作中のキャラ・里花(リファ)のモデルの人と訴訟沙汰になったらしい、作者の長編処女作。読んだのは改訂版。





高校中退劇作家の語り手で主人公、秀香と周辺人物の人間模様の話。どの人物も不安定でヤバくて何かが欠けている人ばかり。女子キャラはみんな濃いけど、妹の良香が一番可愛いなと思う。程よい距離感の姉妹で。妹のが風俗?テレクラ?まあそんな感じのヤバイ仕事してるっぽいんだが、実際に股が緩くて流産繰り返してるのは主人公の方なんだよね……。小さい頃から知らん人についていく悪癖もあったようだし。てか流産処理描写がすげー生々しいんだが。

柿の木の男とか、職場の劇団の男二人とか、主人公と関係を持つ男達は色々いるし、主人公ってなんかモテるんだが、最終的に行き着くのは里花との百合まではいけない何か。

柿の木の男(類似キャラ含む)は良いキャラしとるが、出番少なく終わっちゃって少し残念。一応里花と並ぶ扱いにはなってるが、終わりまでなんかあっさり。

主人公の設定と作者のプロフも被っているし、半分自伝入ってるのかな。里花はそのまま、揉めた友人がモデルらしいしね。

うーん、改稿もされてるそうだが……全体的に、家庭問題とか顔の傷とか流産とか新興宗教とか色々取り扱い注意なネタが多く、細かい事情知らんでもなんかトラブりそうな作品だなぁとは感じた。癖も表現力もあるテンポ良い文章も相まって面白かったんだけど。

まさに石の中を泳ぐように終始息苦しい描写が続く一方で、なんかテンポ良くてサラサラ次に行っちゃうとこある。妹が病院に迎えに来て、黙って手つかずのピラフ食うとことか妙にリアルで面白いよな。面白がるシーンじゃないのはわかってるんだが……。
2024/01/06(土) 16:32 作品感想 PERMALINK COM(0)