咲かせてソラの花も咲かせる、明日の糧になる」って感じの作詞センスとかそれ。不思議な文章書きだな。てかやっぱコレゴリッゴリに歌詞読み込んでも茉莉ビターエンドの歌やろ……。だってグランドエンドはこんな、EDで歌うような辛い涙なんかないはずだしさ。

つまりなんだ、男性ライターが描いたメルヘンや幻想ものギャルゲなら私にとっての当たり率が高いのか? パティシエなにゃんことか最終試験くじらとか花散とかはぴぶりとかlikelifeが大好きなのを思うと、そうかも……。いやまぁ、くるみと七人のこびとたちとか鳥篭のむこうがわとかも大好きだから、そしてソラの花も部分的には100点満点だから、究極的には個々の作家との相性の問題で、性別は関係ないんだろうが……。我ながら本当にキモイ事言うんだけど、好きな感じの男性作家が描いた幻想譚世界に読者として口説かれるのが好きみたいな、キモイ性癖がある。(キモいからちゃんと二回文中でキモイって言った)
2023/10/06(金) 00:28 作品感想 PERMALINK COM(0)