よく「ニケがククリの事好きかどうかわからない」って言われてるのを見るし、ニケはなかなか内面心理が明かされない上に、天然ボケと狙ったボケとツッコミ役という多面性があるとかいうスゴイキャラ過ぎて、実際わかりにくいんだけど、注意して見ると結構冒頭からそうだった。
原作一章、ジミナ村で、ククリと初めて出会った時のニケの挙動を抜き出して見ると、
(魔法使いって怖い化け物なんじゃ、と疑った後にククリを出されて)「えっ えっ え お……女の子…?」とかなり驚きながら髪の毛を櫛で整えてる。多分
この挙動は無意識で、多分だけどこの時点で(無意識かもしれないけど)一目ぼれしてるんだよね。
ただ、衛藤先生があまりにサラサラとコミカルに楽しく流せる漫画を描くのが上手すぎて、印象に残らないという。
「読者から見ても可愛い女の子が出て来て、それに驚きながらおもわず櫛で自分の髪を整える」って、こうして言葉で書くとアニメの出会いである
「ニケが突っ込んできて壊れた窓から暗闇の中にいるククリちゃんに日が射している」よりわかりやすいくらいなのに、全然わからないし、実際わかりにくいという事でアニメは変えてるんだよね。(私もアニメで気づいた)。何だろう、漫画はあまりにもテンポが良すぎるんだよな。
でなくても、3章のコーダイ城下町で、
自分が欲しかった鉄の剣辞めて、残り少ないお金半分こで、出会ったばかりの女の子に髪飾りを買うって、
優しいだけで説明できる行動かなぁ? って。流石にまだ自覚はなくても、
可愛い、危なっかしくて目が離せない、気になる子に優しくしてあげたいって感情があるよね、これ。
じゃあ何でみんなわからない、って言うの?って言われると、
ニケの挙動は常にギャグと隣り合わせで、直後に買った短剣の重みでズボン刷り落としちゃってるから、
そっちのクソ面白くて読者がかく乱される罠がある。だからアニメの方は、このイベントの後に「その勇者ってやめろよ、ホントにオレの事勇者なんて思ってるの?」「だって勇者様は私を光の中に連れ出してくれた勇者様だもの!」っていう会話を入れる事で、二人の運命的な要素を強調してるんだよね。やっぱりアニメは良く出来てる。
キタの町でククリ達がさらわれた時も、
「ククリ……無事だろうか……思い出せんが……ククリ……無事だろうか まさかあいつが魔物にさらわれるなんて……そんな大事なときにオレは気絶してたなんてなさけねぇ……!オババに託された大切な子なのに! いなくなってやっと気づいた……あいつがオレにとってもどんなに大切な存在になっていたか……!こんなこと人に聞かれたくないがオレは……」
セリフだけ抜き出すと、結構すごい事言ってるよね。
同時に描かれている「ククリのパンツを見てしまい、お尻しか思い出せない」「ククリにデカいハンマーで殴られた回想が入る」「この秘密の決意が口に出てしまい、その場の人間全員に訊かれている」とか言う、
ギャグの満漢全席で面白くなっちゃって、結構すごい事言ってるのは気を散らされた結果全部吹き飛んじゃう(或いは本気に見えない)んだけど。
ここのニケも本気は本気なんだと思う。ただ、
可愛いなーって思ってる子のパンツを、心の準備もないままに事故?見てしまい、そのショックで顔が思い出せなくなってるだけで。
何が言いたいかというと、
「多分ククリと同等か、それ以上にニケは一目ぼれに近いっぽいが、
いつも本気で言ってるのかやってるのかわからなくなるギャグ(しかもそのギャグが面白い)と隣り合わせな宿命のキャラで、
しかもギャグが面白いから、読者も結構恥ずかしい事言ってるのを流しちゃう。でもなんとか
頑張ってギャグにかく乱されず、ニケの台詞やリアクションを追ってみると、出会いからかなり素直なんだよね。ギャグ挙動とセットかつ、心理描写も少ないキャラだから、わかりにくいけど。