ニケククを自給自足したい病にかかって……! 原作でしたからいいだろ、ってほっぺにチューさせようと思ったのに!! クソッこのド健全カップルめ!! 2が終わる時に口チュー行かなかったら化けて出てやるからな!!!
いい加減グルグルサイト作ろうかな……。ツイ支部のが手軽だけど疲れるからもうやだ。
「くっそー、覚えてろ!」
いつもの旅路。懲りずにやって来るレイドを二人で撃退して一息。ニケは光魔法・火の剣の武装を解いて、その辺の切り株に腰かけた。何故こんな人里離れた場所に、断面の綺麗な切り株があるのか? ファンタジーあるあるの謎であるが、便利なのでよしとしよう。
「あっかんべーだ! オオカミなんて大嫌い!」
去っていくレイドに向かって舌を出すククリ。
「オオカミって」
「あれ? なんであたし、レイドの事オオカミなんて……?」
わからない、と言った顔をしながら、ククリも切り株に腰かける。狭かったのでちょっと端に寄ってスペースを作ってやりながら、ニケはつい先日のアラハビカでの思い出を振り返る。
(あそこじゃレイドはオオカミだったからなぁ……)
自分はククリ指定の王子様で、レイドの奴は子ヤギを虐めて食べてしまう悪いオオカミ。勝ち誇った笑顔になるのもしょうがないのだが、そんな一切の事情を知らないククリには「どうしたの?」と不思議がられてしまった。
「あそこの雲が、ヒョウモンダコの形に似てたのさ」
適当な事を言って誤魔化す。あそこで自分がククリの王子様になって、皆一緒になってアラハビカを護ったのは現実なのだけれど。お姫様が楽しい夢だと思ってるならそれでいいと思っている。ジュジュもトマも、ついでにキタキタおやじもククリの大切な友達で、自分は今も隣で旅をしているのだから。
「勇者様ったら」
ほら、今も自分の冗談に安心して笑っている。
「悪いオオカミを追い払っちゃう勇者様カッコイイ! 勇者様はやっぱりククリの王子様ね!」
「王子様って……お前なぁ」
直球の言葉にドキッとしてしまう。本当にあの事を夢だと思っているのだろうか? パンフォスの塔での配役も、今の言葉も、ククリが内心でいつも思っている事なのだろうけれど。そんな風に美化されるとムズかゆいし、あんまり無邪気だから意地悪もしたくなる。
「オオカミは追い払ったけど、身近にもいるかもしれないぞ?」
「え?」
無防備な、やわらかいククリの頬に、人指し指を押し付けて忠告してやる。スベスベだった。自分はここに、天使の後押しで口付けてしまったのだと思うと。指先から発火して死にそうだった。
光の勇者は、恥ずかしさで己自身が火の剣にもなれるのだ。そんなわけあるか。
「勇者様、くすぐったい~」
「もちもちフルーツポンチだな!」
「もー! 勇者様のいじわるー!」
ほっぺをプニプニ、されるがままのククリがあんまり無邪気だったから。再びオオカミになるのはまた今度にしておくことにした。
起きたお姫様に目覚めのキスはいらない。度胸がなかったわけじゃない、決して。