いいな~コレ。すごく情感豊かな綺麗な地の文。今見ても綺麗なグラフィック。時代考えるととても豊かな夏らしい演出群(線香花火のくだりとか実にいい!!)主人公がすごく落ち着いた人柄の一人称僕お兄さんで、ボイスも優しく甘い!なんとこのゲーム、男性もフルボイスなのだ!(といっても管理人さんと主人公くらいしか男子はいないが)。全体のクオリティの丁寧さ、完成度、流石今は亡きエロゲの金字塔メーカー、エルフの残した遺作! システム周りは流石に不便だが……(全画面以外で起動無理っぽい&セーブデータ保存数も少ない、スキップは既読スキップあるからありがたい)そこは20年以上も前の作品だから仕方ないね。

でもお高いんでしょう? それがなんと、10月10日23時59分までならこの名作が、500円のワンコインでDMMのDL販売で変えちまうんだ!本当かいトム!!

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追記でネタバレ感想
前半の天真爛漫で無邪気なちなつちゃんがとても可愛かった。治美姉ちゃんとの対比が出てるのも良かった。治美おねーちゃんが食べられない事を嘆く感想を見かけた気がするが、どう考えても彼女はちなつちゃんの引き立て役、或いは織姫が紡ぐ糸のように、キャラの横の繋がり、広がりを表現するためだけにいる女だ、諦めろ。多分エロゲやる兄ちゃんは治美ねーちゃんみたいなののが好きだと思うが、おとなしくちなつちゃんに萌えとけ。

前半のちなつちゃんは、ワガママも言えば物も知らないし、本当に子どもって感じなんだけど、主人公がすごく優しくて面倒見良くて落ち着いたお兄さんだから、優しく包み込むような感じで、ずっと雰囲気が良かった。王様ゲームの紳士すぎる振る舞いは、ちなつちゃんと一緒に主人公とときめいちまったわ。ワガママ言っても可能な限りは叶えてあげようとするし、治美に甘やかさないでほしい、って釘を刺された後も、急に冷たくするような事をしないのが良かった。治美ちゃん通りがからないでくれよ……とか思いながらいつも通りにしてるのが良かった。こういう妹分とか後輩系女子って、山場のため主人公が不用意に傷つけるような描写が多いからなぁ。

そして後半、ちなつちゃんが意外な面を色々見せてくる。このギャップと構成が良い。演劇部ってのは色んな意味で伏線だったわけだな。無邪気かと思いきや、主人公と交流して恋を知って、大人っぽい顔を見せて来たり、本当はあんまり明るい子じゃない、ガマンばかりして来た、大人っぽく振舞っていた一面が見えて来たりするのが、女の子の秘密を覗いている感じで、エロシーンイッカイダケの昔のゲームだが、十分しっとりした女の子の色気を感じられる流れ。

ずっと続けられる恋じゃない……って空気はひしひしと感じられたけど、今の時代ノリでやってるとこの感覚がピンと来ないかも。1999年発売作品、まだエロゲもデッケーパソコン持ってる、アキバとか行く兄ちゃんくらいしかプレイしてないであろう時代(少なくとも。私がよく利用してるDL販売とかまだ一般的じゃないだろう)、携帯もスマホもSNSも普及してない時代ってのを鑑みないと、このひと夏の恋、最後のドラマティックなエピローグがややピンと来ない可能性がある。外で遠くの人に連絡とか取りたかったら、謎の女の子がくれた謎の10円玉とか使って、公衆電話をかけるしかないような時代というのは頭に入れといた方が良いと思う。

この時点でもそんなに事前情報ほど地味ゲーとは思わなかったなあ。キャラクターとドラマはしっかり作り込まれているし、ちなつちゃんのの言動には色々な意味でドキッとする部分も多かった。ちょっとした意外性もあるし。不思議な女の子が昔ばなししてくれる時にふっと背景が夜空に変わる演出とか、流れ星のアニメーションとか、むしろ今だにこういうの凝ってないエロゲは凝ってないと思うし……。文章も思ったほどポエムではない、情感豊かで綺麗ってくらい。花火をリアルの花に例える言葉の綺麗なセンスとか、山の美しい景色と空気とか、情景が上手い作品だ。起動したときの演出どおりの小説的な上手さがある。この作品のシナリオライターさんはとても感性が豊かだなと思った。

三連休中にコンプしたかったが、見たい作品多すぎて無理だった。でもコレはすごく気に入ったし、最近エロゲ熱落ちてたが絶対コンプまでやる。
2023/10/09(月) 16:28 作品感想 PERMALINK COM(0)