お人好し青年の優しいファンタジー物語、完。



後書きで「わたしの好きなものや憧れを、めいっぱい欲張りに詰め込みました」と言ってる通り、最終巻ともなると要素がいっぱいあって感想をまとめにくい。あんまり色んな要素やキャラが一緒くただと、面白くても感想書くのが得意じゃないって今気づいた。上手くまとめにくいんだろうね。

読み終わって主人公のフュンフに対して「本当に色々あったね」と言いたくなるほど色々あった巻だった。ゲランとは相変わらず実の親子、家族の勢いで仲良しじゃんって思ったらまた色々新事実が発覚するし、次女の姉貴のリアンは百合に走りかけるし、前の話で紆余曲折あって目ぶっ刺してやったオンザはフュンフに対してベーコンレタス感情だし。情報量が多過ぎる。かたっぽだけの長靴が壮大な伏線になってるのには驚いたし流石の手腕だと思った。

色々重い要素も描かれてるけど、最終的な結論は世界を丸ごと優しさという風呂敷に巻き込んだ壮大でささやかな家族ファンタジーって感じだなって思った。終盤の王道的な流れとか、いかにも最終回感があるしなんとなく同作者のノベライズmother1も思い出す。この壮大で優しく全てを包むような感じとか、良い意味で書きたいことがあまり変わらない作家なんだなと思うし、私は作家が生涯かけて一生やる感じのテーマに延々と頷き続けるのが好きなんだなと思う。

最終回王道の流れでサクッとプロポーズしてた義理の兄妹シュテットシュミヤには笑った。

個人的にヒンドリとアリオが最近良い空気で終わっちゃったのがちと残念だな。そんなの私だけだろうけど。イケメンとかでもそんな重要キャラでもないんだが、ヒンドリの兄ちゃんが終始気になっていた。3巻辺りになると真っ当な共同経営者になれてるし、いずれはくっつくんだろうが。

読み終わって、基本悪い人がいないのにこれだけ盛り上がるのも面白いのもすごいなあと感じる。この優しさは久美沙織ファンタジーの独自の良さだな。あー面白かった。
2024/02/08(木) 15:31 作品感想 PERMALINK COM(0)