前に「毎日映画何本も見て、漫画描きまくってたTwitter(X)の相互が、とある映画を見て「自分が見たかったのはこれだ」と言って全部の作品を消して消えた」みたいな話、そんな事ある???って思ったけど、「一生懸命色んな本読んだり下手な創作しないでグルグルアニメか原作見ればいいや……」ってフニャッフニャの頭になってしまっている今、「なるほど」ってなってる。(別に私は全消しドロンはしないが)。

コレの話の真偽はさておき、なんか「誰かにとってのそういう作品(全部これでいいや)」があるってのはわかる。

っていうか私の最近の挙動は女児通り越して「アンパンマン飽きずに何回も見てる幼児」と化してる。

アンパンマンも実際映画の方はちょっとハマって近年何作か見たしどれも面白かったんだが、個人的な感想としては、グルグルの癒し効果ってアンパンマンを凌駕するというか……。

アンパンマンの映画は、実は結構怖い。大人が見てもとても面白いし、もちろん幼児向けだから最後は必ずハッピーエンドにしてくれるけど、それまでの過程は結構怖いものが多い。各作品ごとに結構空気は違うけど、テーマも結構難しいものが多い。園児くらいの子向けのコンテンツだけど、映画は最低でも小学生くらいじゃないとわからないんじゃないか、ってくらい。

「勇気の花がひらくとき」のヒロインのきらら姫が、「アンパンマンの愛は自分にだけ向けられているものじゃない」って知った時、アンパンマンの顔のパンを焼くのに必要な、希少な花の蜜のビンを叩き割ってしまったくだり。これもちろん大人の私は理解出来るけど、(公式解答は知らんが、大切なものを割って独占欲を満たそうとしたとか、とにかく憤りを、相手の大切なものを壊す事で収めようとしたってそういう方向性は)、子どもはわかんないんじゃないかな、みたいな。その後のマジで絶体絶命になるアンパンマンと共に、ここのわからなくてもなんとなく不穏からの、超カッコイイアンパンチ逆転劇がわかればいいんだろうけど。

いのちの星のドーリィとか、ホッカイロレンさんが大絶賛してて評価も高いから見てみたら、話に入り込むタイプの私は普通にちと怖かったんだよね、私。だって終盤の展開、本当にあのアンパンマンが↑の勇気の花がひらくとき以上の絶体絶命に追い込まれるし……。単純なテーマ性も「何のために生きるのか?」ってシンプルかつ難しい問題だし。

まあだから、グルグルが本当に幼児向けでも存在しないレベルの癒しっていうか……。同じガンガン出身作家が描いたARIAでもここまでの癒しは無理だな……アレ終盤、作者さんの愛猫達が立て続けに亡くなってしまって、明らかに作風変わっちゃったし……。終盤の切ない展開も含め、ARIAはARIAで好きだし、そんなの当たり前の事なんだけどね。そういう体験は衛藤先生も普通にしてるのに、作風にそれが何も出て来ない衛藤先生がやっぱりニケばりの光過ぎるんだよね。流石と言うか、こういう作家だからニケなんてすごいキャラ作れたんだろうな……。

むしろ天野こずえ先生、色々著作見るとなんでARIA初期~中盤みたいな作風に変わったんだろ??ってなるし。もうとっくにない地元の本屋で、ARIA表紙買い→その後浪漫倶楽部、夢空界、空の謳、AQUAって感じのルートでこの人知ったんだけど、どっちかと言うとこの人の本質は「世界は悲しい、それでも前を向きたい」だよね。AQUA~ARIA中期までの雰囲気の良さは確かに秀逸だけど、当時としても浪漫倶楽部~短編集夢空界とかのが刺さった覚えがある。だからARIAの終盤の空気は、単に元に回帰しただけとも言える(なんなら重さを突き付けられる場面も多い浪漫倶楽部や切ない種明かしのある夢空界に比べれば十分優しい)

っていうかそもそもARIAの世界も、前日譚となるEARTHに関しては結構ショッキングな話だしな。(感動もあるけど)。そういえば天野こずえ先生も気づきにくい優しさを描くよな、悲恋カップルが別の作品のモブ背景だと幸せそうにクリスマス過ごしてたり……。やっぱり作風の変化の理由は、自分で描いてて辛かったのかな……。

なんというか、昔のガンガンの作家さんって、押しつけがましくない本当の優しさとか綺麗なものとか描く人が多かった気がする。

天野こずえ先生の作品も買い戻したくなって来たな。謎に電子になってなくて諦めた浪漫倶楽部も電子化してるみたいだし。しかし金がもうない……。

しかし、ひたすらハッピーエンドとか優しい世界を求めるならわかりやすくていいのに、「本気で思ってないなら、思いっきりよく出来た悲しい物エグイ物作ってぶつけてくれた方が心象良い」って性質、本当に自分がめんどくせぇよ……。

多分中途半端なグルグルもどきとかぶつけられた日には、キレながらブッコフに売った自称セカイ系粗大ゴミラノベみたいに、一年以上キレ散らかすと思う。
2024/07/06(土) 18:28 作品感想 PERMALINK COM(0)