ククリちゃん、敢えて悪い言い方すると、ニケが勇者として渡されたククリって、「ククリルク」でオババが言ってるように対魔王ギリ用の「極秘の魔法兵器」で、すごく恐ろしいものなんだよね。

でなくても、いくら可愛くても、本当に初対面の男であるニケを、あんなに無心に慕って来るってのは、やっぱりいくら美少女でも色々と怖い子。ククリルクで、実はククリはニケを窓からこっそり眺めているのだが、流石に覚えていないだろう。

あまりにグルグルがわかりにくいから、作品と作者への無礼を承知の上衛藤先生が己の優しさと物語の最上級の美しさで隠した事をはっきり突き付けるんだけど。

ククリってあまりに無防備な美少女兵器過ぎてさ、ニケがドクズ野郎だったら適当に利用されてヤリ捨てられて、魔王退治終わったら捨てられてて何もおかしくないんだよ。

↑の物言いが全年齢少年誌として酷過ぎるにしても、その「全てを利用されてしゃぶりつくされるかもしれない危うさ」に、もう少し遠まわしにでも触れられていたなら、全く手を出すそぶりもなく(アラハビカでほっぺがやっと)自分の意志でククリを守るためだけに戦い続けてきたニケどれだけ心の美しい、愛の深い少年なのか、ギャグに惑わされず皆が理解出来た事だろう。

ニケに性欲が一切ないならまだこの見返りのない計審的な愛もわかるんだけど、ニケは普通に性欲あるんだよね。冒険当初は綺麗なお姉さんにデレデレだし、ククリの事もHな目で見てる。これもギャグチックだからわかりにくいけど。

対魔王ギリ用の「極秘の魔法兵器」で、すごく恐ろしいものを勇者に託すというオババの認識に対し、ニケがノコギリ山にさらわれたククリを助けに行く時なんて認識だったかっていうと「オババに託された大切な子」なんだよね。

こうして言葉だけで抜き出せば、既にニケが無印1巻からどれだけ壊れた光の勇者で王子様かとても分かりやすいと思うが、実際に漫画を読むと、ここら辺はギャグにかく乱されまくってるのでかなりわかりにくい。ニケは本気で言ってるんだけど、ギャグの空気でふざけてるように見える。

ギャグにさえ惑わされなければ(ほぼ不可能)「ククリルク」が載ってるグルグル2巻までで、この酷い物語がどれだけニケと作者の美しい心で、誰もが笑えて、少年少女の微笑ましい恋物語として楽しめるように変えられているかは、ちゃんとわかるようになってる。ほぼ不可能だけど。

グルグル恋物語ミステリーに比べちまえば、ひぐらしの正解率1%の売り文句なんて嘘っぱちだと思う。グルグル恋物語こそが、新の正解率率1%ミステリーだと思う。30年以上もコンテンツが続けば流石にもう誰か気づいてるだろうけど、多多分私、かなり上澄みな方だと思う。

だってだってニケククが大好きな人すら、ギャグとあまりの光の意志で、ニケの恋心がわかりにくくて困惑しまくってる。ニケは出会った瞬間からずっと、ククリへの愛を表現し続けてるのに。

私が国文学科で学んだ事って何にも人生に役に立たないと思ってたし普段忘れてるレベルだったけど、立ったわ。生涯唯一の、替えが効かない恋物語を読み解くために、バカなりに国文学科で勉強して、下手なりに創作して、芸術家でミステリー作家で、二度と出会えないであろう恋物語メルヘン作家である衛藤先生の真意に近づこうとしたんだ。今ならハッキリそう言える。我ながらギップル来そうな事言ってるけど。私にとっては本当にそうだった。こんなことを言ってやって誰かに笑われたとしても、先人自体はもう既にいるのだとしても、自分で子どもの頃好きだったのに忘れかけてた作品の真意で挑めた。って言うのは、友達も恋人も職歴も貯金もなく、その事について深く考えないため二次元にのめり込んでばかりだった私にとって、今まで生きてきた意味だ。

確かにやり捨てだったら最悪だけど、ニケは13歳で相手を娶るような覚悟でククリという女の子に挑んでいるのだから、とっととククリに本気で手を出してしまえば良かった。でも出なかった。ニケがどこまでも光の勇者だから。

だから、グルグル2で、ニケが「ニケベスベス」というスケベな魔物になる代わりに、ククリの月を食べる竜になる呪いをかけられて、夜はククリの出す月を食べるってのは、純情で美しい心を持つニケと作者にしてはかなり迫った描写なんだと思う。

呪いを受けている間、本来のニケの意識は眠っているんだけど、ニケは恋のキューピッドのおじいさんの助けを借りて、「夜に天使からリンゴ(の形の月)」を貰ったという事を、(夢だと思い込んでいるが)、思い出す。で、その事を「欲しかったものに手が届いた」て言ってるの。

