「シンドバッドの冒険」や「アラジンと魔法のランプ」に並んで有名な「アリババと四十人の盗賊」が載ってる巻。有名な「開けゴマ!」の呪文も出るよ。(私の読んだ翻訳だと、「胡麻よ開け!」だったが)

でも実際に読んでみると「マルジャーナと四十人の盗賊」のが正しいと思う。



自業自得な上に性格の悪い兄貴のカシムが盗賊に六等分のバラバラ死体にされたのをカシムの奥さんに見せず、柔らかく伝えて内々に処理した上に兄貴の奥さんが生活に困るからって第二夫人として娶ったアリババ、だいぶぐう聖。女奴隷のマルジャーナも奴隷っていうか娘として可愛がっていて素敵なのだが、それ以上にこのマルジャーナが強すぎ賢すぎヤバ過ぎ。

油商人になりきって、油壺に部下達を入れて宝を盗んだアリババの寝込みを襲おうとしてるのに気づいたから、熱々の油をぶち込んで蒸し焼きみたいにして全部殺しちゃったのヤバ過ぎて草。お頭がその焼けた臭いとかに気づくくだりも生々しい〜!安定の千一夜物語グロやでえ。

他に面白かったのは冒頭の「気の毒な不義の子の込み入った物語」、千一夜物語って人物の描写だけでなく飯まで華美華美の装飾盛り盛りなんだが、そんな千一夜物語にしては飯描写がパンと水と肉しか出なくてショボいな、って思ってたらそれが伏線だったのにビックリ。

他にも信じてた妻の寝取られ数連発を除いてショック死する夫の話とか、間男が次々便所に隠されて旦那の道化に見つかって、旦那の口の上手さに騙されながら王様に連行されていく話はギャグっぽくて面白かった。こんな古典から寝取られものって立派な娯楽なんだね。
2024/05/04(土) 12:59 作品感想 PERMALINK COM(0)