タイトル通り。一応ちゃんと読み返したんだけど、「私もさっぱり覚えてなければ、みんなもほぼ一夜目しか話題にしない気がするのもうなずけるな」と思った。いや別に二夜以降も普通に幻想時々ホラーとして楽しめたんだけど……やっぱり一夜が一番完成度高いというか。前読んだ時も思った気がするんだが、構成が出オチ過ぎるよね、この作品。このままだとまた忘れそうだから、追記で雑に感想メモ。
【第一夜】今更私が感想を言うまでもない、有名な箇所。死に別れた男女の幻想的な再会のお話。ここだけはしっかり覚えていたが、読み返してもやっぱり美しい話だと思う。女が亡くなる前の「死ぬんじゃなかろうね、大丈夫だろうね」とかのやり取りも可愛い。美しい真珠貝で墓穴を掘って、温かな丸い星のかけらを墓石にするってのも綺麗な発想だよなあ……。百年待ったお返事が百合の花というのも美しい。何度読んでも素敵!っていうだろうなあみたいな話。推しカプでコレやって欲しいしやらせた創作者はおそらく山ほどいる。
【第二夜】お侍さんが坊さんにバカにされてめっちゃむかつく、コイツ殺そうかなーって感じの話。
【第三夜】不気味な子供を背負う男の話。ホラー掌編としては結構良い感じ。
【第四夜】変な不気味な酒飲み爺さんの話。
【第五夜】妖怪に再会を邪魔された可哀想な恋人達の話。
【第六夜】仁王を木彫りしてるのを見物する話。自分も掘ってみたけど仁王なんかいなかった、というオチはなんかあれこれ考察できそうだけど、今ちょっといいこじつけが思いつかない。人の批評をするのは簡単、自分でやるのは難しいって話かも?(人様の作品へのクソみたいな感想をブログで延々と量産している自分には、耳が痛い解釈かも)
【第七夜】いつの間にか変な船に乗ってたけど、変な船に乗ってるのが憂鬱になったから、船の端っこからアイキャンフライする話。飛んだ瞬間後悔するのはなんかリアルかも。なんとなく人生の暗喩っぽい筋の話かもしれない。
【第八夜】床屋で髪切ってたら不思議な光景を見た話。何故かこれだけはうっすら記憶に残ってた。
【第九夜】父親が返って来ないからお参りに行く母と、一緒に連れて来られる子どもの話。母子のやり取りがほほえましく、最後は不思議で悲しい。
【第十夜】知り合いのイケメンのお兄さんが変な話を聞かせて来る話。ブヒブヒブウブウ。そんな事よりそのオサレな帽子俺にくれよ。
こうしてメモしてくと結構面白い話揃いだな。って思ったけど、やっぱり話題にされる話とされない話で明確な境界線があるな、とも感じた。