織田回……と見せかけたオールキャラ回?昔読んだ時は面白くなかった気がしたけど、今回読み返したら面白かった。
でも冒頭のなんちゃってハーレムはイラネーな。この作品で勇者ヒロにまともな好意を渡せるのはリュウナ姫だけで、それ以外は一生好意発展途上のトラップだから。
っていうか
リュウナ以外のサブヒロイン勢は、ヒロと絡んでる時が一番つまんねーまであるからな。女子同士で絡んでる時のが何倍も面白い。読み返してても心底思ったが
、ほんっとにヒロとサブヒロイン勢の絡みだと挙動が単調でつまんない!!!! いくら昔ながらの、メインヒロインがはっきりわかってるハーレム系コメディとはいえ、こんなことある!?!?
普通、
ハーレム系ってなったら主人公に対するヒロインの反応って一番カワイイもんじゃん、一番挙動が単調で萌えなくてクソってお前。
ヒロ×リュウナの真実恋とヒロ&フリトのブロマンス以外クソほども興味ない私でも困惑だよ。まあ
ヒロはリュウナ以外の魔王視点だとはぐれメタル的なエサに過ぎないってのもあるだろうが、ここまでやると天丼ギャグ通り越してホラー。
だから、
織田をそこそこメインに持ってきたところで盛り上がるわけがねぇんだなあ。当て馬なら当て馬で、まともな好意をぶつけて来るから当て馬になるわけで……。
たかが練習なのに織田がヒロにチョコレートをまともに渡せないのは、ヒロを好きだからという推測は出来るが、
そこまで推測しないとたどり着けないブラックボックス化したハーレムなんぞ、軽度のハーレムとしてすら成立していないのである。
グルグルのニケのが、愛するククリ以外これといった親友もいないからヒロより狂ってる、って言ってたけど、考え直したほうがいいかもしれん、このハーレムもどきブラックジョークを前にしては……。
「べ、別にあんた好みの魔王になるつもりなんかないからね!」という織田のデレも、難聴や気のせいだと流す描写すらなくスルーされる辺り、空しくも暗い笑いがこみあげるのである。難聴とか、気のせいで流す描写ってまだ優しいんだね。どこまで狙ってんのか知らんが、最初から聴こえない、なんて暗に言われるよりね。まあ9巻も続けて未だに主人公を真っ当な人間扱いも出来ないヒロインの好意なんか聴こえるわけもないんだが……。
まあ、ここら辺になると流石に作者もなんちゃって以上のハーレムなんぞ書く気もないのだろう……。この辺の皮肉純愛構図は良く読まないとちゃんと理解出来ないのが惜しいところだが……。っていうか気づいたところで私みたいな悪趣味少数派以外楽しいかどうか疑問だが……。
そういうのは置いておくと、リュウナとヒロがハッピーエンドになるための布石が、前回から今回にかけて、ヒロの心理的成長と交流会イベントとともにちゃんと書かれていたりして、結構見どころはある。
当時も可愛いなぁ、って思った、ヒロの部屋に忍び込んでオバケの格好をするリュウナがとてもカワイイ。今回リュウナとの絡みが少なめなのは寂しいところだが、ところどころに萌えがちりばめられていて微笑ましい。冒頭のハーレムもどきだとドキドキしなかったヒロが、リュウナの残り香だの、フリトにリュウナとの仲をからかわれたりだのして照れてる格差も愛おしい。
「最近忙しくてリュウナの宿題を見てやれていない」とかいう文化祭準備の時のヒロの心情も見逃せませんね。多分前回の家庭教師から、リュウナのお勉強見てあげるのが日常になってたのね。可愛い。
プロレタリア文学から派生して「カニ光線」が武器になるのは本当にくだらなくてちょっと笑ってしまった。勇者だから勇者の嫌なダンジョン作れるヒロ、5巻でもそうだったがやっぱり魔王の才能もあるんやろな……。そもそも魔王学校をノー勉強で入れたってのも、素質があったからでは?って思う。
久々に読み返すとちゃんと面白さも発見できたが、同時に夏緑先生のミスも発見。フリトがバルムンクと一緒に海に落っことされて、魔物に抵抗してる描写があるのに、どうして後からぶっ飛ばされた時にバルムンクをその辺に取り落とした事になっとるねん。この頃の夏緑先生、本作も三か月ごとの刊行なら、他にも色々仕事引き受けまくってて狂った仕事量だったと思うので、こういうミスも目立つな……。いやまあ十分楽しい作品だけどね。私も長編だとこういうミスやりがち。長編じゃなくてもやりがち。
この辺は担当さんが頑張ってほしいとこだが、ラノベみたいに刊行ペース早いとなかなか難しいんだろうな。