カクヨムのKAC2024お題が「めがね」で、ネタ探しにネット辞書引いてる時に見つけた作品。オチに使ったのに、締め切り短くて読めてなかったので。



江戸時代くらいの、眼鏡屋の後継ぎの孫の話。冒頭から下ネタで始まるくらいにはスケベだけど、それ以上に面倒見が良くて、おじいちゃん子で、老若男女問わず人好きな直次郎が素敵。女郎が怒鳴って泣いちゃった禿(かむろ)を変なメガネであやすくだりがとても可愛い。

時代ものらしいシンプルで読みやすい文体で書かれる、一話完結形式の人情話はどれもホロリと来るものが揃っている。

特に好きなのは友情を絡めた直次郎とおかつの恋愛話の「戻り恋」、微笑ましい「海の遠眼鏡」、主従の恋が描かれる「大大川雨情」。「火事場の花嫁」や、直次郎の人生の天気と共に、ケチンボ爺の馬琴の切ない親心の描かれる最終話も良い。素敵な人情時代物だった。メガネにちなんだネタもあるけど、そこまでこじつけにこだわらない、人情時代物に仕上がってるのが良い。読む前にネタにしてゴメンなさい。
2024/04/05(金) 11:48 作品感想 PERMALINK COM(0)