とても美しいメルヘン感性と、各種ガチ技術者が集うスッゲエ村、シルバニア村。


ラーララララ~ッララッララッラッラララー♪(主人公ウサギのフレアのマッマがサックスで吹いてた主題歌をハミングしている)

まず最初に言っておくと、すっごく楽しかった!メルヘンファンタジー好きは見に行け!シルバニアファミリーはふんわり知ってる程度でも問題ない。後最後クソみたいな下世話な感想があるから注意な!



しかしこの村、ネタ抜きでガチの技術者が集い過ぎである。最初に女主人公フレアがお母さんの誕生日プレゼントで悩んでるとこはなんとも絵本らしく和んだが、彼女の妹がまだよだれかけも取れぬ上、言葉も赤ちゃん言葉な年齢なのに、ピタゴラスイッチ的なスッゲエしかけ作っててビビった。他の兄弟もなんか母ちゃんそっくりな木彫人形作ったるとか言うし、そんなスゲエ技術ほのめかされたらそりゃフレアちゃんも焦るわ。

とか言ってフレアちゃんも、仲良しのリスの男の子と一緒に、マジで帽子屋とまた別の種類の、自然派の美しい帽子作っててますますビビった。シルバニア村の村人達の各種技術レベル高すぎ。フレアちゃんのパッパのパン作りが地味に見えてしまうレベル。

帽子が風に飛ばされていっちゃうとこで一気に引き込まれた。「この村の村人の技術スキルレベルたっけぇ」とおののく私に、ウサギ女子とリス男子が二人仲良く空を飛んじゃうメルヘンまで混ぜ込まれ、子どものように画面に釘付けになっていた。二人を助けてくれるブルースとかいうCVDAIGOのイケメン犬(オオカミ?)がまた良い。大人の魅力を振りまきながら、たびたびフレアちゃんに大切な事を教えてくれる、この映画では珍しい直球のイケメン枠である。(放蕩息子の帰郷を単純にめっちゃ喜ぶブルースパッパもまたイケメンである。)

第1話(全数話の短編集構成なのだ)だけでも短編作品として非常に美しくまとまっており、まだあるの!?ってなった。超良い意味で。

2話でまたフレアの女友達のニャンコロ、ライラの科学技術と工作能力に驚く。友人の「色んな音が出るラッパが欲しい」とかいう無茶ぶりを普通にかなりいい線まで再現するその技術力よ。そしてオチが絵本的ほのぼの範疇だが、普通に狂気で劇場でマジでクッソ笑った(声は完全に殺したが)

最終的に失敗しちゃったが、2話でもスゲェ発明出て来たのに、3話はもっとスゲエの出て来て驚きっぱなし。真面目な感想なんだが、メルヘンと現実の科学技術の混ぜ合わせ方が上手すぎ。ありえそうなメルヘンになってるんだよね、3話の発明とか普通に欲しいし、2話を踏まえた綺麗な優しいオチになってるのも良い。

終盤、星祭りのツリー選びと合わせて語られる、フレアマッマとパッパの若い頃のお話も素敵。プロポーズの時のパッパの締まらなさ、逆にトキメキがヤバイ。フレアマッマもパッパのこういうとこ含めて大好きなんだろうなー。そんなマッマだからこそ、息子の実はショボいプレゼントの嬉しいという言葉も説得力が出るってもんよ。

全体的に美しすぎるほど美しいメルヘンなのだが、どこか手作りの素朴を感じるのが私の好み火の玉ストレートだった。あんなスゲエ技術冒頭で見せて来た妹のプレゼントは逆に予想外だったし、ヒーローポジションのブルースさんやリスの男の子を覗くと、男子はちょっぴり情けなかったり、目立たなかったり(でも、一生懸命。)

最後、ブルースさんがフレアちゃんに言った言葉。素朴でシンプルで、この終始一生懸命だったヒロインに贈る言葉としてとーっても素敵だった。目立った恋愛要素はないが、リスの男の子もブルースさんもとても素敵だし、夫婦のエピソードは感動的だし、こういう素朴な女子向けの空気って、良いよなあ……。としみじみトキメキを味わえた。マッマも子どもと一緒に楽しめる、素晴らしいほのぼのメルヘンファンタジーだと思う。

欲を言えば、ラストのツリーまでにもう1エピソード欲しい感じだったが……(もっとこの世界に浸りたかった)。いい映画だった。第二弾あればぜひ見に行きたいなあ。

ラスト、既に兄妹多いのにさらに増えてるフレア一家に「ウサギ!!」ってなったし、家族の肖像として組み込まれているリスの男の子とフレアちゃんとの間に子どもが出来るのかも気になった(クソみたいな感想で全てを台無しにする)。

いや全ての動物が仲良く暮らす村なんだが、関連アニメやゲーム見ると夫婦は同族同品種縛りっぽいから、結構真面目にそこら辺気になるんだよな……。赤ん坊の元気さに幸せながらたじろぐ、洞窟入るのも怖いヘタレ優しいフレアパッパも、多分夜のお誘いはマッマからだろうな、って思うし……。(最低)

ほのぼのメルヘンだけど想いは美しく強く優しく、2話はほのぼの狂気。いや本当、めっちゃくちゃ好みの作品だった……。流石星空のむこうの国作ったコンビだけあるよ。脚本の人は特に、素晴らしい感性を持ってるんだなと思う。
2023/12/02(土) 17:33 作品感想 PERMALINK COM(0)