ルンルン+ニケなニケクク。2時空。サイトにちゃんとしたss置き場を作るか別にサイト作るかで悩むな。外伝で出たハッカのねっこ、魔物退治に使ったと思い込んでたが、読み返したらただのニケのおやつだった。アレがニケの好物の一つって事でいいのかしら? 久々に会ったら雰囲気変わってるニケにルンルンおねーさんがなんか思うとこあったら面白いな。とか思いながら書いた。






 神様の女の子についてきた、わけのわからないオマケ。それがルンルンから見たニケの第一印象であった。

 コーダイ国王が言うような勇者なんてルンルンは信じていないし、世界を救っても、それはニケという男の子が神様の女の子と頑張った功績であって勇者の功績ではない──というのがルンルンの見解である。

 ルンルンの感覚からすれば、ククリの方が神なのに、当のククリはニケが神様であるように彼を崇めるのだ。信仰の意味もわからず祈る小さな少女のように。たったそれだけが希望の光であるように。

 初対面の女性に、緊急事態にエキゾチック美人などとこちらを評する変な男の子をどうしてこうも慕うのか、ルンルンには理解が及ばないところだったけれども。

「こりゃあ闇のルンねえさんじゃないですか!」

 魔王ギリを封印してから、二度目のニケとの再会時。なんとなく感じていた違和感の理解が追いついた。

 ○

 お客さん兼セーブ屋のアドバイザーということで、ニケ達のルンルンの歓迎っぷりはすさまじい。モンスターが来たりレイドがカラスみたいな黒い羽を散らかして行ったりと騒ぎはあったが、今は片付けを一休みしてお茶の時間である。

「姐さん今お茶が入りやすからね!」
「なんで子分口調なのよ」
「姐さんは姐さんっぽさメガ盛りですからね!」
「私は牛丼か!」

 ツッコミどころが満載なのは出会った時から同じ。出された紅茶は温かくてリンゴの味がする。

「アップルティー?」
「ああそれ、ククリが最近ハマってるやつで」

 ルンルンにお茶を淹れ終わると、自分はそのまま辺りの片づけに入る。なんだか口出しばかりして手伝わないのもな、と立ち上がろうとすると「おねえさんは座ってて」などとやんわり押しとどめられてしまって、結局お茶でも飲んでいるしかない。

「お茶菓子出せればいいんだけど。もうすぐククリ達も帰って来ると思うから待っててよ」
「おかまいなく」

 冒頭の、ニケとの再会時の違和感。それは。

(ナンパな態度がなくなっている……それでいて女の扱いを心得ている……)

 あのラブラブ風船魔法陣の中でククリちゃんの告白を受けたのだから、それはそうだろう。

「勇者様ただいまー」
「戻ったぞー勇者」
「おう、おかえりー」
「おいしそうだったからいろいろお菓子買ってきちゃった、勇者様の好きなハッカのねっこも」
「サンキュー。ククリ達のお茶も入れるか」

 ククリ達が返って来て、ニケもやっと落ち着きなく作業していた手を休める。

「アップルティー! ククリ、これ大好きっ」
「良かった。ほら、角砂糖のビン」
「わーい、ありがと勇者様!!」

 女の子が喜びそうな、可愛いハート型の角砂糖をカップに3つほど落とし、グルグルでも描くように、ティースプーンで楽しそうに混ぜるククリの隣で、ニケは辛そうなハッカのねっこを齧っている。ニケの前にもティーカップが置かれているが、砂糖に手を伸ばす気配はない。そういえば前にククリから甘い物は苦手と聞いたような。つまり、アップルティーも可愛い角砂糖もククリが喜ぶから買ってあるというだけなのだろう。にもかかわらず、おやつを開けてお茶を飲んで楽しそうなククリを眺めては優しい笑顔を浮かべているのだから。見ていられない。

(何も変わってないと思ったけど……結構ちゃんと彼氏してるわね)

 いやこれはほとんど旦那だ。結婚はまだ早い歳だと思うが。なんだろう、この貫禄は。

 ルンルンからしたら神様みたいな女の子の告白を受けたのだから、このくらいしっかりしてくれないと困る。そういう気持ちもあれど、なんだか会わない間に何かが決定的に変わった感覚があって、一抹の寂しさを感じるのはどうしてだろう。

 ──自分に弟がいたら、こんな風に成長を誇らしくも寂しくも思ったのだろうか。

「どうしたのおねえさん、おねえさんもハッカのねっこ派?」
「ええ、頂こうかしら」

 なんだか空気が甘ったるいから、辛いものが欲しくなったというだけなのだが。ククリちゃんの目線がちょっと痛かった。ヤキモチ妬かせちゃったかしら?

「ククリも食べる!」
「えーっ、辛いぞ?またウニョったら大変だ、やめとけ」
「むー……わかった、やめとく」
「このチョコ美味い!」
「えっ、どれどれ!?」

 マイペースに甘いお菓子を食べていたデキルコに、上手い事注意が逸れたらしく、大人しくチョコを口に入れて至福の表情をするククリ。その幸せそうな顔を見ている、横の勇者様の表情がまた甘いのだ。

「やっぱりククリはチョコレート食べてる時が一番幸せそうだな」
「え、そんな顔してた?」
「してたしてた!」

 からかっているでもなく、思い出を再確認してるかのような口ぶり。デキルコが「ラブラブだな!」などとからかって二人とも今更あたふたしてるが、言われて当然である。

「ニケくん、悪いけどハッカのねっこもう一本もらってもいい?」
「いいけど……どうせならこっちのお菓子食べればいいのに。おねえさん甘い物嫌いだっけ?」
「生憎甘いのを摂取し過ぎて胸やけ気味でね」

 自分もハッカのねっこを頼めば良かったかもしれない。二本程度ではこの空気に足りる気がしないので。
2024/08/12(月) 19:58 グルグル小説 PERMALINK COM(0)