うーん、面白いんだけど今回はちょっと中間の話が後味悪いかも。







最初の「女ぺてん師ダリラとその娘の「女いかさま師ザイナブ」とが、「蛾のアフマード」や「ペストのハサン」や「水銀のアリ」とだましあいをした物語」は、この物語の語り手のシャハラザードを超えるんじゃないか?ってほどやり手のダリラ婆さんが面白すぎるし、その娘もこの親にしてこの子ありみたいな女子で面白い。やっぱり私はこういうぶっ飛んだ女キャラが見ていて大好きなんだなぁと再確認。千一夜物語、女子勢はホンマ可愛くて、ばあさんすら魅力があって、今でも通用するような子ばっかで文句ない。

ただ次の「猟師ジゥデルの物語または魔法の袋」は実兄×2がゴミカス過ぎて不快だった。まあ千一夜物語自体、昔の物語だけ会ってぐう畜と暴力とセックスとレイプであふれた治安終了した世界なとこはあるんだが、それにしてもこの実兄のゴミ共は末っ子弟と母親から搾取するばかりのゴミオブゴミ。こいつらのせいでオチもスッキリしねぇ。次のゴミカスみたいな縁をぐう聖主人公に代わって、王様が叩き潰してくれる「アブー・キールとアブー・シールの物語」と合わせて考えると、「悪縁はとっとと切っとかないとこうなるぞ」ってのが教訓だったりするんかなとすら思った。そんな風には書いてなくて、です、ます調で淡々と事は起こり、語られて終わるんだけども。

しかしアレだな、アブー・キール(略)ってイマドキで言うと知識チートってやつだなコレ。当時から貿易とか異国同士の交流なんてこんな感じなんだとは思うけどね。なんでも欲しいご馳走が出てくる魔法の袋自体はメチャクチャうらやましいし欲しい。

クソカスの話が二連続で続いたので、「匂える園の童話」の超短編連続語りターンは楽しいのが多くて良かった。最初の三つの願い事とか、直球のちんちん下ネタかつ、ちゃんとシャハラザードが言うような教訓も感じられて面白い。

「陸のアブドゥッラーと海のアウブドゥッラー」の話も、基本ほのぼのとした話で、縁は最終的に切れちゃうけど、同じ名前の四人が仲良くしてるのはいかにもお伽話チックで楽しいし、その後4人とも平和に暮らしたんだろう、くらいの塩梅で、ちょっと後味悪いのが中間続いた今回の巻の口直しにちょうどいいファンタジーだと思った。

海の住人が陸の住人の体つきを笑ったり、ある特定人種の扱いが一部アレだったり、なんかやっぱ当時のリアル事情を感じるとこあるのが面白いね。

なんだかんだと半分くらい読み終わったけど、一巻一巻ボリュームスゴいし、今年中には読み切れないかなぁ。
2023/10/22(日) 12:16 作品感想 PERMALINK COM(0)