乙女ゲームみたいな構図の話がちらほら散見される巻。
10巻もコレに付き合ってると感覚マヒしちゃうが、久々に読むと盛り盛りの描写がギャグの領域だなと改めて感じる。
「薔薇の微笑のファリザード」のヒロインファリザードの描写。「ファリザードは空の微笑そのもの、その髪の毛は片側は金色、片側は銀色、涙は滴り落ちる真珠(比喩ではなく本当に真珠になるw)笑いは響きを立てるディナール金貨、その微笑は朱唇の上に開く薔薇の蕾」だそうだが盛り盛り過ぎて想像しにくいわwwそんな美少女には3人の妹猫可愛がりな兄貴がいて、その兄貴達が妹のためにすっごい宝を持って来ようとする話。(結局妹がどうにかするんだが)
このファリザードを初めとして、二人の盗人の旦那二人から一人を選ぶのを迫られる妻の話「羊の脚の物語」や、従妹の姫様を一番すごい宝を持って来た王子が嫁に貰う「ヌレンナハール姫と美しい魔女の物語」などモテモテ美少女の話が割と多い。もっとも、ヌレンナハール姫の話は後半魔女と三男坊王子のスケベ入り純愛に変わるんだけど。不穏な流れになるからハラハラしたが、クソ部下は成敗、魔女と妹夫妻とは大団円だったのでホッとした。コレの魔女がヤッてもヤッても処女膜再生すると特殊能力持ちなんだが、現代のエロゲやエロ漫画よりずっと昔にこんな特殊性癖が存在したのすごいな(処女膜再生自体はエロ作品でたびたび見かけるが、男の夢なのかねえ?)
「運命の鍵」、鉛とか鉄のショボい鍵が幸運の鍵で、白銀とか金の鍵が不幸の鍵っての罠っぽさ出てるな。この話で、ダイヤモンドで太陽集めて火をつけるくだりがあって面白かった。理科の実験で虫眼鏡使ってやるやつの豪華版。割と当時の科学とか医療事情見えるのも面白いとこよな。
たびたび憂鬱になって何も出来なくなる王様の「帝王マハムードと二つの世界」も胡蝶の夢とか平行世界的なアレで面白かったが、この王様実は軽い鬱病かなんかだったのでは?って思った。そうとは書いてないが。そうだとすると、嫌な体験させて今の立場の幸運を噛みしめさせるのはかなり荒療治だよな。ただの贅沢病みたいな感じかもしれないけど。
最後に語られる「底なしの宝庫」も、上手い構成かつ感動的なお話で好きだなー。ケチケチしないでいられたから、本当に大切なものにもう一度出会えたんだろうね。
ようやっと10巻まで読み終わった。あと3巻か……。