久々の長野まゆみ。ずっと読みたいと思ってたやつ。
何も無い銀の星の、超高層ビルみたいなとこに住んでる生徒の少年・アナナスの織りなすSF。長野まゆみの雰囲気づくりスキルLV9999みたいな美文はSFというよりは幻想譚って感じで、ただなんとなく読んでるだけで口当たりが良くて最高。きっとイーイーとアナナスの食ってたクラッシュアイスとやらもこんな美しい味わいなんだろう。
ジロとシルルを交えた、同室の友人イーイーとアナナスの微妙な関係がエモい。長野まゆみさんは、ガチBLよりかこのくらいの少年エモ関係のが萌えるかも。白昼堂々一作目くらいしかBL読んだことないが。
何も考えず、不思議な空気に思う存分浸りたいところだけど、アナナスの欠けた記憶や、イーイーの隠し事、この世界の謎など不穏な要素もあり、先が気になるところ。あんま長野まゆみさんってハッキリした謎回収とかやらんタイプの作家さんな気はするが、下巻で少しくらいはこの世界の謎を覗きたい。
しっかしヴィオラだのエレヴェエタだのコンピュウタだのチュウブだのスプゥンだの、極力長音や和製英語使いたくねえんだなあ。みたいな独特の表記って長野まゆみ節の一つよね。(逆にイーイーの名前は長音2回も入るのが、こだわりを感じる)読むたび思わず真似したくなっちゃうけど、コレは長野まゆみがやるならともかく、凡人がやると大ヤケドするから止めといた方がいいのサ←語尾をカタカナのサにするコレもな。あとじゃをぢゃで表記するのもな。
イーイーとアナナスが、二人きりで雨の音を聴くシーンがとても好き。