私ががじぇっとで好きなのは赤峰由紀ちゃんである。主人公のシュウ君がヒロインのタレちゃんに告白する前に告白してくる委員長ちゃんである。

結局彼女はシュウ君にフラれてしまうわけだが、今回読み返して、彼女にはファーストインパクト以外にも重要な意味があるなあと思ったのでメモをしておく。

彼女は、がじぇっとを必要としなかった女の子なわけだな。

タイトルにもある「がじぇっと」というのは、一口に言ってしまえば、小さな女の子が大事にしているぬいぐるみの発展型みたいな、不思議な機械。これが持ち主の女の子の持つ闇や悩み事と深く繋がると、本編でも描写されるような大ごとになってしまったりする。

でも由紀ちゃんは、そうはならなかった。失恋の際、残酷な歌の歌詞を気持ちが落ち着くまで聴けないようにする配慮や、ペンケースの図柄のネコの励ましは必要だったが、それは補助輪のようなもので、新学期が始まる頃には、失恋を昇華出来ている。

最終話、「未完成な部分をキカイに頼って何が悪い?」というセリフが出るように、がじぇっとの保持者はみんな未完成、未熟な子どもである。その足りないパーツを補うため、本作の機械、がじぇっとは存在する。

由紀ちゃんが読者私に対してファーストインパクトを残しつつも、本編に深く関わってこないのは、彼女は一足先に物語から、子供時代から抜け出したキャラクターという事なのだろう。

がじぇっとは終盤になるとかなり群像劇的になり、尺の問題も相まって一周目だと上手く咀嚼しきれなかったが、周回して、この作品の主役はタレちゃんとシュウ君だけでなく、「子ども達全員」なんだと思った。だから終盤は群像劇だし、由紀ちゃんは深く本筋に関わってこない。

子どもの才能を極めたがじぇっと保持者達のボス、ガルガリンとちょうど対極の場所に立っているのが赤峰由紀ちゃんというキャラクターなのだろう。

主役が子ども達だから、赤峰由紀ちゃんは「素敵な脇役」だし、スイッチを押し終わって前より大人になった、つまり主人公でなくなったシュウ君は、大切な女の子の隣で、次のスイッチを押す誰かに想いを馳せる。

ジュブナイル作家の側面もある(と思う)衛藤ヒロユキ先生の生み出した、思春期SFの良作だと思う。
2024/10/11(金) 08:00 作品感想 PERMALINK COM(0)
グルグル初代のDVD、まぁまぁきつめのプレミアついてて無理だなぁコレは……アニメ3期(2017版)ってかなりコレのパロ入ってるらしいし(流星ダンスフロア冒頭でニコピョンマークがぐるっと回るのも、ラストのニケVSレイドも最後の花冠プレゼントされるニケもみんな1期リスペクト)、衛藤先生が一番思い入れあるのも、自分がアイデア出して監修入れてたコレっぽいし、そもそも3期ニケの声優の初恋がニケ(一期アニメも含む)だから演技も声真似要素が強いらしいし……とどうしても微妙に私と年代がズレているコレを見て見たいとこではあるが……。

アニメのリメイクはやりまくっていいとは思うが、前のアニメが配信終了しちゃうのはなんとかならんのかな……。同じ制作会社がやってんなら、ダイの大冒険みたく継続して旧版も……ってなるんだが。多分無理なんだろうな、アニメの版権が新作担当側に移るとかそんな感じで。詳しい事はわからないけど、関連グッズとかの問題もあるんだろうし。

リメイクもいいアニメだけどやっぱ初代気になるんだよなぁ……。っていうかそもそもコレ見なきゃグルグル忘れたっきり思い出さなかったと思うんだけど。いうて私グルグル人気がピークだったころってビミョーに年代ズレてんねん。ほぼほぼ記憶に残ってないレベルやねん。だから多分、グルグル人気ピークが記憶に残ってる年代ってちょっと私よりお兄さんお姉さんなんだよな。

とりあえず色々関連メディアミックスとか旧ファンブックポチっちゃったが、駿河屋は配達曜日指定すら出来なくなったっぽくて不便過ぎるのでもう使いたくないな……でもなー、ラノベとかエロゲとか、微妙なラインの年代の関連商品とか掘るならここが一番なんだよなぁ……。
2024/10/11(金) 06:07 雑記 PERMALINK COM(0)
身内からDVD譲られたので見よう思ってずっと見てなかったので今日見た。

背景美術とか雰囲気が、ほたるの墓とトトロと耳をすませば辺りのいいとこどりって感じで、結構癒しな感じ。

ストーリーはまあ陳腐っちゃあ陳腐かな。フツーに穏やかに、無難にまとめてくれるので、最後まで見ればそう悪いと思わなかった。ただ、ハッピーエンド風だが、「そういう風になってる」のは変わらんので、二人の恋に今後支障がないか心配になったけど。まあハッピーエンドって事でいいのかな。

ジブリの雰囲気映画っぷりを極めた感じで、仕事から帰って来てまったり見る分には十分良かった。ただ、久々にジブリ映画見るとやっぱ声優の演技力がしょっぱくて萎えるなぁ。特にヒーローの俊酷くね?