リンゴってホントそのまんまじゃん、禁断の果実とかそういうやつじゃん。っていうかちょいちょい、月が食べ物の形してる時点で気づけばよかった。

つまり、カッコイイ竜になるから皆騙されるけど、ニケは呪いを和らげてもニケベスベス、スケベな魔物のまんまなの。

夜の間、ククリちゃんの月を食べるってのは、ククリちゃんを食べてるも同義なの。普通の漫画なら夜にククリちゃんとHしてるの。

今思うと、花の国編で子育てしてるニケククにレイドがショックを受けるのわかる。あんまり仲がいいから、知らんうちにHして子ども産んだんだと思ったんだよね、レイドは。

実際はただ花の国の女王を育ててるだけだと知ってレイドは安心するんだけど、「これがもし「Gファンタジー」ならどうなっていたか…」って言ってるから、つまり「グルグルの掲載誌がGファンタジーくらいの年齢向けの雑誌だったら、既に冒険の中でHして子ども産んでてもおかしくないほどレイドには仲良く見える」って事。

完璧な彼氏であるニケに欠点があったとしたら、「本当に愛し合っているのに手が出ないほど優しい、或いはウブ」であることと、アラハビカ編でデリダさんが言うように、「グルグルの魔法に惹かれながらもこわいものだと思い深く関わろうとはしなかった」こと。だからククリちゃんはデビルククリになっちゃった。せめて身体(キスやハグでいいから愛する勇者様に手を出される)か心(グルグルをもっと深くニケが知ってくれる事)のどちらかの欲求が満たされていたなら、ククリちゃんはデビルククリにならなかったし、そもそも「運命の女神」も出てすら来なかっただろう。

冗談抜きで就活大失敗してやってる刺身たんぽぽ的クソバイトしてる場合じゃねえわ。もう4日ほとんど徹夜してるのに、自分の書きたい事をここに纏める時間が足りない。

他人にオタクくさいって笑われても、時々極端に読み違えて失敗しても、なんとなく気持ち悪がられても、ずっと作品や作者の真意を読み取るような作品の読みをして、どこかに書き記して置くのが好きだった理由、考えて見たら国文の基本授業を一生自分でやってるようなものだな。自分だけの楽しいオタクライフに役立ってるじゃん。なんかオタクとして自信がついたわ、ありがとう衛藤先生、グルグル。国文の純文系作品読解系オタク、純粋に恋物語に夢中になる女読者、下手でも創作する創作者、ミステリーを夢中になって読み漁る読者、どの方面の自分からグルグルと衛藤先生を見たとしても、あなた達ほど尊敬して平伏する作品と作者になんてきっと出会えない。本当に自分の中でしか役立たない自信だけど、この謎解きに自分で挑めたことで、何十年も生きて来てやっと、自分に自信が持てた。本当に感謝してもしきれない。

ああそうか、いつもククリちゃんがニケとの思い出を回想する時、一緒にたくさんの冒険をしたのに、何故かジミナ村で初めて「なー魔法陣ってどうやるんだ?いっぺんやって見せてよ」ってニケが言った事ばかりなのは、グルグルっていうのはククリちゃんの心そのものだからなんだ……。だから初見で、笑顔で、本当になんの気もなしに、魔法兵器であり、ただの女の子である自分に、勇者様から触れてくれたこと以上に嬉しい思い出は、どんなに一緒に思い出を積み重ねても、ないんだ……。

普通、これだけ読解したら、良くも悪くも読む印象って変わっちゃうのに、何も変わらない光の物語だからヤバいな、グルグル……。どんな読み方をしたって、裏の真相が真っ黒だって、ニケとククリが二人で冒険して楽しかった事、二人がお互いを大好きな事、笑ってしまうギャグさえも、何も変わらない。

真相に行きついても、何か大きなわかりやすい衝撃や報酬があるでもなく、ただただニケとククリの恋と冒険の想いの美しさだけが増す。

真相に行きついても、楽しい冒険ギャグ作品なのは何も変わらないから、ここまで来る読者が全体の読者数に比べたらほんのわずかな事が寂しいしもったいないと思う。でも衛藤先生は「グルグルはウンコしながら読むギャグマンガ」って言ってるし、多分本当にそうであって欲しいって思ってるんだよね。酷いなあ、こんな、国文授業でも卒論でもした事ない高難易度の読解させといてさ……。

グルグル2の、世界中の宝石を求めて、最後は空の月を欲しがった宝箱の中のおじいさんだって、こんなに綺麗なもの見たことないと思う。まあ宝石のおじいさんはその綺麗なものの片割れニケに屁ぶつけられたけど。ホントになんなの?この漫画。屁と純度の高すぎる少年少女のメルヘン純愛一緒くたに同じ漫画に入れるの、この世で衛藤先生だけだよ。

2024/07/10(水) 04:53 グルグル考察 PERMALINK COM(0)