ブラッドベリは多分初めてかな~。あんまり本読む元気ないけど、衛藤先生がグルグル2の内表紙で話題にしてた、霧笛だけは読んでみたいなーって事で読んでみた。
うーん、これは……
ファンタジックでこういうの好きな人じゃないとややわかりにくい(って言ってもちゃんと書いてあるけどね)けれど、
気の遠くなるほどじっと待つ、待ててしまうほどの深い深い愛の話、だな。
この話の語り手、「僕」の灯台守?仕事の相棒、マックダンがこう語っている。
「きみの人生なんて、まあ、こんなものさ。二度と帰らぬものをいつも待っている。あるものを、それが自分を愛してくれるよりももっと愛している。ところが、しばらくすると、その愛するものが、たとえなんであろうと、そいつのために二度と自分が傷つかないように、それを滅ぼしてしまいたくなるのだ」つまり、
深く深く愛し過ぎて、気の遠くなる時間待てるけれど、同時に殺してしまいたいほど憎いみたいな……。まあ言い切っちゃうとアレなんだけど、自分なりに読解したいだけだからね、ここでは。つまりこの作品は、作中の怪物を通して、
気の遠くなる時間待てる愛(それがまた、夏目漱石の夢十夜以上では?ってくらいの壮大さを感じるので震える)と、殺してしまいたい愛を書いてるんだな。
それともう一つ、
共に死ぬ、死にたいという愛。(つまり心中だな)まあ僕とマックダンが見た怪物は、あそこで「死んだ」のかな。(一応生きてるみたいだけど、私が読んだ感覚としては)
この作品、
文庫でたった14ページしかないのに、
本当にたくさんの愛が詰まってる。なんだかそういう感覚がグルグルと似てる。灰色さんもグルグルは色んな愛が入った話、的に言ってたと思うけど。実際
この霧笛もグルグルも、色んな愛が入った話なんだろうね。
とりあえず
霧笛だけ……って思ってたけどブラッドベリおっもしろいなぁ!!!!でもやっぱちょっと今は衛藤先生が好きだった心理学の方をかじってみたいかな……。一回本は返して、またじっくり読もうっと。(返却期限が迫っているのだ)
流石衛藤先生が愛した作家の一人というか。
グルグルのニケの愛が、この作家、特にこの作品に影響を受けているのは間違いないんじゃない?だってニケって一度もククリを抱きしめたことないし。霧笛の怪物も、ここぞって時じゃないと愛するものを抱きしめて、破滅するという行為には至らないし。
まあ本当のところは衛藤先生かニケに訊く以外ないけれど、
ニケがククリを抱きしめられないのは、破滅させてしまうと思い込んでいるからかもね。霧笛の内容が、グルグルの一種の解答だと仮定するなら、だけど。