グルグル2の第一章の「きつくパーマかけられた」ニケから妄想したネタ。でもニケってそもそも適正職業が盗賊だし、ククリの事以外だと結構邪道勇者っぽい気もする。





 ある日ニケは、学校にキツイパーマ頭でやって来ました。トレードマークのバンダナもこのボリューム感あふれる髪では入りきらないので今日はお休みみたいです。

「どうしたの勇者様!」

 勇者様の異常事態に、子犬のように真っ先に飛びつくのはククリです。

「昨日父ちゃんと母ちゃんに学校では真面目にやれってきつくパーマかけられちゃってさ~これじゃ昭和の不良だよ」
「ニケくん、もういいから席に着きなさい」

 先生も家庭訪問で事情は把握しているのでしょう、何も言いません。

「ククリ、昼休み校舎裏まで付き合ってくれよ」
「えっ、うん……」

 ククリの席を横切り、言い残してから着席した勇者様に、クラスメイト達はアレコレひそひそ。

「こえーな、勇者様。元々不良っぽい校則違反とかしてたけど、校舎裏呼び出しだって。不良ー!」
「ククリちゃん大丈夫かなぁ……」

 なんて自分を心配する声が聞こえてきます。

(勇者様がそんな、漫画の不良みたいな怖い事するわけないし……でもなんだろう?)

 なんて考えたり居眠りしてるうちに、昼休みになりました。ククリもお弁当を持って、校舎裏に行きましたが、まだニケは来てないみたいです。と思ったら来ました。相変わらずのパンチパーマです。

「ククリ……今日呼び出したのは他でもない……」
(何かしら……)
「不良と言えば、パーマ、謎のパン買い出し、パシリ。というわけで、今日は購買の菓子パンを……」
「買ってくればいいのね!まかせて!」

 ククリはすっかり不良の舎弟気分でしたが、

「いや、もう買って来てあるから一緒に食おーぜ!」
「わーい!!」

 勇者様は用意周到でした。

 天気よし、お日さまの光よしな青空の下、ククリちゃんはニケと座ってお弁当です。ククリは手作りのお弁当を、ニケは買って来たパンをそれぞれ分けて半分こ。

「しかし不良は何故いつも焼きそばパンを要求するのか? 別にアンパンでもいいのではないだろうか?」

 などと言っているきついパーマ勇者は、焼きそばパンをモリモリ食べて、アンパンはククリちゃんの担当です。勇者は甘い物が苦手なのです。

(なのに勇者様、あたしが甘いの好きだから買ってきてくれたんだ)

 うきうきパンを齧っていると、手持無沙汰な片手が温かいものに包まれました。ニケの手です。

「不良だからな。不純異性交遊ってやつだ」

 その横顔は赤いです。

「えへへ、二人仲良く悪い子だね」
 
 食べづらそうですが、パンを食べ終わるまで、二人の手が解かれる事はないのでした。

「なんか変な呼び出し方してたから一応様子見に来たけど……」
「要は二人きりで仲良くしたいだけだったか」
「よかったよかった、めでたしめでたし」

 不良っぽい呼び出しでちょっと心配になったクラスメイトたちが、そんな二人を微笑ましく覗いていて、こっそり去ったことなど知らず。
2024/08/29(木) 02:39 グルグル小説 PERMALINK COM(0)