主題歌の「さよならの夏」が良かった。これはコクリコ坂用に作られたものじゃなくて、70年代くらいの曲らしい。

穏やかな雰囲気映画としても、感動や泣きまであと数歩足らん感じがしてちょっと惜しい気もするけど、多分それも狙ってる感じだからこれでいいのかな。泣きに数歩足らねーのはシナリオ信仰の穏やかさより、やっぱ声優の演技力の問題もありそう。もっと繊細な感情を伝えられるような演技力の人が良かった。正直、海も俊もイマイチな感じ……。ジブリの方針じゃ叶わない願いだが……。

評価あんま高くない気がするけど、昭和舞台の穏やかな雰囲気学生運動風(いうてゆるーく部活棟存続に頑張る程度だが)青春映画としては良いんじゃないかなぁ。多分コテコテのシナリオと、雰囲気特化で穏やかな空気は、この時代に生きた人ならもっと楽しいと思う。私も普通に楽しめたけど。

なんか久しぶりにものすごい普通の作品を見たような感じがするな……。ここのところ、見る作品がどれもこれも超合うか超合わないかが極端すぎたのでこのくらいの毒にも薬にもならん中間評価作は結構癒しかも……。

まあ平成生まれが見たら0点つけてもおかしくはない映画だとは思う。昭和を生きた人以外は、気に入っても60~70点は越えなさそう。逆に昭和世代の人、違うけどこの空気がぶっ刺さった人が100点つけてても変だとは思わない。そんな映画。
2024/10/10(木) 22:27 作品感想 PERMALINK COM(0)
寝落ちして嫌な夢見てたら更新時間過ぎてたから読んだぞ。なんだこのカオスの塊はwww前回の元魔王&龍ニケの意味深な引きはなんだったんじゃい。今更なんかあるんけ???とか一ヶ月悶々と過ごしてた私の悶々を返せww(本人もいらない)いやまあ、話を展開させるために龍ニケが元魔王のところに行く必要はあるんだけど、衛藤創造神の漫画力に騙された……。誰も予測できない、わけわからんようで謎に統合性は取れている、これは衛藤先生にしか描けん話やな……。それどころか龍ニケを手なづかせるラブラブを見せつけるククリ、っていうかニケクク流石だよ……。

登場人物紹介にも主要人物揃った発言にも、相変わらずというかニケのホラ話がホントになっちゃってるのにも全部ツッコミを入れたい。

スペースの問題なんだろうけどニケだけ主人公言われてるし、トマ忘れんなだし、ホラ話を本当にしてしまう、ニケの勇者の力は継続してんのかなとか考えちゃうし。「次回への引きの状態で展開を止める能力」といい、むしろそういうギャグ系の力とかはチート級にパワーアップしてるなと感じる。本当にいたのね!さすが勇者様!!というククリの言葉を鑑みても。

そして完全に忘れ去られてたのに普通にメチャクチャカッコよく大活躍してまさかのポジションに収まるトマ、流石だよ……。

ラディはレイドの「どこかで会ったような」と「古臭い」という言葉からしても、コメント欄で予測されていたカヤなのかな……。グルグル使い三人目は、まあ普通にお鍋のトトル、もといトゥリルっぽいが、この漫画に予想なんぞ立てる事は不毛のような気がして来た。

読み返してたらニケの言いかけた「知ってる姫さんやっぱ」って何?グルグル使いって言いたかったとか?(魔法陣描いてあったコタツが伏線って事で)あ、でも追い出されたんだったわ。ジュジュの言葉的に戻って来る?

