キレの良い短編アニメに寄せられた、優しい大きなお世話。


新海誠の商業デビュー作短編アニメ、ほしのこえのノベライズ。原作だと謎まみれだった要素に一応触れて補足している部分もあるし、終わり方も読みたかったものを読ませてくれる感じ……何だが、どうも原作アニメほどの感動はないな。やっぱり私は、新海誠さんの叙情センスにホレていて、他の人が書いた似た何かは刺さらんのかもなあ……星を追う子ども以外の別作者ノベライズがことごとくしっくり来ない。この人のノベライズは作者本人も「余計なお世話」って後書きで言うくらい謙虚で、雲のむこう、約束の場所より肌には合ったけど。

逆になんで星を追う子どものノベライズだけ肌に合ったんだろう?多分同じキャラが好き(男やもめの先生)で、ノベライズ作者の中で一番感性が似通っていたんだな……。似た趣味の女性作家だったのが良かったんだろう。

素敵な良ノベライズだとは思うんだけど、私にとってこの作品は補足とかいらないタイプの作品だったのかも。原作アニメ版ラストのあの瞬間、時も空間も何もかも隔たりを超えて、二人の心が重なった、通じ合った。そこでおしまいで満足な感じ。雲のむこう、約束の場所と同様、そんな感じ。
2023/12/17(日) 18:19 作品感想 PERMALINK COM(0)