勇者ヒロ最後の戦い。全巻読み返して、私にとっての不動の1位のラノベは一生コレかもしれないな……なんて思ってしまった。
いや単純にもっと面白いラノベなんていっぱいあるのは知ってるしわかるんだが、こんなに終始ただ楽しくて、でもほどよくホロリとして、メインカップルが大好きで、皮肉パロそして恋、全てのセンスが好きなラノベって多分ないんだよね。
自分だけの名作っていうか。客観的に見たらくだらん話(作者公認のすちゃらかした話)だから、他人にとってはそうじゃないだろうな、とはわかってるんだが……。ただ単に面白いラノベ、もっと感情グチャグチャになるラノベならもっと他にいくらでもあるが、「私が」「(黒い要素にちょっと引き笑いしつつも)基本終始楽しい」ラノベってなるとコレしか思いつかない。
まともに全巻読み返したのは12年ぶりくらいだけど、読んでからずっと記憶に残り続けていた辺り、ある意味では自分にとってグルグル以上なのかもわからん。
まあツッコミ入れようと思えばツッコミどころは多い。10巻も続けて未だにヒロイン苗字呼びで友達あつかいかよとか、そんな些細なキッカケで闇落ちかよ、とか。
それでもひととき勇者に混じって好きな子の事忘れちゃった未熟な見習い勇者の、血まみれ捨て身特攻謝罪からの愛の告白でホロリとしちゃったんだからしょうがない。世界の半分か私をあげる、というヒロインのお決まりの口説き文句に
「世界の半分か自分か選べと言ってたけど、俺は選ぶつもりはない。俺には、竜崎がいるこの世界が要る。それは譲れない。俺は竜崎が好きで、竜崎が好きなこの世界が好きだからだ。だから守る、竜崎も、世界も!」
なんて最高の勇者らしい返事をした勇者ヒロの愛の勇士に、心動かされちゃったんだからしょうがない。私もまた、リュウナと一緒にヒロを好きになり、非力姫魔王への恋を貫きながら、少しずつ成長していくヒロをリュウナ事愛してしまったのだから……。
まあそんなクソポエムはさておき、恋に絡めた魔王の潜在能力封印ってなんだかロマンティックよね。このセンスは夏緑先生独自のものながら、グルグルと魂がやっぱ近い。夏緑先生もドラクエ四コマ投稿してて、今作もドラクエパロディ入ってるしね。
ヒロがリュウナを愛して守り続ける限り、世界の平和は保たれる。グルグルとセンス近いと言っといて矛盾するが、この恋のセンスはラノベデビュー作からの愛の伝道師、夏緑先生しか出来ないねえ。
私、ドラクエそのものじゃなくてドラクエを愛した人のファンタジー恋愛が好きなんかな。そうかも。
読み返してみると最終巻でヒロはずいぶん成長したなあって思うし、コレからもドタバタ騒ぎは続くオチながら、ヒロは世界を救った勇者になっちゃったし、フリトと一緒に勇者ギルドに求められちゃうし、竜王さんにも本気でリュウナを任せられちゃうし、結構満足度高い最終巻だった。
へこたれないヒロの一番の強敵はリュウナとは、常々言われていた事だし、サラブレッド魔王で元々潜在能力高そうではあったから、設定的にもラスボスがリュウナは妥当だしな。
当時もっと読みたかったと思ったが、この辺りで終わったのはむしろ良かったのかも。今回読み返して、成長の見えるドタバタ日常エンドがなんだか感慨深かったし、ペルチェの成長も微笑ましかった。
しかしサブヒロイン勢、最後までヒロと対峙した時の挙動が化け物のままなのはもはやあっぱれ。最終巻まで主人公に警戒されるヒロインって……www対ヒロの挙動で成長見せたのもリュウナだけなんだね。最終巻で盛大な闇落ちしようが、リュウナは光で天使だよ……。
多分ペルチェと同時代の魔王とか、こんなギャグじゃなくてちゃんとやる予定あったくさいし、後書き読んでてもホントはもっと続けたかったっぽい感じはあるんだけど、自作大好きタイプの作家の中でもいっとう思い入れがあるこの作品を、可能な限り幸せにしてあげた感じは今回再読しててすごく伝わってきたし、ここで終わりで良かったんだと思う。っていうかやっぱ夏緑先生も一番のお気に入りってヒロだったんだな。私もこの作品で、勇者ヒロが一番好きだよ。ヒロが愛するリュウナごと。