しかしレイドがニケのライバル言われてたが、今となってはなんのライバルなの?感がすごい。いや恋のライバルなんだろうけど……。ククリがニケに告白したことも知らんしなぁ。でも再登場時別れたとか別れないとか言ってたからレイドはむしろ恋人認識ではあるのかな。なんか前に三角岩のトーラ発動させてたからコイツがグルグル使いになる可能性が微レ存。

そしてもう終わり感がすごいんだが……長くてもこれは24巻もいかないだろうなー。22、23巻くらいで終わるんじゃないの感。クソカオスだけどニケククの口チューの伏線放置して終わったら死んでも死にきれねぇ!まあ無印も告白は魔王封印してからだしそこまで引っ張るんだろう……と思いたい。
2024/10/10(木) 00:44 グルグル考察 PERMALINK COM(0)
グルグルのイエタ村で出て来るかみさまのふねが、死を連想させる的な話を見かけた。衛藤先生の好きな作家、H・G・ウェルズの短編「塀についた扉」を読んでたら、確かにそうかもなあ、と自分の中でも腑に落ちた気がするので、いつものように与太話駄文を書いてみる。

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【出典 スクウェア・エニックス/衛藤ヒロユキ/魔法陣グルグル 8巻 69章 かみさまのふね】

実際イエタ村の該当箇所読み返したら、直球で「それに乗れば天国に行くことができるという」って言ってるやん……ニケの返答もコメディチックだが普通に死の解答やん。毎度毎度、なんでこんなの読み流してしまうんだろ、この漫画……。

「ああいう夢見がちな女の子はふっとかみさまのふねに乗ってしまう、あの子が大事なら気をつけることじゃな」このおばあちゃんのセリフも読み返すと結構怖いな。

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【出典 スクウェア・エニックス/衛藤ヒロユキ/魔法陣グルグル 8巻 69章 かみさまのふね】

ああ、ニケがすごい慌ててククリのところに走ってやってきて、船がただのレイドの発明品でホッとしてたのって、つまり、ククリが死んじゃうと思ったからか。実際コパール王国編でも、ククリちゃんは魔界を覗いたりしてるしな。わざとそうしてるのはわかるんだが、やっぱグルグルってわかりにくいなー。こんなもんサラッと描いてるこの漫画が最近恐ろしく感じる。

でも闇のお姉さんも、イエタ村のおばあちゃんも、「テキトーにあいさつしておけばいい」「大事なのはそれを見てあわてるのではなく、笑って手をふること」って言ってるんだよね。

確かにウェルズの「塀のついた扉」の男には、そういう余裕はなかった感じがあるな。いつでも現世に忙しくて、心の中で塀の向こうに憧れ続けていた感じ。

おばあちゃんの言う通り、「かみさまのふね(グルグル本編でも結構ハッキリ示唆されるように、ここでは死)はいつでも頭の上に浮かんでいる」んだよね。だからっていつもそんな事意識して怯えていたらやってられんわな。「塀のついた扉」のライオネルが最後の一線を超えてしまったのには、相応の理由があるんだねえ……。

そんな感じで心構えの問題もあるけど、もう一つ。あなたに死んでほしくない、行ってほしくないと引き止めてくれる人がいるかどうかも分岐点かな。

ククリちゃんには、ククリを大事に想うニケがいて、塀についた扉のライオネルにはこれといって現世に引き留める人がいなかった。語り手の私、レドモンドは友達だったけど、この2作に題材が似ている栗本薫の「時の石」のブロマンス的友人(っていうか多分作者の中ではBLの攻)ほど、現世に引き留める強烈な関係ではなかった。

死に向かう扉に向かって、適当にあいさつしたり笑って手を振る余裕もなければ、これといった未練や引き留める人間もいなかったライオネルが、扉の向こう、つまり死の世界へ行ってしまったのは必然と言える。

グルグルのかみさまのふねは、結局レイドの変な発明で天国へ連れて行く船ではなかったけれど、コパールの魔界案内やアラハビカで眠り姫になった事など、夢を見る事が職業といった感じのグルグル使いククリちゃんは、常にかみさまのふね(異世界とか死の世界とか)的なものに引っ張られる危険があると言える。

そんな時、現世の錨としてククリちゃんを引き留める事が出来るのが、ククリちゃんより冷静な目を持っていて、ククリちゃんが愛し愛されているニケなわけだな。

かつて闇魔法結社の総裁が、ニケが光の者と知るなり殺してしまえと言ったが。多分、時に一緒に楽しんでしまい、かつ引きずられないニケくらいの光がそばにいないと、ククリちゃんはある日突然、闇や夢の中に入って行って二度と戻って来ないと思う。
2024/10/08(火) 17:36 グルグル考察 PERMALINK COM(0)
H・G・ウェルズの短編集。表題作でウェルズの出世作でもあるらしいタイム・マシンは中編か。このタイム・マシンがSFとしても悲しい恋物語としてもよく出来ていて、しかも最初に掲載されちゃってるもんだから、半分出オチ状態な気がする。他のも普通に面白かったけど。追記で各話感想だが、マジックショップは前に書いたので除外。




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2024/10/08(火) 17:33 作品感想 PERMALINK COM(0)