地底旅行ってあるけど、実は本の約半分のページ数(本編338pの136p目くらい)まで地底にはたどり着かなかったりする。
いやまあ地底にたどり着くまでも旅行だし、エピローグでもその過程が重要な要素にもなってるようだから、仕方ないんだけど。偏屈なリデンブロック教授とその甥っ子アクセルのやり取りは面白いし、道中もそんな退屈はしない。
地底旅行の描写も、結構水問題とか食糧問題とか緊張感あって割と楽しいっちゃあそうなんだが、同作者の「海底二万里」とか「十五少年漂流記」読んだ後だと正直地味っぽさも否めないかなぁ……。「海底二万里」同様、せっかく男子三人組なのに、案内人のハンスが無口かつ異国語しか喋れない仕事人なんで、あんま人間関係に関わって来ないんだよな……そこら辺も男三人の友情が泣ける「海底二万里」や、少年達の人間関係が割に複雑で面白い「十五少年漂流記」とかと比べると地味。ハンス自体は決して空気って事もなく、見せ場も多いんだが。活躍で言うと三人の中で一番ってくらい。アクセルはどっちかというとマスコット萌えキャラな感じ。迷子になって負傷して、偏屈おじさんのリデンブロックにめっちゃ慈しまれたりする。
地底旅行なんだが、終盤は実質海旅行みたいな感じになってしまっているのもやや惜しいかな……。ヴェルヌだからやっぱ冒険要素は安定して楽しいんだけど、流石のヴェルヌもちょっと地底ってなると得意分野じゃないのかなあって気がしなくもなかった。(上手い人でも面白く描くのが難しい舞台な気はするなぁ)。中盤のアクセルが迷子になっちゃった辺りとか、水問題が深刻になった辺りなんかは緊張感あって面白かったんだけど。
うーん、面白いし、ヴェルヌの代表作の一つでもあるらしいんだが、海底二万里や銃後少年漂流記比べると個人的には普通に面白い、くらいかな……。
ところで後書き解説読んで知ったんだが、ヴェルヌってデュマ(三銃士とかがんくつ王の作者)とも仲良かったんだな。確かに男の友情+冒険譚の作風は魂が近いかも?