文庫版で言うと5冊全部合わせたハードカバー2段組の読んでるんだが、全く読み終わる気配がないから十四章までの感想。


一応の主人公はここのところめっちゃスゴイ癌の手術の技術でで注目されてる助教授の財前五郎っぽいが、どちらかというと彼に留まらない周囲の人間まで深く掘り下げた群像劇人間ドラマって感じ。

院内での教授を決める教授選が近いってところから始まるのもあって、教授達の奥さんとか含めみんな思惑打算野心で内心ドロドロ〜ッ!&化かし合いのタヌキ丸だし〜!そこら辺も含めて面白いし、スパイスとして楽しめる範囲だがうわあ〜って辟易もする。教授選から外れて研究一筋な里見教授と、財前五郎を教授から蹴落とすためだけに引っ張り出された、奥さん失くしたばっかの気が弱い菊川教授と、心の強い、家族想いの佐枝子さん(東教授のむすめ)が癒やしか。

教授の選抜は院内投票で決まるんだそうだが、普通の選挙と違ってワイロとかに罰則がないからみんなやりたい放題。財前五郎側の義父は1、2にお金、3、4がなくて5にお金って感じだし、五郎本人も医局員を教授選ライバルの菊川への脅し&泣き落としで焚き付けたりとまあやりたい放題。そこに媚びへつらう人もいれば、里見さんや彼の恩師、大河内みたいに激怒する人もいて反応は様々。結局どっちつかずで票も大体半分ずつ分配してしらばっくれた、上手くコウモリみたいに立ち回った野坂さんが食えないやつで一周回って好きかも。

終わった後も悲喜こもごもって感じで、半分ケンカ別れみたいになった&教授選でイチ推しの人が敗れたとはいえ、なかなか内定も決まらずショボーンと庭の手入れしながら妻にも五郎にも小バカにされてる東元教授見ると哀れになった。五郎の海外出張にもあいさつに来てもらえないし。教授になった後の五郎がだいぶ嫌味だから尚更。

教授になった後の五郎ってすげえ高慢ちきで、里見教授の念入りな検査の懇願もことごとく無視して面倒くさがるし、部下みたいな受持医の「肺を検査すべきでは?」という進言も脅して握りつぶすし、海外出張するだけで直属の人達を盛大な見送りに借り出して(外来受付以外看護婦も医局員も全員!!)、自分とこの担当部分スッカラカンにして宴会してるしでマジでウンコ。

な~んか東教授が「コイツ生意気だから俺が引退した後の後釜にすんのヤダわ(要約)」したのも頷けるよなあ。東教授にしたって、定年退職後も後ろから操れるような人材のが良い的な、打算もあったにせよ。

里見教授と佐枝子さんもなんか葉っぱしかない木漏れ日光る桃林とか二人で歩いてデートしちゃったりなんかして、不倫の恋の気配がプンプンするし(里見さんは既婚者。奥さんの三知代さんが佐枝子さんと学生時代からの友達なのだ)、この後一体どうなっちゃうんだ。五郎の野郎が雑な仕事したせいで悪化した患者もどうなるんだ。
2024/01/07(日) 08:42 作品感想 PERMALINK COM(0)