やきにく亭
～キャベツを添えて～

うーん……稲垣足穂、詩の短編集みたいな一千一秒物語以外がなんか読みづらい気がするな……。衛藤先生も一千一秒物語が一番傑作とは言ってたが。うーん、小説の方も別にこういう細かい文体好きな方なはずなんだけど、なんでだろう。

失敗作映画星を追う子どもの良コミカライズで涙したら同時期に見た同じく失敗作映画の君は彼方を思い出したが、アレもノベライズは素朴で素敵だったので、小説家としての瀬名快伸先生には普通に次回作期待してるんだけど、あの人今どうしてんだろう……。

新海誠は小説も超上手い監督だけどあの監督は……いや、小説のセンスはホント好きなんだけど。

良いコミカライズだな～！遠景的な演出がとにかく美しいし、マスコットのミミもひたすらカワイイ！！

ぶっちゃけ映画見ないでこっち（と、ノベライズ）だけで済ませちゃってもいい気がする。ノベライズ、コミカライズと読んで行って、申し訳ないけど、原作映画はあまりにも言いたい事を伝えられていないと思ってしまった。唯一映画単体で良かった、男やもめの森崎先生すら、映画だと６０％くらいしか彼の良さを伝えきれていないんじゃないか？と思う。っていうか新海誠本人もコミカライズの出来の良さを完全に認めてるし……。

こんなコミカライズ出されて嬉しい気持ちとくやしい気持ちが最終巻コメントから滲み出まくってる新海誠、素直でとてもよろしい。

ジブリくせぇ演出がノイズなのはもちろんだが、話の構成とかイベントもガッチャガチャやねん、映画。コミカライズ、ノベライズどっちもカットしまくってる変なアクションシーンとか暗にいらねー言われてるやん……。いや、ノベライズ作家とコミカライズ作家はそんな事言ってなくて、むしろこの作品をすごい好きで、あのぶきっちょな作品の良さを、それぞれ別の方向から上手に伝えたんだと思うけど……。

しかしコミカライズの森崎先生はすごい泣かせてくるな……。重たくて美しい心情と相まって最終話なんかガチ泣きしちまったわ……。今涙目でこの記事書いてる。

ノベライズオリジナルのイベントも心に残ってるので、どっちも読んでほしいが、まあ一作触れるならコミカライズかな……映画は……見なくてもいい気がする。シュンとシンの事好きになれたのって、ノベライズとコミカライズのお陰だし……。っていうかノベライズ読んでも「シンって正直サブだよなぁ」って思っちゃった認識を叩き直して来たコミカライズすごいな……。

映画の方は、せめて物語ヒーローであるシュンはもう少しまともに描けなかったのか……。悲しいシーンがよくわからなくてシュールになっちゃってんだもんな。コミカライズはしっかりシュンを描きつつ、シンがハッキリ恋愛面も物語もヒーローですごい良かった。コイツに泣かされる日が来るなんて……。

なんとなくAmazonのメモにしてるほしいものリストに突っ込まれたっきりの古い少女漫画サンプルを覗いてみたが、やっぱり少女漫画ヒーローって意地悪なアイツ的なアレばっかやな……。中間向け～少年誌じゃないと好みの優しい王子様系があんまりいない……。まあ最初から和気あいあい系じゃ他に話が作れないと厳しいんだろうが……。赤毛のアンでも初手のギルバートの印象って最悪だったしな。アレはやっぱり女性向けの定番なんやな。まあ嫌いじゃないんだけど今はやっぱ気分じゃないな～。

webの女性向け小説も、異常な溺愛かクッソうぜぇヤンデレかみたいな極端なのが多い気がするし……。なんかもうちょっと……中間はないのかな。

考えてみると、ニケって見た目はいかにもな少女漫画の意地悪王子っぽいけど、全然中身はそんな事がないのが珍しいな……。衛藤先生の言う少女漫画のデータが、私が知ってる少女漫画以上に古いのがうまい具合に作用してんだろうけど……。あと作者本人が素で女の子に意地悪するって発想がなさそう(ド偏見)。

そういえば意地悪なアイツ的な話ほとんど書いた事ないかもしれないな……ひょっとしなくてもあまり好みのタイプじゃなかった？私ほっとくと全部のヒーローアルジェンタイプ（アホの子俺様）になりそうだな……描きやすすぎて……。なんか横暴気味でもアホの子俺様系になるとかなり好きなんだけど、こっちになると今度はヒロインや受が大体好みじゃない(きつめのツンデレか塩対応か当て馬が多い)

でもレイドはやっぱククリの王子様としては全然好みじゃねぇな定期。魔ロキでまゆらの事好きだったフレイは好きだったのになんでだろ？新世界のオチはさておき、ロキがいたし全然気がないのはまゆらも同じなんだが。ニケが良すぎたのがいけないな……。初恋がレイドの姉ちゃんも世の中にはいるんだろうけど、ニケが初恋の中の人ほどは正直共感が難しいな……。

まとめると「レイドは別に恋愛的王子として好みじゃないが、恋愛的王子として好みだったフレイがどっちかっつーとレイドタイプだからレイドタイプ描きがち」みたいな、変な遠回りして目的地に行ってるこの感覚。

ロキも大好きだったけどやっぱフレイが好きなんだよな、魔ロキだと。

悪魔の薔薇
眠り姫(ファンタジア文庫)
タイム・マシン
鉄道員（ぽっぽや）


短編集って最初の(大抵はタイトルになってる表題作だったりする)が一番面白い（ぽっぽやはラブレターが一番好きだが）出オチが多いな。って思ったけど、多分コレ最悪ここで投げてもいいよ、みたいなものをわざと最初に持って来てるんだろうな。ってのに今更気づいた。一応完読前提だから、ここで投げるみたいな発想が今までなかった。（合わねー時は投げる時もある）

丸尾末広をギチギチくん
ぱるんさんをゴテとハンダ
禁飼育さんをキナナキノ森

辺りが一番好きって言う時の「イマイチ作者の作家性を推し切れていない感」が私の中で異常。

たまたま一作だけ個人的ヒットしたけど、一番作家がヒャッハー！してたり趣味に走ってる時のテンションの作品が合わない（でなくても迷わず一番ではない）場合、多分作家自体そこまで合わないのでグチグチその場にとどまるのはやめよう。という戒め。いや挙げた人達、他のも面白いと思うんだけど、自分のお気に入りっていうとこの辺になっちゃう。そして多分作家フリークには「は？」ってなるチョイス。

なんか突飛かつ稀有な感性、才能を持つ作者が、たまたま万人が楽しめる感じの作ったのちょっとハマったからっ。それを作り続けて欲しいかというと、作家ごと気に入っても気に入らなかったとしても、いや別に。ってなるこの感じが説明できない。でも普通の人はむしろ注文つけるもんらしいな。と作家や作品に文句言う人の方が割と多いのを見て気づく。

世間でメタクソに評価が悪いものまで含めてその作者が好きだったら、多分その人はあなたにとって本当の神作者なので大事にするといいと思う。